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今週の儲かる繁盛店の視点 第585話:「会議の生産性を見直し、利益率を2倍3倍と伸ばすことが出来る企業と出来ない企業の違い」

先生、ここまで考えやってみたのですが、この先どう考えていけばいいのでしょうか?ご指導させていただいている、社長さんからのご相談です。

ここは、今、プロジェクトキックオフ時の2倍以上の利益を出し続けている絶好調企業の本部です。

今でこそ好調ですが、最初から全て上手くいったわけではありません。

 

実は、はじめて、本部にお伺いした時、重々しい雰囲気は、何とも言い難いものがありました。

「また、何か始まるのか?」
 「同じ失敗をくりかえしたくない」

そういった言葉が聞こえてくるような、空気感があったことを今でもはっきり覚えています。

キックオフのミーティングでは、「こういったものを作って実施結果を報告してください」と宿題をだしたのですが、そのたった1つができない。状況でした。

店長は、出来なかった理由を話され、プロジェクトメンバーもうつむき加減。それを、社長が「そうじゃないんだよなあ・・・」といった顔つきで見ている。

そんな状態でした。

それが、数年たった今、大きく変化してきてます。

プロジェクトミーティングの前半は、3名の店長からの各店の月次人時実績報告があり、続いて事務局から、人時売上の推移、品切れ、非効率業務、物流といった、計7つの活動報告がされます。

目標達成した取り組みについては、賞賛をすることをルールとしてますので、ミーティング中は何回も拍手が沸き起こり、会議室は笑顔に包まれます。

ミーティングの後半は、新しい取り組みについて、こちらから課題をださせていただきそれについて、質疑応答がなされ、次回までやるべきことが明確になったところでミーティングは終了となります。

はじめは1個の宿題もこなせなかったプロジェクトも、今は7個の課題の進捗状況+1件の案件の8つの議題を話し合う場へと大きく生まれ変わったのです。

同じ時間内に、8倍以上のことが集中審議され結論がでる。生産性でいうと8倍にアップしたということになります。

そして、そこで最も変わったのは、プロジェクトに参加している店長さん達でした。

ご存じの通り、小売業の店長は現場経験の長い人が多く、こういった会議の場で説明することが苦手な人が多いのが特徴です。

これは、私が主宰してる実力店長講座に参加される、「店長、運営部長、取締役」も同じで、自分のお店の説明をしてください。といっても、とにかく説明が出来ない人達ばかり。

よく、これで、会社がまわっているなあ~と驚かされます。

先の企業も、当初は、どの店長さんも、正直言って、何を言ってるのかさっぱりわからない状態でした。

今は、人時売上の結果と、気づき、次月の課題。これをそれぞれの店長が5分で説明できるようになっていきます。

お世辞抜きで、「この店長の話を聞きたいっ!」となるくらいどの店長もとても発表が上手くなっています

もし、人時について、まだやっていない企業の社長さんに、この店長の5分間報告を聞く機会があったとしたら、うちの会社に絶対引き抜きたい!というコト間違いなしと言っても過言ではないでしょう。

それにしても、なぜ、こんなに説明が上手くなるのか?

理由はシンプルです。

毎日自分の店で、同じ説明を朝礼時に実践しているからです。

こうしたプロジェクトの中で報告することぐらい、ちゃんと朝礼をやってる店長さんであれば、1年もやれば確実にプレゼンが上手くなる。という訳です。

そもそも、朝礼をやる時間が決まっていなかったり、やらない店もあって、よくそれで、店がまわっていたなあ~とこちらが関心するくらいです。

そんな状況ですから、本部の指示が増える意味もわかるような気がします。しかし指示が増えれば、今度はそれをこなす店の時間がかかり、結果的に全社で膨大な時間と労力をかけていたことが見えてきます。

ともすれば、改善とは、作業スピードをあげるとか?書類や紙を無くす?といった現場ばかりが注目されがちですが、

むしろ、定期的に開催される会議やミーティングの生産性をどう上げるか?そういったことを改善した方が、全社トータルの利益に大きな影響を与える。ということです。

但し、こうした生産性を改善に取り組む際、店舗で使っている指標と、会社として目指す指標を一致させておくことが、前提になります。

例えば、従来型の縦割り組織の場合、店で売上をあげたいから、人件費予算を付けて欲しいといっても、人事部は予算超過なので予算付けできない。といった、利益相反が起き、何も解決していかないことが起きるからです。

こう言った問題を解消するために、共通指標となる人時売上が重要になってきます。

人時売上とは、売上÷人時で算出する 一人当たり時間売上のことです。店の人時売上目標=本部の利益目標が一致するため、これを活用することで利益相反が解消されます。

そのため、担当者同士のすり合わせや、事前準備の資料といったことが無くなり、全ての議案がスピーディに決まっていくことになります。

社長さん曰く、

「このプロジェクトを始めた頃、こんなふうに業績が何倍にもなるなんて想像も出来ませんでした。いまは、それが、当たり前になって、さらに、次のステージが見えてきました」と嬉しそうに語られる社長の瞳は光り輝いています。

さあ 貴社では まだ 売上・経費を別々に考えますか?それとも「人時売上高」一本で、改善のスピードを8~10倍に上げて、利益を2倍4倍…10倍と増やし続けていきますか?

その成功のカギを握るのは、社長であるあなたです。

著:伊藤 稔