• TEL : 03-5771-8283
  • 〒107-0062 東京都港区南青山1丁目26-16 5F
トップ > コラム・今週の儲かる繁盛店の視点 > 第226話:「日々の人時生産性の引き上げ方で、成功できるチェーンと出来ないチェーンの違い」

今週の儲かる繁盛店の視点 第226話:「日々の人時生産性の引き上げ方で、成功できるチェーンと出来ないチェーンの違い」

「先生、やっと日々の人時生産性向上に、少し近づくことが出来たような気がします。」

ここ数年、業務改革に取組み、人時生産性を伸ばしておられる、チェーン企業の社長の一言です。

―――社長ご自身が、作業指示書やLSP導入に対し、次々と決断されてきたことの賜物です。と申し上げさせていただきました。

「先生、このあとちょっとどうですか?」ということで、地元の小料理店で、一杯やることになりました。

社長曰く「何と申しますか、開放された気分です。新組織をつくり、若手新メンバーが活き活きと、この仕事に取り組んでいる姿を見ると、本当にやってよかったと・・・・」とポツリと一言。

短期間で、人時生産性改善の効果が得られた、理由はシンプルで、社長自らが行動し、人時生産性改善の壁となる「売上」の呪縛を解き放つことが出来たからです。

先のチェーンも かつては「売上は全てを癒す」といった考えをもと、売上アップのために、ありとあらゆることをやってきました。
例えば
・店舗人員を増強し、本部は少ない人員で回す。
・きめ細かく売場を作っていく。
・チラシ販促が上手で、大量陳列をしている。
・季節演出はどこよりも目立つように展開する。
・日替わり商品、目玉商品が激安で目を引いている
・○○祭や○○の市といった、大型チラシを訴求する。…といったことですが、

売上が少しでも上がるなら、人手を掛け、複雑なプロモーションでもやる。といった手法で皆の士気を高めて来たと言えます。

冷静に考えてみればわかることですが、人手には限りがありますから、本来は、企画毎の結果検証を行い、売れても儲からない企画は、やめていくことが不可欠です。
これらを効果検証をせず、やり続ければジリ貧となり、業績は悪化します。

また「止めること」を決めなければ店舗業務は増え続け、気づけば、高コスト化し身動き取れない状態となってしまってからでは 目も当てられません。

批判を恐れず申し上げれば、これまで、売上を維持できたのは、半世紀以上続いた、人口増加の恩恵であって、それを販促強化で売上を増やしてきた。と錯覚していたのに過ぎないということです。

人口と売上に密接な関係があることは、今さら言うまでもありませんが、その証拠に、今年の猛暑以外ほとんどのチェーンで、客数の前年割れが引き起っています。

総務省の人口推計では、毎年0.4%の人口が純減していくことからもわかるように、このままいけば数年先はどうなるか、もう予測がついているということになります。

実際に、各店舗の市町村別の人口推移を商圏マップに落とし込んで、みればここ3年間で、どのエリアで人口増減がおきているのは一目瞭然です。

魚の減っている池で、同じ釣り方を繰り返しても釣れないのは明らかで、場所を変えるか餌や仕掛けを変えなくてはなりません。

人口が減っている商圏への対策も同じで、本来お客様は「何を」に求めているのか?それらを精度高く把握する手段を持たなくてはなりません。
しかし、そういった調査には、お金も人手もかかるので、まずそのための、資金調達できる仕組みづくりから入っていくことになります。

とにかく、これまでのように、人口が増え続けてきた中で商売をやっていますと、視野が狭くなり、目先の小さなことに捉われます。

先のチェーンも、売上が落ちたらチラシを打って、初日の売上さえとれば、全体の引き上げになっていたと、ずっと思い込まれていました。

その結果、最初は週1本であったチラシが、2本となり、直近では週3本まで増やし、もうこれ以上チラシは増やせない状況になっていました。
しかし、止めたら売上が落ち赤字という恐怖から、どうしてもチラシを止めることが出来ずにいました。

そこで、プロジェクトで調査を実施し、チラシ訴求が人時生産性に、どう影響が出ているのかを調べていくことにしたのです。
その中で、チラシ本数を減らす仮説を立て、少しづつ減らしていくと、人件費は下がり、収益構造が安定したことから、チラシ削減に大きく舵をきることにしたのです。

社長としては、「清水の舞台から飛び降りるつもりで、決断した」とのことですが、清水の舞台を飛び降りると願いが成就すると云われのごとく、人時生産性が翌月より上がり始め、本当に願いが叶ったのです。

その後も、複雑なプロモーションや日替わり、タイムセールといった人手がかかることは徐々に、減らしていくことになりました。

一方では、ここで調達できた資金を活用し、チラシが、本当に顧客満足度を上げているかの調査も進めていきました。

調査結果からは、必ずしもチラシ訴求日だけに、お客様を集めて、日替わり品をだすことが、顧客満足度を引き上げになっていなかったことも見えてきたのです。

チラシ訴求日だけでなく、日々お客様にわかりやすく買いやすい売場を標準体で作る方が、顧客満足度を上げると言うことが見えてきたのです。

それらの調査に基づいた取り組みから、日々の売上と人時を平準化したことで、採用もスンナリできるようになるといった、善循環が動きはじめたのです。

標準体とは、チラシやポイントセールといった一過性の、集客方法に依存しないことあり、日々の商品をきちんと棚に陳列することで、利益が出る体制をつくっていくことです。

売上変動を意図的に創る手法は、忙しくて儲からないだけでなく、お客様満足度も決して上がらないということが分かったのです。

半世紀以上にわたって続いた、人口増の余波は大きく、経営者自らが、こうした心理的な思い込みによって、成長への変革に踏み出せず、「呪縛されたかのように身動きできない」状態にあったといえます。

社長が自ら業務改革に行動されたことで、その呪縛を解くことができそれが生産性改善のチャンスを作ったといえます。

さあ、貴社ではまだ、売上変動を意図的に作るやり方をつづけますか?それとも、標準体で稼ぐ筋肉質に変わることで、呪縛を解き放ち飛躍しますか?

今日も最後までお読みいただきありがとうございました。