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今週の儲かる繁盛店の視点 第430話:「チェーン小売業界、なぜ、自社だけが大幅減益なのか?」

「先生、私が社長をやってたきた中で、ここまでのコストアップは経験したことはないです」先日、セミナーに参加されたある企業の社長さんからのご相談です。

言うまでもなく、電気料金は昨年の約2倍近くまで上昇してますし、最低賃金の引き上げに伴い全体の賃金も上がり、ガソリン価格の高騰で物流コストも上がっています。

世間は3年ぶりの行動制限なしの夏休み、都内の電車内や駅のホームは、キャリーバックをコロコロと引っ張る人や家族連れが多く、首都圏近郊のホテルの予約状況はどこもいっぱい、お盆の新幹線も昨年の3倍という予約状況です。

3年近く自らの生活圏内での行き来しか出来なかった人間の心理として、制限が解除されれば、旅行、レジャー、イベント等に出かけたくなるのは自然の流れで、もはや止めることは出来ません。

企業で働く人もより高い成果を求め、情報収集活動に動き出すでしょうし、勤め先に限界を感じこの機会に転職される人も多く、経営者としても企業成長実現のために先んじ、制限解除をし動きだすことが求められています。

すでに欧米諸国が、コロナの規制を早期解除し、各企業がコスト増対策に一斉に動きだしたことで急激な景気回復とインフレが起こったのはご承知の通りです。

政治判断が自国企業に与える大きさを改めて痛感すると同時に、世界中の国の企業がコスト増と戦い、人時生産性を上げることに躍起になっているということです。

一方、国内のGMSやスーパー、ホームセンター小売チェーン業界はというと、先細る売上と販管費の増大に及び腰の状態。と言った感じです。

国内行動規制解除後の人の行動と人口減少が企業に及ぼす影響は想像以上に大きくなっています。今後、コスト増と売上急減の2つの状況が長引く中で、利益確保できる収益構造に変えていかなくては手遅れになるということです。

大事なことは、人時売上を上げていくための本質的なことをおさえ動いていかなければ、打ちては見えてこないということです。

各店舗はどういう状況にあり、何を変えてどう進めていくべきか? それを数値で示し、社長から全従業員が目標共有できるようなるにはどうすればいいのか?

「それが出来ないから困っている」という声が聞こえてきそうですが…

実際に、コロナ前からこうした準備をしてこられた企業では、コロナ期間中も、ムリな売上アップや効果の見込めない販促強化に手を染めることなく、競合他社の倍以上の利益を出している企業がいくつもあります。

そういった企業に共通していることのひとつに、人時売上をあげていくためのツールがあります。

例えば、人時実績表、非効率業務改善、作業指示書といったものですが、一見、どこの企業にもある情報を組み合わせることで、だれにできそうなことにも見えますが、ここで大事なことは、決められた順番で行われているかどうか?という事です。

例えば「人時実績表」→「非効率業務改善」→「作業指示書」と言った具合で進めていけば、すんなりいくわけですが、なぜか避けてしまうツールが、2つ目の「非効率業務改善」だったりします。

わざわざ手間のかかりそうな非効率業務改善を別にやらなくてもいいのでは?と思われる方も多く、

「非効率業務改善」と聞いただけで、「うーん…」と眉をひそめる方もいて、先に、LSP(レイバースケジュールプログラム)からいきなりスタート、してますというケースも珍しくありません。

しかし、どちらが役立つか…。そういう現実的な意味では、非効率業務改善の方が圧倒的に重要になってくるということです。

なぜ、「非効率業務改善」がそれほど重要なのか?…

これには理由があります。人は、非合理なやり方を、無意識と言えるレベルでやりつづけてしまうからです。

当社セミナーで必ずお伝えしていることのひとつに、人時生産性は、一定の確率で変わっていく実績がつくれるかどうかが極めて重要となる。ということです。

もし、ここで、社長が非効率業務改善を飛ばして、LSPの導入話を指示したとしたら、結果がついてこないことから、主管部門の協力を促したり、現場の店長に伝える内容も曖昧なものになります。

先にご相談にお見えになった企業もLSPだけ先行導入して、5年間もの間、生産性が上がらなかったようで、非効率業務について着手してこなかったことが明らかでした。

また、運営部長任せになっていたことから、主管部門の協力が得られず、現状のスケジュールをLSPに置きかえただけの「なんちゃってLSP」としてやったつもりになっていたというわけです。

すべてのプロジェクトに社長が関与する必要はありませんが、「人の心は楽な方になびくもの」、こんな状態であれば、店舗の状態がどうであるかは想像がつくものです。

「たかが、現場カイゼンで大げさな…」と思う人がいるかもしれません。しかし、他社事例から、知ることが出来ないのが「非効率業務改善」であり、本気で自社を題材に進めていくには、ビジネスセミナーや本で聞きかじった程度では歯が立たないからです。

経営者であればこれまでセミナーに何かしらのセミナーに参加されたことがあることと思います。そこで、他社事例を見て「うちでもやってみようと、少し意識が変わる」ということが、実際に多くの人に見られる変化です。

特に、研修要素の高い内容の場合、即効性のある売上対策が多いため、単に他社の売れる店のモノマネをしようとする企業にとってみれば、いいモチベーションアップになる訳です。

しかし、人時生産性を目指す企業の場合、話は変わります。言ってしまえば「耳触りのいい話よりも、自社の生産性改善ができなければ何の意味もない」からです。

批判を恐れず申し上げれば、研修や講義に経費をかけるより、社員に嫌われても全然かまわない、「非効率業務を一件でも多く解決できるかどうか…のほうがよほど重要」ということです。

無茶苦茶なことを言ってるように聞こえますか?冷静に考えてみてください。

あなたの店の前に立って、日々買いに来てくれるすべてお客様に、ニコニコといくら愛想を振りまいたり、目を引くような商品陳列をしても、その結果「営業利益率がマイナス」になっていませんか?ということです。

断っておきますが決して研修(接客・売場づくり)が悪いということではありません。人時売上の本質が欠如したままの研修をいくらやっても、人時売上をあげることは出来ず、成長を手にするのは夢のまた夢ということです。

かと言って、利益率を上げたい一心で強引にコストカットだけを進めようとすれば、当然問題になりますので、ほどほどにしなくてはなりません。その「いいあんばいの状態」をつくりだしていく鍵となるのが、非効率業務改善なのです。

非効率が繰り返され、やり方手順の統一が出来ないことを言い訳に、生産性が上がらない企業は、こういったことを避けて通るろうとしているからに他ならないのです。

さあ、貴社ではまだ、売上げ減少とコスト増加を嘆き業績不振の言い訳をし続けますか?それとも、今すぐ、やるべきことと数値を掲げ、大きく飛躍しますか?


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