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今週の儲かる繁盛店の視点 第453話:「なぜ、前年並み予算は企業をダメにするのか?前年並み予算企業の行く末は?」

先生、 今年は、大きく前年実績を割ってしまいました。来年は何とかしたいのですが・・・

年末に、食事をしながらのとある企業の社長さんとの会話です。

来期の予算はどのくらいでしょうか?とお聞きすると、「前年並み」とのこと。

―――なぜ、前年並みなのでしょうか?

「前年実績を割るような予算は組みにくいもの…」と口こもられます

聞くところによると、もう10年も予算達成ができていないため、前年実績=売上予算になってしまっている。とのこと。

そもそも、予算とは、企業永続のために中期計画として策定する数値です。いわば、成長、利益創出、投資のサイクルに基づく経営指標です。好むと好まざるにかかわらず、経営として、実行・実現化ていかなくてはならないものであるということです。

「それが、出来ないから困っている」という声が聞こえてきそうですが、

おっしゃることはわかります、しかし、今のまま、事業や資産売却で、食いつなぐ経営をいつまで続けられるつもりでしょうか?とお聞きすると

「うーん」と言葉に詰まります。

各社お考えがあるのでそれをどうこう言うつもりはありませんが、言い方を変えれば、現金化する手立てがなくなったところで、ジ・エンドだということです。

実質赤字で身売り同然でどこかの傘下に吸収された企業。ある日突然「閉店のお知らせ」の張り紙で破綻した企業等々の話がネット上に上がったのは、まだ記憶に新しいことと思います。

現状の収支と店舗状態しっかり見据え、どうやって必要利益を確保していくべきか方向さえ定め行動していれば、特別に難しいことをしなくても回避することはできたものばかりだからです。

しかし、支払いが滞る状態まで、効果のある策がとられなければ手遅れになります。そうなる前に、確実にとれる売り上げ見込みを立てることから始めていきましょうということです。

気をつけなければならないのは、売上見込が前年比を下回るからと言って、見栄を張り、売上予算を前年比並みにするのではなく、競馬の騎手が馬の走りに任せる「馬なり」で、無理のない経営数値を組み立てるということです。

そこから、投資枠がどれぐらい確保できるかを想定し、その資金を店舗オペレーション、改装・出店・商品の順で投資計画を実行していくということです。

もし、投資枠が1円も確保できない…ということであれば、まずは、投資枠を200万でも300万でも良いので少しでも多く確保することが経営の仕事となります。

なぜならば、経営の立て直しは先行投資でしか将来の成長を実現させることが出来ないものであり、借金をしてでも投資に回すお金を用意することが大事となるからです。

「そんなお金があったら運転資金に回す」という方がいらっしゃいますが、目の前の大量の出血を止めてからでなければ、企業生命の存続などあり得ないということです。

――――具体的にどこから止血していくべきか?

手を付けなければならないは営業最前線となる店舗オペレーションであり、ここでの出血(資金流失)を止め正常な運営ができる状態が整えてから、改装・新店、商品の順で進めていくことになります。

緊急事態を回避し、結果を手にすることから取り組むことで、これまで悪化した店の収益構造のどこに問題があったのかを短時間で知ることができるメリットがあるからです。予算未達企業は、こういった順番を飛ばし、いきなり商品の開発から始め、せっかく投資したお金を値下げ等で無駄にしてしまうということです。

おりしも、新年仕事始めから早一週間が過ぎ、52分の1週間が終わりました。年の初めから・・・もう年末の話?と言われるかもしれませんが、2023年砂時計の砂は落ち始めています。

これから、決算期を迎える企業にとっては、期首から勝てる週を増やすことが出来るかどうかが、四半期、半期、年間に大きく影響してきます。

ビジネスとは一定の期間での評価結果を問うもの、仮に最初の第一週から、4週連続で利益をプラスさせることが出来れば、期首月として好スタートを切れたことになります。

もしこれが、逆の場合、やるべきことはまったく変わってきます。

期首から、リカバリー対策を立てながら、回していかなくてはならないことから、売上マイナス分が増えるのと同時に、業務量も雪だるま式に増え収支悪化のスパイラルに入り込みます。

よくあるのが、販促強化でチラシを増やし、売れない量と分かっていながら、無理に商品を送り込めばどうなるか?値下げロス、そのための作業ロス、在庫ロスだけでなく、それらに関わる膨大な人件費がさらに乗っかってくることになります

かつて人口が増えているときであれば、意図的に商品を送り込んで、残業して商品を積めば売上利益も確保することが出来ました。

売上は伸びず、あらゆるコストが上がり続ける中、実勢値に基づいた発注量で利益を出していくことが欠かせないのはいうまでもありません。

店舗運営部が算出した人時売上予算をもとに、売り場づくり、棚割り、特売計画で、きちんと年間収益が確保できる計画を立てられるかどうかが、予算達成の分かれ目なるということです。

問題は、そうした売上、コストの両方で、効果を生み出す新たな施策が社長ご自身の頭の中に描かれたものがあるかどうかということです。

同じことを繰り返すのは社員にもできますが、新たなプラスオン企画やリカバリー策は社長にしか描けないことから、ここで打ち手がないという状況を改めない限り、負のスパイラルからは絶対に抜け出すのは出来ないということです。

今、日本のどの企業も、大変な局面を迎えています。売上が戻らないなかで、新らたなチャレンジをすべく投資枠を確保し、微力ながら我々もそういった企業の成長活動の一助を担っております。

小売り、製造、物流、どんなところも目指す仕事は同じはずです。そこに 大手企業も中小企業も関係ない、大事なのは傍観者ではなく、主役としてどう働くかです。

私たちは、チェーン業界に日々買いに来てくださるお客様の暮らしや、従業員、そしてその家族、すべての人の暮らしを預かっています。

前年並みという予算に胡坐をかくのではなく、足元に潜む闇に注意を払い、執行プランにもとづく経営予算を作っていくのが経営使命ということです。

予算とは、社長を中心に、真剣に議論した執行プランで、従業員との信頼関係のもと達成実現させていくものだからです。

さあ、貴社ではまだ、前年並みの形式予算で、マイナススパイラルに翻弄されますか?それとも、社内の信頼関係を築く執行計画で、結束力を高め大きく飛躍しますか?


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