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今週の儲かる繁盛店の視点 第588話:「なぜ、生産性の高い会社は、設備や機器が常に新しいのか?」

先生 売場でパソコンが足りないって言うのですが、どう思いますか?
とあるチェーンの社長さんからのご相談です。

お話をお聞きすると

POPを作ったり、メールを確認するのに、パソコン台数が足りない、動きが遅いという声があるんですが 闇雲に増やしたくないとのこと

ーーー動きが遅い?と言う声が出ているということは、ひよっとすると耐用年数が過ぎてる可能性がありませんか?とお聞きすると

「えっ?」と口こもられます。

「大切に使っている」と言えば聞こえはいいですが、パソコンの耐用年数は4年です。

部品供給があるからといって引き伸ばして使ってると、ある日突然、目の前の作業が出来なくなったり、保存データが呼び出せない。といった事態が起こるということです。

一方で、生産性の高い企業では、減価償却がおわったら最新機種に直ちに切り換えます。

理由はシンプルで、すべての作業は想定外の出来事が、作業効率の低下になるだけでなく、従業員のストレスにもつながるため、マイナス要因しかないからです。

語弊を恐れず申し上げれば、パソコンおよびサーバーの更新費用を稼ぎ出せないようでは、企業としてシステム機器を使う資格はないということです。

そうは言っても、思い通りいかないのが経営です。

ご指導をさせていただいてるクライアント企業でも、キックオフ時、お金がないとの理由で店舗のパソコン端末買い換えができず、作業が滞るということが続いていました。

また、プロジェクト店では売上規模のわりに人時売上が低くかったため、協力をいただきながら、実態調査を行っていくと問題点が見えてきました。

例えば、チラシ売りだしの朝、POP作成のためにパソコンを使おうとすると、先約がいて、席が空くのを待つこともしばしば、ようやく作業ができるとおもいきや、パソコンの動きが遅く時間がかる。

社長さん曰く、システム更新したのは10年前とのこと。

 冷静に考えればわかることですが、10年前は、働く人も大勢いて、人件費もそれほど高くありませんでした。

パソコンの前で多少待つことがあっても、慣れるまでの辛抱として大きな問題にはなりませんでした。

ところが今は、人件費の高騰が続き、人手が不足していて作業が進まないことがあちこちでおこってます。

老朽化した遅いパソコンが空くのを「待つ」というのは、想像以上のストレスになるということです。

飛行機や電車が遅れればTVはその影響を受け「待つ」人の声が大きく報道されます。コメ騒動でも入荷を「待つ」消費者の声が大きく報道されました。

スーパーやコンビニのレジで待たされる店が敬遠され、コロナを機に病院の「待つ」時間についても、人々の意識は変わってきていています。

反対に、待たずにワンクリックで買えるAmazonやネット通販は大きく伸び、関西大阪万博では、「お待たせしない入場体制」を売りに入場者数目標を大幅達成見込みの勢いです。

こういった状況から、職場の作業で「待つ」時間が発生する?とは、サービス低下につながるため、まさに経営の手腕の見せ所ということです。

話をもどしますと、

プロジェクト店を調べていくと、売場責任者がチラシ売出し日に一時間早出をしてパソコン席を確保してることもわかりました。そして、早出は徐々に増え、気づけば毎日早出している状況になっていってたことも見えてきたのです。

そのため、店舗トータルの労働時間が年間200時間以上増え、人時売上が上がらない原因のひとつがここにあったこともわかりました。

売場責任者の時給を2000円×200時間とすると年間40万です。パソコン1台10万として2台新規購入しても20万。投資回収わずか6カ月できる計算です。

人件費比率の高い労働集約業種では、人件費より高いコストはないことがここでも証明されたということです。

一人一人が、売上をあげることに、いかに専念できる環境を整えることが出来るか?これを実行するのに欠かせない数値が人時売上なのです。

人時売上とは、一人当たり時間売上を示す値です。何に投資をするにしても、この指標がどうなっているかを見ることによって、会社の未来は大きく変わってくるということです。

さあ、貴社では、それでもまだ、人が多かった時代の耐用年数を過ぎた設備を使い続けますか?

それとも、少ない人で、確実に儲かる業務改革と合わせたシステム投資で大きく成功しますか?

著:伊藤 稔