今週の儲かる繁盛店の視点 第555話:「2025年を飛躍の年にするために」
2024年も余すところ、あと僅かとなりました。春闘賃上げが消費を後押し、30年続いたデフレから一歩踏み出す 歴史的な年であったと言えます。
1、成長ビジョンを描くことができないトップが交代を迫られた年
2024年を振り返りますと、賃上げ、少数与党、トランプ再選という、誰もが予想だにしなかったこと。とまではいわないまでも、「やっぱりそうか」といった様なことがおきました。
春闘賃上げは、経営に対して、構造的な収益問題の改善要求を突き付けるカタチになりました。
政界も自民が過半数に満たない「少数与党」となり、野党が一致すれば、いつでも不信任案が通る状況となりました。
戦争ビジネスからの脱却「ピース」を掲げたトランプ氏がアメリカで再選し、米国の新組織「政府効率化省」のトップには、テスラのイーロンマスク氏が任命されました。
日米規模は違えど、国がこうして企業の成長を後押しするわけですから、もっと、各企業は利益をあげられるはず…となり、収益問題を抱える企業経営者にとっては、今後、業績不振の言い訳がしにくくなるというわけです。
2024年だけでも、成長戦略を描けなかった地域小売りチェーンが、大手の軍門へと下った数は10社を上回っています。
地域チェーンだけではありません、某コンビニ大手も円安を背景に、海外からのM&Aを迫られるといった動きになっていて、成長ビジョンを描けない経営トップは、不要なことに時間を割かれるといったことが起きた年でした。
2,インフレによって人の動きが大きく変わった
国内企業の業績は、前年の売上を大きく上回る結果となりました。
しかし、こと小売チェーン業界においては、同じように売上は伸びたものの、その多くが減益で、人件費が足を引っ張る形になりました。
長年のデフレというぬるま湯の中、小売りチェーン業界では、業務改善はムリにしなくてもいいし、給与はそんなに上げなくても…という業界の常識が覆されはじめた年といえます。
業務改善によって人件費は減らさなければなりません、しかし、時給や給与を上げなければ優秀な人材は確保できません。
最低賃金格差は今後さらに是正されていくわけですし、それに準じてベテランの人も賃上げしなくてはならないわけです。
コストコでは時給1850円で新規採用募集がかけられていますが、あそこは外資系だからといった言い訳が、今後通用しなくなるのは時間の問題となるはずです。
こうした中、実際にお手伝いさせていただいてる企業では、まず手始めに、「深夜に高い時給を払って高収益を上げる24時間営業」にかじを切ってる企業もあり、着実に成果があげておられます。
コロナを境に、外食の自粛をはじめコンビニすらも営業時間の短縮といったコトが起きました。
しかし、今は、再び人は動くようになってきているため、24時間営業で、新たな商機見つけることが出来、十分な給与も支払うことが出来ることもわかっています。
このようなステップを踏むことで、全体の収益アップを実現し、セカンドステップとして全給与体系の見直しをかけることも可能になるわけです。
3、インフレは価格感度をさらに高める
インフレの当初は、売上利益も上がるが、インフレが定着すると価格競争が起こり従来型の販促が効かなくなります。
特に、日替わりチラシやクーポンといった、専業主婦が多かった30年前からやり続けられた限定企画が問題で、いまだ多くの企業がやり続けているものです。
少し考えてみればわかることですが、そういったお客さんが、高齢化で来なくなったにもかかわらず、いまだに、効果ありと信じてやり続けていくことに疑問を感じませんか?ということです。
断っておきますが日替わりチラシ・クーポンが悪いということではありません。
まずは、いまある全ての販促企画の効果測定を実施し正しく評価をする。ということです。
その結果、うちのマーケットは専業主婦で時間に余裕のあるお客様が7割という地域のスーパーはそれでもいいと思います。なぜなら、限定企画実施日に合わせてお客さんが買いに来ることが出来るからです。
しかし、多忙な有職主婦が7割を超える市場では、そんな人は僅かですから、いつでも、好きな時に、欲しい分、安い価格で書くことが出来る。そいういった店舗が求められているということです。
「限定企画」から「常時企画」いわゆるEDLPへのニーズが今後一層高まるということです。
かつて、20年前、日本でEDLPは定着しない。と多くのマスメディアは騒ぎたてていました。
実際、前職ウォルマート西友の時代は、まさにそういう状況でした。
たしかに、デフレ経済では、EDLPの威力は当然低く映ります。
それでも、長年の赤字状況から脱し黒字転換し、店長に1000万の給与を支払う国内小売業トップクラスの高給与モデルをつくることができたのは、他ならぬEDLPだったからです。
なぜなら、それは、EDLPの本家、米ウォルマートが(従業員)一人一人を尊重するという信条に基づいた考えで、ウォルマートは売上だけでなく、給与も業界のトップを走り続けているからです。
もし、この本物のノウハウを学ばれ自社で取り入れたければ、1月セミナーで、その一部をお話しますので是非お越しになってください。
著:伊藤稔