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今週の儲かる繁盛店の視点 第275話:「なぜ、ほとんどの企業が仕組みづくりで失敗するのか?その理由は○○にあります」

「先生、売上が厳しいのは予想していましたが、それよりも改善の方が停滞気味なんです・・・」

と、プロジェクトに取り組んでおられるチェーンの経営者からご相談です。

最初は、改革手順を直接指導させていただくことから、効果も大きく上手くいったのですが、徐々にまた元に戻りつつあるとのこと。

悪化しているわけではないのですが、改善の足が止まったことを懸念されてのご相談でした。

その後、人事異動で他の店舗から人を受け入れ教育しようとしたところ、残業が増えはじめ、改善が横ばい傾向にあるというのです。

社長曰く、「本人たちは一生懸命やってるんですが、どうもうまくいかないのです」とのこと。

伊藤は申し上げました

――――仕事が人についたまま、パイロット店の人を異動させていませんか?

仕組みづくりは一旦は導入できても、そこでの取り組みが文章化されていないと、人事異動などで入れ替えが発生すると機能しなくなります。

特に、パイロット店舗では、他店に波及させていかなくてはならないモデル店舗でもあり、ノウハウを各店に伝えていくための責任があります。
そのためには人が異動しても出来るマニュアルを作っておくことが不可欠だからです。

仮に、パイロット店舗に、人事異動で、その指導を受けていない店長やマネジャーが来た場合、新たなポジションでのマニュアルが無ければ、再び一から教育を受けなければ、理解することは出来ないと言えます。

導入時に、各自のポジションで習ったその時は分かっても、異動先のポジションで紙に書かれたマニュアルが無ければ、何を見ればいいのかわからず、以前のように前任者や、部下にそのやり方を、聞かなければわからないということが起きます。

「そんなのは、電話やメールで聞けばいいじゃないか」という声が聞こえてきそうですが、

前任者に聞かないとわからないということは、結局、個人に仕事が付いていたときのやり方と変わらないことになります。

冷静に考えてみればわかることですが、指示や情報は、水と同じで、高いところから低いところに流れる性質があります。
それを横から引こうとしたり、汲み上げるとなると、時間と労力がかかるうえ、それが確かなモノかどうか信憑性も問われます。

実際にプロジェクトで推奨しているLSPや人時売上データはクラウド上に、しっかり記録として残ることから、売上と同じように、引き継がれます。一方で日々の基本業務は、文章化されてなければなにも残りません。

合わせて、LSPやデータの活用法や、非効率業務への取り組み方、作業標準の設定といったことは仕組みとして引きつがなければなりません。

これは、各部門が自律的に成長して、生産性を引き上げていくための必須条件だからです。これらのマニュアルをもとに指導が行われ、それが業務評価に反映されていきます。

人時生産性を上げる為の「実力店長講座」を弊社では、随時開催していますが、店長自身がこういったことができる訓練を受ける場として提供しています。

そうしなければ人時売上を改善する行動はとれませんし、その為のマニュアルも描けなければなりません。そして、最も大事なことは、それは指示をだす上司である運営部長が準備しておかなければ、ならないということです。

「え? 運営部長が店長マニュアルを作るのですか?」という声が聞こえてきそうですが、

――――はい、その通りですと 申し上げております。

断っておきますが、運営部長自身でなくても、その指示をうけマニュアルを作れる人材を選定しておくことは必須ということです。

運営部長の中には「マニュアルなんかいらない こうやればいいんだ」とか「この俺がマニュアルなんだから 言う通りにやればいい」とか「運営部長のスタッフなどいらない、俺は一人でやる」という方がおられるかと思いますが、それでは人時生産性を改善することは出来ません。とハッキリ申し上げてます。

人口が増えていた時代であれば、店舗巡回して店長をなだめたり、叱ったりして、いれば売上が上がった時代のやり方とは、やることが全く変わってきているからです。

人時売上のビジョンを設定して、その目標達成のための執行計画を立案実行するのも運営部長の役割です。そこに、執行していくための「仕組み」と「マニュアル」があれば、人事異動によって組織を活性化させることもできます。

少しややこしいのが、心情が絡んでくる「仕組み」と「マニュアル」の違いです。

「仕組み」とはパイロット店を中心に、先陣の店が未来にむけ進むためのものであり、「マニュアル」はこれから着手する後発の店を引き上げるためのものです。

例えば、飛び込み営業を専門にしている会社などでは、トップセールス1人が数十人いるその営業所の売上の大半を、稼いでいるということがよくあります。

しかし、そのトップセールスに「コツや、やり方を他メンバーに教えてやってくれ」といっても、本当のことは絶対教えようとしません。

理由は簡単で、マニュアルを作ってやり方を教えれば、自分の成績を追い越される可能性があり、自分にとってマイナスとなるからです。

これは、チェーン経営も同じで、パイロット店の店長からすれば「自分の店で手いっぱい。マニュアル化するヒマはない」ということになります。 

そういう意味では「仕組み」づくりや「マニュアル」づくりにしても、店舗運営部に専任者をおき、教育を担う組織が必要になります。

チェーン経営で横展開の出来ない理由は、こうした仕組みと教育の重要性を理解していないからにほかならないのです。

先のチェーンも、こうした組織を強化し「仕組み」と「マニュアル」の両論を駆動させることで、再び生産性が上がり始めています。

さあ、貴社では、まだ、人に頼ったやり方を続けますか、それとも「仕組みとマニュアル」を組織的に動かし、他と一線を画しますか?


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