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今週の儲かる繁盛店の視点 第171話:「仮説力で成長するチェーンと出来ないチェーンの違い」

「伊藤先生 売上に合わせ、人件費は変動させていかなくてはと思うのですが、現実的にどうやればいいのでしょうか?」

ご相談にお見えになった、経営者からのご質問です。 

—–人件費を単に、売上に合わせ調整することはできません。ときっぱり申し上げました。

人件費は、無理に調整しようとしますとマイナス面が多く、順番を間違えるとプラスに転換させるのは容易ではありません。また、月が締まってからでないとわからない、過去の数値であることから、そのままでの扱いは難しい項目と言えます。

経営ビジョン達成に向け、経営者は将来の姿を語り、過去から学び、現在を見つめ、将来を設計していきます。そこでは、人件費を人時(ニンジ)に置き換えて考えることが必要となってきます。

人時とは、ザックリ言えば、労働時間のことですが、一人当たり時間作業量を示す単位です。

先のチェーンでは、日々のタイムカードを手集計し毎日、店ごとに人時は把握できるようにはされていたものの、それをどうやって活用すればいいのか?というところで、足踏みをされていたそうです。

それ以前に、人時を活用するうえで注意すべきことは、日々ルール通りに集計されているかどうか?ということです。

「もちろんルール通りにやってます」という声が聞こえてきそうですが、

では、昨日タイムカードを全員打刻したかどうか、わかる記録はありますでしょうか?と尋ねると、

「それは、どういう意味ですか?」とけげんな顔をされます。

例えば昨日、ある店舗で50人の出勤者がいて、1人がタイムカードの打刻を忘れしたとしますと、その日の打刻率は98%ということになります。

たった、一人ぐらいと思われる方もおられると思いますが、年商15憶の店で人件費を2億とすると、その2%の人件費が、どう使われているのかわからない状況であるということです。

これは従業員にとってみれば「自分一人ぐらい打刻しなくても、誰も気づかないだろう」という勤務管理が曖昧であることが分かりますから、やる仕事が明確になっていない職場と認識します。

こういった店は、仕事の偏りがあり不満が多く、作業効率の良くない企業と言えますます。

一方で、毎日タイムカード打刻率100%の店は、日々の純粋な人時を使う体制が整っているため、これをもとに無駄の少ない作業指示を組むことができます。

作業指示書があることで、従業員は、上司が自分を気にかけてくれてることに気づきますから、働く意欲の高い人が集まりやすくなります。

上司はそれに基づき公平な評価をすることができ、士気が高まります。

半面、手抜きをするような人は、居づらくなって、会社を去っていってくれますので、いい人材でまとまるようになっています。

断っておきますが、手抜きをする人は要らないと言ってるわけではありません。それ以前に、自らの存在と役割に気づいてもらい、一人一人がかけがいのない存在であることに気づいてもらうことが大事ということです。

経営者の仕事は、企業の夢を語り良いものは称賛し、士気を上げて働いてもらうことです。無理やり人件費を合わせようとするのではなく、一人一人の人時を正しく把握することが、夢を実現できる潜在的な力となることを 理解させるのが役目となります。

売上が伸び悩み、現場を鼓舞する材料が少ない今だからこそ、人時に着目し、経営者が企業の夢を語ることで、その想いを受け止め行動する社員がいるからこそ 夢がかなうのです。

さあ、貴社では、企業の夢を飛躍させる原動力ツールもっておられますか?

今日も最後までお読みいただきありがとうございました。


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