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今週の儲かる繁盛店の視点 第566話:「なぜ、買い上げ点数、客数を増やすことが出来ないのに賃上げをするのか?収益を上げられない企業のいく末は?」

「先生、売上は前年比を上回っているのですが、点数、客数が下がってるんです」少し前にセミナーに参加された社長からのご相談です。

お話をお聞きすると、米の価格が暴騰していて、売上はとれても利益はそんなにとれていない。

一方で、点数、客数が減ってるのだからもっと人件費は下がってもいいはずなのに下がらない。

水光熱費もあがっていることから、このままでは、昨年の二の舞になりかねないとのこと。

――――具体的に何を相談されたいのですか?

毎年の賃上げに対応できるよう、店舗収益力をアップさせたいのです。

――――収益力をさせるには、何が明解になったらよさそうですか?

毎年上がっている人件費に歯止めをかけること。単価アップに依存しない売上アップ策。この二つについて明らかにしたいのです。

わかりました。実際そういった状況から脱却され成功した地域のスーパーA社の事例が、参考になると思うのでお話させていただきます。

そのA社も、数年前まで、客数、点数が年々減少して売上低迷に悩んでいました。

その中には、利益の出ない実質赤字店舗も数店あり、その黒字化が重要課題になっていました。

社長の想いとしては、まず、この赤字店を何とかしたいということから、このうちの1店H店について調べてみることになりました。

しかし、H店の過年度PLを拝見すると、売上の絶対額が低く、人件費もかなり削っていたことから、これ以上何が出来るかどうか、正直、不安だったことを今でも覚えています。

そんなH店にお伺いし、話を聞いていくと、社員やパートさんの中に、いろんなアイデアをもっている人や問題意識を持った方が大勢いることがわかりました。

また、店舗も老朽化がそれほどすすんでいないかったことから、これはひよっとすると大化けするのでは・・・と直感的に感じたのです。

ただ、本部が売上をあげることにこだわるあまり、単独チラシや、クーポンを多数実施していたことからそのための人員がかかる。

また、作業割当表があっても無駄が見えないため、人件費が減らないことがわかりました。

こうして、H店はパイロット店舗として取り組みをスタートし、そこから2年が経ちました。改めて、A社全体の数値はどうなったかと言いますと。

A社全社の売上は横ばい傾向で、客数・販売点数は相変わらず前年割れがつづいてました。

ところが、H店だけは、売上、買い上げ点数・客数が突出して伸びている。それも、20%を超える状況がつづいていたのです。おまけに、人件費もしっかり下がっていることから、黒字化を軽くクリアして、利益はなんと、以前の4倍へとなっていたのです。

なぜ、こんなことが起きているのかと申しますと、

「お客様をお待たせしない」ことをどうやって実現するか?を徹底的に集中してやってきたからです。

というのは、H店のパートさんがいかに優秀な人が多いといっても、絶対人数が少ないためやることには限界があります。

つい、本部の指示をすべて忠実にやろうとすると、本来やるべき、客数・点数を上げることが疎かになっていしまいます。この問題を解決するために非効率な業務を洗い出し止めていくようにしました。

じゃあ、客数・点数を増やすことは何かというと「お客様をおまたせしない」ことです。

例えば、「品切れを無くす」、「レジでお待たせしない」といったことです。

今はインターネットでなんでも待たずに買えますし、ドラッグストアでも食品がワンストップで買える時代です。

せっかく来てくれたお客様を「お待たせ」しなければ、繰り返し来てくれますし、たくさん買物をしてくれるからです。

「そんなことで、客数が増えるのか?」 という声が聞こえてきそうですが

―――増えます。とはっきり申し上げています。

先のH店では、「毎日お客様の声を」全従業員がメモカードをもって売場で書き留め、毎日集めています。

始めたころは月に100件を超していた「お客様の声」を一年かけて一個ずつ、地道につぶしていった結果、半分以下に減らすことに成功できたのです。

そんなことで?・・・と言われる人も多いのですが、

百聞は一見に如かず、見よう見まねで良いので、いますぐ是非やってみてください。

おやりになってみるとわかるのですが、特に多いのが、商品についての問い合わせです。

「この品切れしている商品はいつ入荷しますか?」といったことや、「取り扱いのない商品への取り扱いリクエスト」などです。

実は、こういったことをきちんとやっているスーパーは聞いたことがありません。

なぜならば、「お客様の声」を集めても、それを活かす考え方や仕組みが揃っていないからです。

そういったことを想定し、H店では、お客様の声を活かす仕組みとして、人時作業指示書をレイバースケジュール化し日々の作業進捗状況を共有できるようにしました。

集めた「お客様の声」にどうやって対応していくか?をスケジュールに落とし込んでいくことで、この作業が中途半端に終わらないようにしたのです。そして、ついに、このお店にふさわしい客数アップ策を発見することができたのです。

そのアップ策とは…

「24時間営業」でした。

H店では、これまで、どんなに頑張っても朝9時に品出しが終わらず、「品切れになってる」状態を改善することができませんでした。

原因は、すべて商品納品がされているのに、人手不足で出せないボトルネック問題にありました。

そこで、朝の品出しを深夜に全てもっていき、朝9時完全品出しを試みたのです。この結果、なんと、午前の売上が2割もアップするようになったのです。

誰もいない深夜に作業すれば2倍のスピードで終わらせられるので、昼間の半分の人員で出来ることが分かりその結果人件費は減るという、一石二鳥を手にすることが出来たのです。

皆が力を集結し、お客様の声を聞いていくうちに24時間営業をやった方が良いと判断することができたわけですが、その結果、地域のお客様の心を掴むことができたのです。

さあ、貴社でも、「今すぐ お客様の声」を集め始めてみてください。貴社のお店にマッチした新しい戦略が必ずや見つかるはずです。

この続きはセミナーで…

著:伊藤 稔


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