今週の儲かる繁盛店の視点 第601話:「なぜ、キャパ以上再診予約を入れて患者を待たせるのか?待ち時間改善が進まない一般病院の行く末は?」
先生、急性期病院はでは、待ち時間の改善は無理なんでしょうか?ある病院経営者からのご相談です。
お話をお伺いすると
急性期病院の経営は厳しく8割が赤字、その中でもうちの病院はまだなんとかギリギリでやっています。
正直言って、収入は厳しいので、各診療科でキャパを超えた再診を予約をいれ、その分は何時間か患者さんにお待ちいただいてます。
待ち時間を紛らわすことや、接客接遇研修はやってはいるんですが、待ち時間が減るわけではないので、クレームは減りません。
むしろ、大声で怒鳴るカスハラや、投書箱への長文クレームは増えていて、そういった事件が起きるたびに、病院の対応がよくないんじゃないか?といった空気になっていく・・・と思うと不安になるとのこと。
――――お気持ちご察しいたします。と申し上げました。
私の中で、かつて、どこかで見た光景が頭によぎりました
私の前職は総合スーパー西友ですが、バブル崩壊後赤字が続き、10年以上業績賞与が出ない厳しい状況が続いていました。
その当時の対策といえば、週一本だったチラシを2本、3本と増やすやり方がメインでしたが、そういったやり方ではどうにもならないのは誰の目にもあきらかでした。
チラシ商品の積み替えや価格の付けかえ、残品処分を行うための手間、価格ミスのクレーム対応といった業務が増え、高コスト状態になってることを見て見ぬふりをしてる状況でした。
その後、米ウォルマートの傘下に入り、幸運にも収益を上げる仕組みについて学ぶことが出来ました。
それは何か?
チラシを訴求する前に、お客を待たせないための店舗コンディションになっているかどうか?ということについて徹底して取り組んだのです。
スーパーではレジで5分以上お客を待たせると、商品を放置して帰ってしまいます。また、欲しいと思った商品が品切れしてると、他の店やネットにスイッチされてしまいます。
価格間違いがあれば大声で怒鳴られます、そのため、レジのスタッフ定着率が最悪だったのはいまでもはっきり覚えています。
具体的には「品切れ改善」や「レジでお待たせしない」「レジの価格の正確さ」といったことを毎月改善し、お客様を待たせないようにしていく訳です。
試行錯誤を繰り返す中で、結果的に少ない人数で業務ができるようになったり、お客を待たせないことを徹底できるようになったことで、西友は2008年黒字に転換することが出来、その後10年以上毎年増収増益が実現出来るようになりました。
前出の急性期病院も同じで、まず、おまたせないために、薬だけもらう人や、検査のない人を、地域クリニックへ紹介する流れを作り信頼関係を築きます。これにより単価の低い再診患者数を徐々に減らしていくことで、黒字安定化を目指すとこが出発点となります
こうした取り組みをうちでもやってみたいという病院経営者から、ご相談を受けプロジェクトが始動しています。
著:伊藤稔