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今週の儲かる繁盛店の視点 第277話:「なぜコストをかけないと、人時生産性は上がらないのか?その理由は○○にあります」

「先生 我々くらいの規模の会社だと、どのくらいの人時で回せばいい、という基準はあるのでしょうか?」

とあるチェーンの経営者から、セミナー終了後のご相談です。

――――店舗数、店舗規模、売上規模といった表面的な部分では判断を誤りますので、個別相談をご依頼いただければしっかりと責任をもってお伝えします。と申し上げました。

もちろん他社事例や 規模感からお話しはできますが、企業の目指す方向性や課題が開示されないまま、表層的な問題で判断をするのは 折角ご参加いただいた企業様とってプラスになることはないからです。

現状、何らかの問題点あって上手く回っておらず、その解決の糸口発見のため、セミナーに参加されたはずなのに、なんの目的意識をもたずそのまま帰社してしまう方が中にはおられます。
その中には、すでにLSP的なことをやってはいるものの、何年も人時生産性が上がっていない、実にもったいない企業もたくさんあります。

そういう意味では、個別に社長のお時間をとっていただければ、様々な角度から観て、どういった5年後10年後を目指すことができるか?その可能性を見いだすことができるからです。

各企業のお考えなので、それをどうこうの言うつもりはありませんが、

昨今のように長雨や低気温、猛暑、台風といった気候が著しく変わることや、今後の増税については、それらの変化にしっかりと対応できる、仕組づくりが重要となってきます。

「うちでも そういったことに対応し シフトを組んでやってる」という声が聞こえてきそうですが、

――――では、人件費も下がっているということですか?とお聞きしますと

「うーん」と皆さん言葉に詰ります。

「人件費比率が改善できないLSP」をどういう目的で導入されたのかわかりませんが、そのシステム自体に問題があるのか?使い方に問題があるのか?いろいろな理由があると思いますが、

自然の摂理からいえば、作物は、土を耕し、種をまき稲となり、害虫や雨風を防ぐようしていくことで、稲穂は実をつけ種の何十倍もの価値となる米となって収穫されます。

春にとりくんだことが 秋には結果が出るのです。

企業も同じで、春に取組んだ事業が、半年後に改善効果となって表れ、何十倍の資金確保ができなければ、それにかけた時間やお金は、価値を生み出していないということになります。

「人時管理については、現状いる社員で回しているし、LSPは金のかからないエクセルでやっているから 新たな出費はかかっていないから問題ない」という声が聞こえてきそうですが

――――現状の社員で、現状のソフトを使ったことで、その人時生産性はいくらあがりましたか?ということです。

言い方を変えれば、新たな出費がないからマイナスはない。ということより、人時生産性を稼ぐことができずに大損をしていないかということです。

例えば、店舗段階の人時売上高を12000円として、粗利25%とすると人生産性は3000円です。

年間労働時間2000時間とすると一人当たり(2000時間×3000円)600万円の利益を稼いでいることになります。

一方で、本部でも一人当たり600万円の人時生産性は出していかなくてはなりません。

「本部には売上がないのに どうやってそれを設定するのか?」という声が聞こえてきそうですが、

例えば、LSPなどを推進する業務改革部門は、非効率業務の取りやめによる業務量削減人時目標予算がかならずありますし、教育部門には作業時間を最短化させるマニュアル策定業務があります。それらを担う各担当には、KPIがあります。

なんでもそうですが、お金がかかっていないと、真剣に考えようとしないのは人の性です。その方が気楽なものの、何もしなければ、何も生みだすこともできません。一方お金がかかるとなれば、それを増やするために知恵を絞らなければならず、その分忙しくなりますが、何かを生みだし前に進むことができます。

人時生産性を上げるのに必要なのは、このお金をかけて増やすことあり、このプロセスで仕組みを作っていくことになります。

「うちには そんな資金的余裕はない」という声が聞こえてきそうですが

――――御社の中で一番高い経費は、毎月いくらかかっていますか?その1割が改善されたら、年間いくらになりますか?とお聞きすると

「うーん」と言葉に詰ります。

いかなる方法を使っても資金を準備し、改革に着手し、いくらの収支が改善できるか?ということについて経営者は、知恵を絞らなければならないということです。

一方で改善に着手し、人時目標を設定すれば、それでOKであとはやるだけと思いきや、そうは簡単にいきません。
最近よくあるのが、人時予算内に数値が収まっても、人時生産性が未達となるケースです。

これまでは 売上が前年比並みでいけば、人時予算内に収束させることで人時生産性は改善できていました。
ところが、最近は人時実績が予算内に収束レベルまで下がっているのに、人時生産性が上がってこないということが起っています。

理由は単純で、売上が大きく予算を下回ることが頻発しているからです。

「それでは、人時予算の意味がないのでは」という声が聞こえてきそうですが、

売上が予算を下回ることが予知されたときは、いち早く、目標人時予算を引き下げる措置が必要となります。

長雨がつづけば、売上予測はどうなるか?ということはだれでも予想がつきます。経営は、売上見込を月初で設定し、それに対し、人時目標を修正し、それを店舗で遵守させていくことが重要になります。

収入が減るのであれば、そこにかかる人時も減らして それに見合った人時に納めていくということです。

「え? そんなことできるわけがない」という声が聞こえてきそうですが

そういう意味では、経営としては,店舗運営部が提示する第一週目の月末売上予測で、月末までの使える人時が提示されたら、店舗はそれを遵守する仕組みをつくっておくことが必須になるというこです。

実際に、この仕組みが揃っている企業では、台風が来ようが、長雨が続こうが、人時売上高を達成させていくコトが出来るようになります。

一言でいうなれば、環境の変化に強い企業構造になっていく。ということになります。

数年以内に、こうした強い構造をもたない企業の淘汰は間違いなく進んでいきますが、大事なことは、作物と同じように、結果が出るのには時間がかかるため、早く着手しなくてはならないとうことです。

さあ、貴社では、まだ収穫の目処の立たない、種をまき続けますか?それとも災害や変化に強い体制で実りを確実に手にする方法で、次の一手を打っていきますか?


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