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今週の儲かる繁盛店の視点 第418話:「一過性のコスト削減と資産切り売りだけで成功した企業を聞いたことがありません。 一過性の誘惑とその落とし穴とは?」

先生 うちにも利益改善はできるものでしょうか?少し前に、セミナーに参加された社長さんからのご相談です。

聞くところによると、売上減に合わせ、コスト削減をし赤字店を縮小してきたものの、気づけば売上利益は、引き継いだ時の半分になってしまった。とのこと

――――赤字店の黒字店化の取り組みにはどのようなことをされましたか?とお伺いすると、

「販促強化、売場編集をやってきました・・・」と覇気のないご返答

お手伝いさせていただいてきた企業の中には、同じように厳しい状態で会社を引き継ぎ、競合激化や人口減で店舗閉鎖はしても、同時に新店もだし、店舗数や売上は変わらないが、新しく建てた店が元気にやっていて利益は2倍~4倍という企業は数多くあります。

売上に合わせたコスト活用と、売上を維持拡大のためのコスト活用では大きく違ってくるということです。

例えば、競合激化で売上が厳しい時は、残業や新規採用などには制限をかけ調整してきたわけですが、コロナ自粛特需が起きた途端、「残業はやむなし、新規採用はチャンスとばかり採用を増やし、全員に臨時ボーナスまで奮発」したのは記憶に新しいことと思います。

断っておきますが、決して、残業、新規採用、臨時ボーナスがダメと言ってるわけではありません。企業成長には、人材の入れ替えや業績賞与も大事なことだからです。

しかしこれには大きな問題があります。それは、そこに出資したことに対する 利益計画がないということです。

簡単な話、企業にとって、将来の成長は投資活動でしか見込むことが出来ないことから、そのためには、そこに投じた資金の回収状況はどうでしたか?ということです。

従業員1人採用すれば、年間200万のコストが増えます。残業比率が2%増えれば人件費は1店200万円上昇します。一時的に儲かったたため出した一時金も1人1万とすると一店100万円です。これらは、世間で言われている採用単価の上昇ではなく、企業都合で引き上げられたコスト増ということになります。

本来であれば、従業員が力を発揮してもらうための環境を先につくり、それを活かし実績を伸ばすことに「貢献してくれた」人を評価することで、企業成長を実現させていくものです。

ところが、これまで個人任せの仕事をさせてきたために、売上が上がったことに対する個人へ一律ボーナス支給という「運がよかったから」というやり方をした企業が多かったということです。

その後、自粛が解除され売上は減ったものの、コストだけが増え厳しい状況を迎え、現実的に売上にあわせたコスト削減には限界があるということです。

この失敗を糧に業績を安定的伸ばしていくためには、売上に対してコストを決める方式ではなく、必要利益に対してコストを決める方式で考えていくことが大事になるということです。

そうは言っても、毎日発生する経費を、費用対効果を見ながら修正していく事は、決して簡単なことではありません。そこで必要となるのが、コストの中で最も大きい人件費と売上高を一つにまとめた人時売上を活かしていくという考え方です。

これまでのように、店長に、武器を与えず口頭でカイゼンしなさい指示するのではなく、店でやるべきことや改善手順をまとめて作り、業務改善の専門チームがサポートしてくことで、利益を上げる手法です。

そのための業務改善チーム組織し、そのチームが入ったあとの店の利益が一定確率で上がり、その稼働店舗数が増えることで全社利益を引き上げていくというものです。

前年ベースという考え方の上に組み立てらた予算は使って終わりですが、こうして、店舗の利益を増やす目的をもった仕組みに投資することで、収益力のある店舗増やし利益拡大を狙うということです。

実際に、お手伝いさせている企業の社長に、生産性の高い企業を目指す…という話をする際、「億単位の利益改善を越えてようやく入口です」とお伝えしています。

これは、前職時代も含めて、仕事柄多くの経営者の方と関わっていますが、本当に実力があって行動力のある経営者であれば、年間数億の利益改善は、驚くほどの金額ではない…というのが正直な感覚だからです。

毎年5~10億を生産性改善で生み出し活躍されている経営者の方ともよく会います。

但し、彼らの目はいたって普通です。それだけ毎年利益更新している人だったら、「メディアや講演に出て凄いのでは?」という質問を受けることがあるのですが、むしろ、創業者でもないのに、そんな派手なことを演じて、企業業績の良い経営者は見たことありません。

冷静に考えてみればわかることですが、経営者は、自分の事業の成長が仕事ですから、自分がスポットライトを浴びて、注目を集める仕事とはまるで違うからです。

本物の経営者は、社内で実務指導することが仕事ですから「ビジネス」としてまともな恰好をしっかりしている人ばかりです。

実績もでていないのに、大風呂敷を広げたようなことを言い続けることは、その会社の足をひっぱることになるぐらい、誰でも判断がつくでしょう。

ですから、まともな経営者ほど、自然体の行動ですので、やたらと目立つ言動や行動をされているとしたら、本物の経営に向いていないと断定してもいいくらいです。

ちなみに、違いは見た目だけではなく、よその経営者からの扱いにも現われます。芸能やタレント系のスポットライトが好きな方は、メディアからの対応は丁寧でも「チヤホヤ」の扱いですが、大切なビジネスパートナーやかけがいのない従業員には、畏敬の念を持って重く扱われます。

ここに経営者としての価値、やりがいが大きく表れてくるのです。

重要なことは、経営活動の対価として、一流企業なみの利益率を得ることができてるかどうか、ということです。

チェーン企業と称する限り、店舗事業の利益率向上がメインでなければ、そこに嘘があるからです。

要するに、特定の年度だけの特殊な例や単なるラッキーなどではなく、きちんと準備を行い、手順どおりに業務改革活動をおこなっていけば、売上規模の大小にかかわらず、億単位の利益改善が毎年できる企業に経営者となって活躍することは、決して夢ではない」ということです。

実際、弊社が関わった企業で、現状利益の倍の水準に届いている企業は、他に何社もあるからです。

念のため断っておきますが「儲けている企業が勝ち」などという、低俗な煽り話をしたいのではありません。本当に活躍している人は、従業員やその家族から熱烈に支持され、多くのお客様から声がかかり、期待される…という事実を知っていただきたいのです。

数百万をかけても、その対価以上の生産性改善の成果を求め活動し続けることで、社員一人一人が活躍し、各々のその収入も増えていくのです。

我々は、常々コラムをはじめセミナーなどに於いて、「どの企業においても、必ずといっていいほど、独自の知識・知恵・文化が宿っています」と申し上げています。

真面目に仕事をしてきた人、現場で歯を食いしばって頑張ってきた人が活躍し、報われる企業になっていただきたい。

なぜなら、その積み上げてきたノウハウこそが、これからの日本のチェーン企業を大きく成長させる原動力になるからです。

本物の成長チェーンを望むのなら「生み出した資金で、社員が成長し、顧客を増やすことができるようになる」ことは非常に重要なことです。

逆に言えば、これができなければ、実に不安定な経営状態になりかねないということです。

生産性改善を始めたけれど、コストカットの話ばかりで、お客様を増やすことが出来ないまま、辛酸をなめないようにするには、この入口を間違えないということです。

さあ貴社では、まだ、一過性が招く不安定な経営を容認し続けますか?それとも 一定確率で利益改善の階段を昇っていく経営で譲り受けた資産を何倍にも大きなものに実現させますか?


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