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今週の儲かる繁盛店の視点 第531話:「いつまで続く? 食品値上げの恩恵」

先生、ここにきて 売上が昨比を割り始めました、ここからが勝負ですので頑張ります。

と笑顔で話されたのは、あるチェーン企業の社長さんです。

実は、こちらの企業、2025年問題に向け、数年前から人時売上改善に取り組み、この日がくるのを待っていたのです。

「売上が下がる日を待つ?」 一体どういうコト?と言う声が聞こえてきそうですが

そこには、人時削減に取り組む企業として共通の悩みがあります。

売上が良い時ほど、どうしても、売上に気を取られ、人時改善=コスト改善がなかなか進みにくくなるということです。

実に悩ましい問題なのですが、大事なのは、これ以上はムリという売上高の水準に、チャレンジしておく?ということです。そして、その時の収支報告書をつくっておくということです。

「え? たったそれだけ?」という声が聞こえてきそうですが…

現実問題として多くの場合、こうした記録がなく、売れた記憶しかないため同じことが繰り返されています。

冷静に考えればわかることですが、多大なコストをかけ無理やり売上をつくっても利益が増えていかなければ意味がありませんし、そもそも長続きしません、

コントロール出来ない売上依存には限界があることという考えをまずは共有することです。

そうでないと、まだ、上がるんじゃないか?とか、もっとチャンスはある?と売上に対する未練が残りずるずると無意味な販促強化策に時間とお金を投じることになりかねないからです。

多少売上が下がっても、人時さえコントロール出来れば、人時売上は上がり利益を増やせますので、その資金を成長戦略に回せるといった認識を共有するということです。

人時売上を重視する企業と、売上重視の企業の大きな差はココで生まれます。

人時売上を重視する企業は、売上の上下に関係なく、コントロール可能な人時を中心に利益目標を達成させていきます。

一方、売上重視の企業は、コントロールできない売上にありったけの時間とお金をかけ利益を悪化させます。運よく売上があがればいいですが、売上は上がるとは限らないため、売上が落ちた時はすでに万事休すとなります。

「売上が下がる期間」というのは、人時売上を目指す企業にとってはまさに宝の山なのです。

そうした改善施策に取り組むことで、利益の取りこぼしが少なくなり、ますます、人時売上は高くなります。

人時売上を計画できるようになると、日別の作業量に対して、確実に人を割り当てていくことができるようになります。

24時間にわたり、人時を使いこなすことが出来るようになるということは、どの企業よりも人件費を効果的に活用できるということです。

SMチェーン業界の2025年問題とは、「値上げの鎮静化よる売上低下問題」と「労働人口減によるコストアップ問題」の影響が大きく出始めるのがこの年であることを意味します。

前出の企業の場合、労働人口減によるコストアップを早期解決するために、この売上低下のタイミングで、利益を生まない業務一掃作戦を実行していこうというものです。

言わずもがな、この結果いかんで企業の将来は大きく変わってくることから、冒頭の社長の笑みがこぼれた理由も納得できるというものです。

2025年問題というと、システム投資や人材不足問題と思われがちですが、実はその前にこうした、下支えの準備こそが極めて重要になるということです。

このポイントを外してしまうと、人時売上が全く上がらないシステム投資や物流投資、にお金と時間が費やされ業績悪化に突き進んでしまうからです。

コストアップ問題がクリアできますと、時間的にも資金的にも余裕が生まれ、売上回復策に繋げていくことが出来ます。

さあ、貴社では、まだ、売上重視の収益アップ策に固執しますか?それとも人時改善中心の収益アップ戦略に一歩コマをすすめますか?

著:伊藤 稔


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