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今週の儲かる繁盛店の視点 614号:「売上げはコントロールできないが、コストはコントロール出来る この原則を理解できる病院と出来ない病院の違い」

先生、外来って利益をだすことができるものなのでしょうか?
とある、総合病院の理事長さんからのご相談です。
お話をお聞きすると、病棟や手術はなんとか利益がでているものの、外来は赤字で、これは、構造上仕方ないと思っていたとのこと。
このコラムを読んでいると、ひょっとすると、黒字化もできるのでは?と思えてきたそうです。
コラム執筆者にとって、これ以上ない賛辞に、ありがたい限りです

病院外来の経営構造を最もシンプルに表すとすれば、「収入は人数、コストは人時」この一言に尽きるといえます。
この原則を理解出来るかどうかで、外来の設計も、改善の方向性も、経営判断の質も大きく変わるからです。
ところが、この当たり前のように見える原則が、実は多くの総合病院では全くといっていいほど知られていません。
 そもそも、病院の外来収入は、何人診察したかで決まります。
患者が1人増えれば、その分収入が増え、逆に、1人減れば、その分だけ収入が減ります。
診療報酬制度がどう変わろうとも、この構造は変わらない。
  つまり、外来の収入は「人数」という単位で増減します。
一方、病院のコストはまったく別の軸で動いています。
人件費は「人時」、一人当たり時間作業量のことですが、何時間働いたかを表したもので決まるのです。

1人が1時間働けば1人時、5人が1時間働けば5人時。というように時間が積み上がることでコストは増えます。
ここに、収入とコストの“単位のズレ”が生まれる。

例えば、患者数が同じでも、人時が多すぎればコストだけが増える。
逆に、人時数が少なければ、収益が改善する。
つまり、外来の収益性は「何人診察したか」よりも、「その人数をどれだけ少ない人時で処理できたか」によって決まってきます。

なんでもそうですが、売上はコントロールできません、病院も同じで、患者数は病院が自由にコントロールできません。
 しかし、人時は病院側で設計でき、ピークに人時を寄せる、閑散時間帯は人時を減らす、ボトルネックに人時を集中させるといった工夫ができます。
病院経営者がコントロールするのは「人時」であり、収益改善のレバーはここにしかないということです。
この視点が欠けると、外来は赤字構造を黒字にすることはできません。なぜなら、患者数が多いからといって、単純に人を増やすとどうなるか?

 一瞬のピーク時には役立つが、それ以外の時間は手持ち無沙汰になり、人時だけが積み上がる。
結果、収入は人数分しか取れていないのに、コストは時間分だけ増える。これが外来が赤字になる根本原因です。
 

逆に、仕事に合わせて人時を動かすとどうなるか?

ピーク時には必要な人時を部門を超え調達し、閑散時間帯は他部門業務に回す。
ボトルネックに人時を寄せることで、外来全体の患者処理が上がる。
つまり、同じ人数でも、より少ない人時で回せるようになることが、収益改善の本質になります。
「収入は人数、コストは人時」という原則は、外来のすべての判断基準になる。
人を増やすべきか、配置を変えるべきか。これらはすべて、「人時をどう設計するか」という視点で判断すべきものだということです。
外来運営は複雑に見えますが、こうして考えると非常にシンプルな構造ということです。
さあ、あなたの病院では、まだ、収入の人数だけ追いかけ続けますか?それとも、要となる 人時で、早期黒字化を目指しますか?

著:伊藤稔