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今週の儲かる繁盛店の視点 第408話:「失敗の原因はやったことにあるのではなく やらなかったことにある」

先生 どこかの会社のフォーマットがあったら見せていただけますでしょうか?とある企業の社長さんからのご相談です。

――――表面的なツールやフォームはお見せいたしておりません。とハッキリ申し上げました。

理由は簡単で、少しでも使い方を誤れば社内抵抗勢力を増やし、逆効果となるリスクの方が圧倒的に高いからです。

1人当たり時間作業量を意味する「人時」を使うということは、今まで各個人のペースやってきた仕事を、企業側が決めるやり方手順に切り替えていくということです。

言い方をかえますと、今までやってきた仕事のやり方を認めないという事です。

これまで、大勢の部下を抱え、裁量権をもってやっていた幹部が、ある日突然、「来月から部下の数は半分で、全てマニュアル通りに行動しなさい」と言われたらどうなるか?を考えた時、社内で反発が起きることは誰にでも想像がつきます。

数値的なことで言えば、稼いだ利益の半分を人件費に投入する労働分配率高い小売り企業の場合、人に頼った部分が圧倒的に多い分ことからその抵抗度合いも高くなります。

仮に、労働分配率30%を切るような企業であれば、IT部分のプログラムを更新したり、機器の買い替えをすればいいかもしれません。

しかし 現状、人手に依存している部分が多い企業の場合、人の入れ替えであったり、これまでやってきたことをIT化していくにしても、現場の方々の協力なくしては出来ません。言い方を変えれば、そういったカタチに移行していくための、導線計画が無くては出来ないということです。

これらを無視し、無理にやろうとすると、「エクセルで作った作業割当表でやったが上手くいかない」とか、「某社の作業割当システムを使ってるが、人時数が減らない」とか「導入したのに誰も使えない」ということが起ります。

弊社にも、そのような問題を抱えた社長さんがよくお見えになるのですが、「人時」で一度でも失敗をされた企業では、「作業割当=上手くいかない」というトラウマがあり、再びスタートラインにつくまで時間がかかるということです。

実際にプロジェクトを組んでやってみて見えてきたことは、社長から実務にいたる全ての人が「フォーマットがあれば出来る」と思っていた。ということです。

そもそも、何十年も非効率なやり方にどっぷりつかってきたやり方のまま、よその企業の作業割当フォームの見様見真似で、簡単に利益が変わる程度のものなら、日本中の小売企業が大成功するはずですが、現状は想像以上に厳しいということです。

業界を取り巻く環境は大きく変わりました、2008年から始まった人口減少により、ジワジワと売上が減り始めました。

そして、労働人口の減少は人の採用数に影響がでることから、これまでと同じやり方を続けようとしたところでは、現場が回りにくくなるといったことが起りました。

多くの人数で時間をかけてやっていたことを、少ない人数でやることをいきなり求めたことで、パワハラ、ブラックといった社会問題に発展したことは記憶に新しいことと思います。

その結果、有能な人材は会社を去り、少しぐらい高い時給を提示しても働き手が集まらないといったことが起りました。

残った従業員で、応援体制を組もうとしても、「そこはできない」「あそこは難しい」といって他部門へ応援にいくことを拒まれ、人を横断的に使うことができず、恒常的な人手不足が起ります。

ところが、客観的にその実態をよく見ていくと、手待ちや、やり直し、特定の人にしかできない業務で固められ、多く人を抱えないと回らないやり方になっていたことに気づきます。

自社の業務内容を把握し、そこに適正に人をあてがうことができているか?という問題について向き合って来なかったため、人件費という最も高いコストで代償を払い続けることになっていたのです。

その人件費の要となるのが人時であり、日本が海外に比べて人時生産性が低いのはこうした背景が長年続いてきたからにほかありません。

今まで、やり方も、働き方も個人任せであったため、企業側として勤務実態から、正しい人時売上を把握することすら出来ない状況がありました。

こうした、業界が抱える課題解決のために、最近、人時売上活用法を導入する企業が増えています。

人時売上と聞くと、個人に課せられる労働強化や、早期退職、リストラといったことがイメージされます。

私から言わせれば、そういった側面はあるにしても、実際に行なっていく内容の点にすぎず大半は違っているということです。

むしろ、愚直なまでに一人ひとりの考え方や、働き方を尊重し、企業と個人がベストを尽くし、新たな顧客を増やしていくにはどうすべきかという経営課題に時間をかけていきます。

経営として、ここまでやる、というくらい考え抜くことで、振り返れば結果的に、人時売上高が大きく変化していた、ということが多いのです。

さらに、企業ゴールと個人の目標を一致させる仕組みに移行する事で、合理的な会社経営を行なえる企業に変わっていくという感じです。

売上低迷、赤字スレスレで苦しまれてている企業や、これから成長戦略を探しておられる企業の経営者の方も多く見えており、現状好業績な企業ではかなり優位なポジションからのスタートとなることから、十分過ぎるぐらいの成功を手にされている社長さんもおられます。

仕組みとは「収益を生み出す構造」という意ですが、その健全性が保たれていれば、人が替わってもきちんと、一定の確率で成果が得られるということです。

実際に、ご支援させていただいている多くの企業では、業務改革の仕組みを作ったことで収益構造を変えることが出来、その後も成長軌道に乗っています。

人時の総量を減らすことをできる仕組みさえあれば、それを推進する管理職や社員給与を上げても、十分ペイできるということです。

人時を戦略的にコントロールする仕組みを持った企業であれば、時間がかかる原価交渉や、効果の薄いチラシに依存しなくても、収益構造を自在に変えられることから、競合との戦い方が大きく変わってくるからです。

さあ、貴社ではまだ、社内にはびこるフォーマット依存による思考停止で、やらない理由を探し続けますか?それとも、社長自ら結果を変えてく為、足りない何かを探しにすぐ動き出しますか?


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