今週の儲かる繁盛店の視点 第578話:「年間利益目標を着実に達成出来る企業と、第一Qから予算未達で惨敗に終わる企業の違い」

今週で5月も終わり、チェーン小売業界は2月決算が多く、5月で第一Qが終わります。
年度の4分の1が過ぎ、ここで目標に対しプラスになっているかどうかで、年度見込みが決まるといっても過言ではありません。
そうは言っても、「売上はコントロールできないし、人件費だって他が時給を上がればウチも上げざるをえない」
「大手ドラッグやDSが次々と出店してくる中、果たして地域のスーパーやホームセンターに明るい未来があるのか?」と悩まれる経営者の方もいらっしゃいます。
実際に、ご支援させていただいてる企業の社長もセミナーお越しになられた当初は、かなり憔悴しきった感じでした。
個別相談でめざす方向を確認し、プロジェクトがキックオフしますと社内のムードが徐々に変わり始めました。
なぜそうなったのか?後にお聞きすると、「3カ月経つあたりから数値が変わり始め、具体的に将来がどのように変わっていくのかが見え安心できた」からだそうです。
こう言いますと、
「3カ月で数値なんて変わる訳ない!」「無理なコストカットやらせてるのでは?」とか「一過性のことで次年度はそこから先は伸びないのでは?」という声が聞こえてきそうですが
目標達成へ向け、結果が変わることだけに絞り、進めていくだけなので、ムリ、一過性、といったことはありません。とはっきり申し上げています。
正直申しまして、弊社にお見えになる社長さんで、人件費のコントロールが上手くいっている人はゼロです。
だからこそ、少しずつ行動を変えていくことで、結果が変わるという自信をもつことで、社内の風通しがよくなり、プロジェクト店舗では、笑顔が増えるようになります。
そして、この取り組みをやり続けていくことで、気づけば、3カ月後の店舗利益が変わっていった。ということです。
この取り組みとは「人時売上(ニンジウリアゲ)」のことです。
前出の企業も、ポイント倍増日を増やしたり、クーポンを増やしたり、チラシを増やしたり、一時的に売上があがっても継続的に利益が増える決定打につながるものはありませんでした。
ところが、人時売上という言葉が店舗内で、理解されることで、人件費が下がり、その数値を見たパートさんが、さらに良くするにはどうすればいいのか?といった質問や会話が生まれるようになっていったのです。
人時について、ネットやAIを使い調べても、スタッフの教育と育成、業務効率化、人員配置の最適化、そして顧客満足度向上を目指した取り組み等、といった言葉は出てきますが、具体的に、なにをすればいいのか?ということは出てきません。
だからといって、
その度、やってみて、自分たちが検証して…といってやっていたのでは、いくら時間があっても足りません。
何に絞ってやれば、いいのかを決め、それを、着実にやっていく。その上で、今期の目標に対して、一定の期間で結果が得られるプランを作成し、それを実践していくのに、我社はどこまでリソース(人)が揃えられるのか?
といった準備してからやらないと、時間だけは過ぎたが何も変わらない?ようでは、疲弊するばかりだからです。
人時売上とは 一人当たり時間売上高のことで、売上高を人時数で割ったものです。
その売上を達成していくのにどのくらいの人時数が必要なのか?企業の販売力を示した数値といえます。
いわば、人時売上は目標達成に向けた進捗状況を、数値で明確に評価・分析するための指標です
ここで大事なことは、人時売上は現場で管理できる数値であるということです。つまり「下がったら上げるようにする」ことが重要で
月に一回、幹部が集まって、でてきた結果を前に、延々と議論することに全く意味はありません。
この数値を達成すれば、利益目標は達成できる。だからこれ以外のものはやらずに、ここだけに絞ってやる。ことが重要なのです。
さあ、貴社ではまだ、月に一回、幹部が集まって、でてきた人時売上を前に、成果の出ない議論を続けますか?それとも、店舗で人時売上を管理コントロールできるようにして、下がっても上げられる仕組みで今期目標達成を目指しますか?
次に、成功を手にするのは、社長あなたの番です。
著:伊藤 稔