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今週の儲かる繁盛店の視点 第303話:「構造改革をやらなくてはと、決意を固めた時の第一歩はズバリ!」

「先生、業務改革をやると言ったものの、一つの店でやったことが、他店に波及できず進まないのです。」とあるチェーンの社長さんからのご相談です。

さらにお話しをお聞きすると、
一度幹部の前で、講義してもらい、自分たちでやれるとこまで、やってみたいとのこと。

――――たった1度の講義では、多少のやる気を引き出すことは出来ても、効果を出すことは出来ません。本気で業績を上げたいのであれば、プロジェクトを組んで進める必要があります。とキッパリ申し上げました。

理由は簡単で、自社のことは自分では見えないからです。

例えば、店舗の業務改革のひとつに、非効率業務の改善という項目があります。いわゆる、長年その企業で行われてきた形骸化した業務を止めていくステップです。

社内だけで、この非効率業務を洗い出そうとすると、各部門の責任者は裁量範囲が減り自由にできなくなることから、不平不満は出てきても、非効率業務項目となると、出てこなくなります。

また、人海戦術でやってきた量の多い業務をIT化して業務量を削減しようとしても、それは自分たちの仕事がなくなりリストラされるのでは?と警戒されたりします。長年の習慣としてやってきたルーティン業務を止めたり、変えていくことは想像以上に難しいのです。

一方で、IT化と聴くと、レイバースケジュールのようなものを導入すれば何でもボタン一つでシフト表ができて、人は何もしなくていいと、勘違いされる経営幹部も多いことからそういった、誤解もキチンと解いて説明していかなくてはなりません。

分かりやすい例でいいますと、例えば、実際にスマートフォンをネット通販で購入して、自分で使えるようにセットできる方はいますか?とお聞きすると、

「えっ!」「そこは聞かないと・・・」と皆さん言葉に詰ります。

多くの方が、家電量販店や携帯ショップで買い替え時に使える状態にセットされたものを受け取ったのではないかと思います。

チェーン業界のIT化も同じで、業務改革チームを組織化し、彼らがレイバースケジュールを携帯ショップのように使えるようにして、店舗に渡していくことになります。

これによって、勤怠・売上・物量といったデータは自動的に集計され、人の配置を組み変え最適化させたり、最終判断は人が行います。
IT化とは、完全自動化ではなく、人間とITが協業することで、はじめて力を発揮するものだからです。

また、冒頭の社長さんのように、業務改革というと、ドキュメンタリー番組のように、革新的な改善好事例が次々でてきて・・・といった妄想にとらわれがちですが、現実はむしろ逆です。

まずは地道に結果を出すことが先で、あとで取り組んだ中からそれに合わせて社内広報していく。という流れになります。

もちろん前者のようになるのが理想的ですが、計画を作り、結果を変えていくためには、最低4週間は必要になるからです。
と申しますのは、ヒアリングで非効率業務を洗い出し、それにかかるタスクを計測し、実際に止めてみる、止めた時の実績検証という4つのステップで是非を判断することから、スピードがものをいうプロジェクトといえます。

非効率業務の中で、より効果の高いことから取り組んでいくことで、効果を加速させていくことになります。こういった調査集計も業務改革チームの役割となります。

通常は、こういった事前調査によって、優先項目つけて取り組んでいくわけですが、社長がこれを意識しないまま、気の向くまま、各店を回って、あれこれ指示を出されてしまうと、結果の出かたが大きくブレてしまい、遅れるということになります。

こういった基本ステップにもノウハウがあり、プロジェクトで事前確認して店回りをしていただくことで、社長のイメージする好事例を上手く組み合わせることも可能になります。

失敗したくない、時間も、お金もかけたくないという経営者の方には、こういったことから、単発講義よりも、プロジェク化をおすすめしています。

大事なことは、こういった変革することに会社として慣れていくことはであり、これが、急激な変化に強い企業体質を作ることになるからです。

東日本大震災の時は、前職のGMSチェーンにいて、全社の約1割に相当する東北エリアの店が営業不能のとなり数店舗が津波にのまれました。

その後1カ月半で8割の店を再開できたのも束の間、今度は、関東圏で、ブラックアウトを回避する為の節電要請がありました。

LED化には、電球も配線設備も間に合わないことから、チームメンバーと施設会社のスタッフと一緒に回り、蛍光灯を間引く作業に入りました。
店長立会いのもと数十店舗で試験的にしてみたところ、予想以上の効果が得られることがわかり、全店に広げようとしていた矢先、使用電力が再び元にもどっていしまったのです。

理由は、「売場が暗い」「競合はやってない」「何でうちだけが?」といったこの対応への反発で 一度抜いた蛍光灯を 運営部長や店長が自分たちで再び設置してもとどおりにしてしまったのです。

人は見られていない状況下では、各自のやりやすいやり方でやろうとすることから、こういったすすめ方はうまくいかないということに痛感したときでした。

そこで、一律間引きをするやり方を改め、そもそも明るい暗いというのはどういうことなのか?照度計を使い、明るさのムラが出ないように調整して、丁寧に蛍光灯の間引きをすることで、合意を得ることが出来、電気代を下げることができたのです。

この手法で、全国に配置していたメンバー50名に指示し、作業や、買い物に支障のない基本照度を設定したのです。

水道光熱費は、人件費に比べれば小さい金額ですが、全店となれば数十億単位になるわけで、電力という見えないものを何とか、コントロールできないものか?と悩んだ末、エネルギーマネジメントシステムの導入に踏み切りました。

当時全店導入しても投資回収できないことからと、数店舗だけやって棚上げになっていた企画です。

単純に、総使用量削減だけを見てると「到底回収できっこない」の一言で終わるのですが、よく見ていくと売場の冷蔵ケースと空調による相反関係や、冷蔵ケースの温度冷やしすぎ防止によって、冷蔵ケースの故障修理の削減や、それらにかかる手間。

リーチンケース化によるエネルギー効率といった効果を加味すると、十分回収できることがわかり、あっという間に水光熱のコストは下がったのを鮮明に覚えています。

空調などは店舗任せにすると、夏場バンバン使用量は上がりますし、また機器の負荷が大きくなることから故障が頻発します。

こういったことを防ぐには、全体のエネルギーの使用状況を可視化し、人が判断できるようにすることで、それに合わせてON OFFをセットしてそれを自動化させることができます。

今まで 人の力では知ることができなかった、時間帯別の外気、室内の温度や、空調や冷蔵ケースの温度を、それぞれにとり着けたセンサーが感知し、デジタルデータとしてリアルタイムで見ることが出来るようにし、最適温度は何度が適温かの最終判断は、人間が決めるということです。

もちろんこれは、店でも見れますし、本部や我々のPCからでも見ることができるようにし、異常値が出た時はリモートで本部からコントロールできるようにもしたことが一番大きかったといえます。

使用量や温度の集計というのはIT化し、売場が寒いとか暑いとかいった状況は人が肌で感じ、どのゾーンをON OFFすればいいのか?決断するのは人間がやるといった業務分担することで無駄なエネルギーを使わない店舗運営ができるようになったのです。

これが出来たのは、店舗運営で、レイバースケジュールを同じような方法で管理していたことが大きな足がかりになったのは紛れもない事実です。

3,11をきっかけに、今までのやり方を見直す大きなチャンスをえることができたといえます。

コロナショックで 今は、人と物の動きを止めなければならないことから、経済がストップしています。必ずや新しい大きな変革が生まれることと思います。

チェーン経営も例外なく変わります。今までは、人に仕事が付いていたため、業務内容がつかめませんでした。今回小中学校が休みになり、人に仕事がついたままの店舗は、店舗従業員が減って回らなくなり営業時間短縮を余儀なくされた企業は数多くあります。

少ない人員でも、安全に運営でき信頼される店づくりを実現するには、仕事に人をつけ業務内容を透明化させることで、様々な問題がクリアになります。すでに、業界ではそういったことに舵を切る企業が出てきています。

競合各社が停滞している今こそ、構造改革で貴社の力を見直す時期です。

新たな成長に向け、自らの動きを透明化させ、生産性の高い店づくり実現させていきましょう。


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