今週の儲かる繁盛店の視点 第589話:「なぜ、モノマネEDLPが続かないのか、その本質がわかっていない企業の行く末は?」

先週は、猛暑日がつづきました。
それにしても、40度なんて日が続くと、あれ?エアコン壊れたかな?と思うくらい
室内でも、汗がしたたり落ちるような暑さです。
不思議なもので、連日の暑さに慣れると35度でも、なぜか涼しく感じるものです。
慣れる?といえば、企業も同じで、新規競合がしばらくでてこない環境に慣れてしまうと、ある日突然、競合が出てくると、想像以上のダメージを受けるものです。
これまでマーケットに恵まれ、そんなに安売りをくしなくても売れてきた店が、今、あちこちで苦戦しています。
先日も、
「先生、EDLP競合出店の影響を受けてる店があるので、それを何とかしたいんです」とある企業の社長さんからのご相談です。
お話をお聞きすると、EDLPタイプの競合がでてきて、売上げが3割以上も落ちてる店があり、対抗策として、近くにEDLPの店を新しく作ってやってみたい。
その際、何をどのくらい価格下げればいいのか?教えてほしいとのこと。
ーーーーすでに、出店してるEDLP競合に対し、同じやり方で対抗するのは自由ですが、EDLP競合店がさらに、価格を下げてきたらどうするのですか?とお聞きすると、
「えっ?」と言葉に詰まります
ーーーー全面的な価格競争になるとおもいますが、時間と資金はどのくらい準備されて、おられますでしょうか?
「それは…」と口ごもられます。
もちろん、ビジネスですからやってみないことにはわかりません。
しかし、勝つか負けるかわからない状態で、金をかけて新店を作るのは、建築コストが高騰している今、かなり無理があるのでは?と考えるからです。
言わずもがな、勝てそうにない中で、どのくらい価格を下げればいいのか?教えてほしいと、言われても・・・答えようがないということです。
もう少し早く分かっていれば、経費率を競合よりも低く抑えることが出来る既存店で、どのくらいの価格引き下げで勝つことが出来るか?といったことを調査してといったことをやっていくとうこともできるわけです。
初の試みで、泥沼の価格競争に持ち込んだところで、とてもいい結果がでるとは思えないのは、火を見るよりも明らかということです。
社長の鶴の一声で、EDLPをやろうとして、三か月で諦めた。いや一か月で中止。
という企業が後を絶たないのは、こうした理由からです。
EDLPで勝っていくためには、いうまでもなく徹底したローコスト運営ですが、それと同じくらい重要なのが、マーケティングに対する考え方です。
マーケティングとは、「売れる市場」と「売れるポジション」をどうとるか?ということですが、ここの2つの要素の準備ができていれば勝率は大きく上がります。
弊社でも、いろんな形のEDLPに取り組んできましたが、昨年から始めたいくつかのクライアント企業様でやってるEDLPで、とびぬけて数値が良いものがあります。
個人情報なので具体的な内容は控えさせていただきますが、 単に価格を下げただけ店は、それが効果となって表れてくるのに通常2年~4年はかかります。
ところが、この取り組みでやった店舗は、スタート時からいきなりそのレベルを超す勢いでクリアしていて。それも全然落ちてこない。
そのため、これらの企業では、このモデル店を一気に拡大していくことに、大きく舵をきっていくことになりました。
前職時代,私が担当していた店舗運営でもなかなか、ここまで、短時間で成果の出る店はありませんでした。
もちろんこの数値が、どこまで続くか、まだまだウォッチングしていく必要がありますが、
ここまで数値が良いと、社内の盛り上がりも想像以上でして、
社長が言っても、なかなか動いてくれなかった幹部の動きがすこぶるよくなり、今までの苦労は一体なんだったのか?と言いたくなるくらいです(笑)
EDLP成功のカギは、ローコスト運営が前提ですが、それ以外にも売れる市場とポジションがあるかによって、結果は天と地ほど変わってくるということです。
さあ、貴社でもまだ、競合と同じやり方で体力消耗戦をつづけますか?それとも、売れる市場と場所みつけ、優位にビジネスを進めますか?
著:伊藤稔