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今週の儲かる繁盛店の視点 第467話:「なぜ、現状の悪循環から抜け出すことが出来ないのか?」

先日、スーパーのレジで並んでいると、前方のお客さんがなにやら「前の人の商品が入っているんじゃない?」と大きな声で言っていて、もう一度スキャンをやり直す光景を目にました。

結果的に、レジ清算の間違いはなかったようで「こんなに高くなるのね?ごめんなさい」といってお客さんも納得され、値上げ問題がこんなとこにも影響が出てると思うとレジスタッフの方も大変です。

毎日買い物しているわけでない私でさえ、トマト缶詰が97円⇒150円、たまご198円⇒258円と電気代レベルの食料品値上げはわかります。一回あたり3,000円台だった買い物も、気をつけないと5,000円を超してしまうことから、必要最小限、節約といったことへの意識が、否が応でも働くものです。

こうなると、企業側も、販促強化でチラシを増やしたり、訴求期間を変えたり、折込み部数を変えたりとあの手この手でやろうとすることから、店のコストが膨らむという悪循環が起こります

先日も…

「先生、少し前に事業拡大したのですが、売上は上がったものの、利益は減ってしまっていて…」とセミナーに参加された企業の社長さんからのご相談です。

お話をお聞きすると、薄利多売から抜け出そうと、高単価の新事業を立ち上げたものの、企業トータルで赤字なってしまっているとのこと。

現状の打破のため何か新しいことをやるというのは、決して悪いことではありません。流れを変えたり、新しいチャンスを掴むためには、毎年そういった新しいことへのチャレンジは不可欠です。

しかしながら、その取り組みが必ずしも売上・利益面でプラスになるとは限らないということです。そのため計画したものの効果が得らない場合、やり方の修正見直しはもちろんのこと、予め期限を決め止める算段をしておく。ということです。

例えば、店舗販売が本業のスーパーが売上マイナスの穴埋めにと「ネットスーパー」や「移動スーパー」を始める企業がありますが、果たしてどうなのか?といったことです。

ネットスーパーや移動スーパーなどはお店に来られない人にアプローチできることから、その分の売上は上がります。その一方で、システム投資、販促費の他に、売上変動にかかる人件費や配送費によって、事業の収益化が難しく、全社の減益原因になるリスクもあります。

本来であれば、実験店を設定しいろいろな角度で検証し、ダメと分かった時点で撤収となるわけです。ところが、なぜか、主管部門の意見は売上低下を理由に展開を加速させてしまうことがあったりします。

それが原因で、3期連続赤字であと何年もつか?という状況にまで実際追い込まれた企業もあるくらいで、全社リスクに関わることはしっかり、経営判断をもって止めさせないと本当に大変なことになるということです。

主管部門にとって何か新しいことを始めるのは簡単でも、利益にならないと分かっても、「売上が減る」「いつでも止められる」「今やめなくても」といった擁護意見が出てきて、それを止めるのは、簡単ではことではないということです。

新規事業に限らず、社内に無数にある不採算業務の見直しも同じで、不採算作業ごとの収支で、利益が出ていないことがはっきりしても、主管部門の評価が下がるようなことはやろうとすると反対意見が出て、結局何も変えることができないというのはよくあることです。

しかし、限られた人員とコストで収益を上げていくのがビジネスの基本、そのためにまず、何かを止めて流失するお金を止め、投資資金を確保しなくてはなりません。

それにしても、そういった主管部門の立場的な問題はあるにしても、なぜ、会社にとってマイナスな不採算業務をやめることが出来ないのでしょうか?

「それが分かれば苦労しない」という声が聞こえてきそうですが・・・

――――店舗と本部が目指すべき指標がバラバラ、と申し上げています。

例えば、販売促進部にとってみれば、チラシ予算を使って、売上客数を上げることが目標になってきます。しかし、作業指示書がない状態でチラシを増やせば店舗では想定外作業が増え人時売上が落ちます。また、財務を優先させれば、利益を生まないネットスーパー等の新規事業等への投資は店舗作業量が増えるだけでここでも人時売上は落ちます。

部分最適にこだわればこだわるほど、売上に振り回され、現場は疲弊し、安定したサービスが提供できずクレームが増えるのはこのためです。

断っておきますが、部分最適が悪いということではありません。しかし、企業の収益の根幹をなすのは店舗運営であり、その人時売上を上げることで得た収益で投資をすることでしか、企業の未来は描くことが出来ないからです。

そのためには、店舗と本部が目指す指標を人時売上高に統一することが必要になってきます。人時売上高とは一人が1時間あたり売りあげる金額のことで、売上高÷人時数で算出します。営業利益をコントロールする最小単位で、人時売上を上げることで収益力を上げていくことができます。

人時売上を上げるには2つの方法があり、「売上を上げる」か「人時を下げる」のいづれかになります。「売上を上げる」とは、キャンペーンやプロモーションで売上を上げていく方法で短期的に結果を得ることが出来ます。外から見えるのでわかりやすい反面、人手を多く抱えるためコスト高となり、競合他社にまねされやすいというリスクがあります。

一方、「人時を下げていく」方法は、作業量に応じて人時を割り当てる方法で、長期的に安定した結果が得られます。外からは見えにくいため定着するのに時間がかかるものの、全体を見ながらどこを改善し、具体的に不採算業務をいつ止めるべきかといった、課題解決に威力を発揮してくれます。

実際この方法で、コストをコントロールが出来るようになると、リストラ候補だった店舗や事業が閉鎖を免れ、気づけば、全社営業利益率が倍になっていたというのはよくある話です。

さあ、貴社では、まだ、現状維持の悪循環を続けますか?それとも、全社利益を増やす人時売上活用で、自然体で利益を増やす経営体制に移行しますか?


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