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今週の儲かる繁盛店の視点 第590話:「人手不足の問題を解決できる総合病院とできない総合病院の違い」

先生、スタッフの数が足りてないんです、とある総合病院の経営者からのご相談です

お話をお聞きすると、採用しても辞めてしまう。仕事がハードで休めないといったことがあるようでいい人材が不足している。

採用単価が上がっているため安易に、人員を増やせば、減益になってしまうとのこと。

人手不足の問題は、労働集約産業にとって頭の痛い問題です。とにかく早く解決しないと、コストがかかり、現場は疲弊していくばかりだからです。

そうはいっても、いまのまま欠員補充をしても、同じことが繰り返されるだけなので、人員を増やさずにまわすことができるような対策が必須となります。

人手不足の問題は、とりあえず、人さえいれば…というふうに思われがちですが、今すぐ、問題を解決されたいのであれば、一旦、「人さえ…」ということを横において考えてみてください。と申し上げています。

理由はシンプルで、「誰が」ではなく「何が」問題なのかを特定することが重要になってくるからです。

そこが、特定できませんと、再び、同じことが繰り返される危険があるからです。

こういった人手不足問題は、これまでかかわってきた多くの人が働くスーパーでも同じようなことが数えきれないほどありました。

分かりやすい例では、レジでお客さんが並ぶ、クレームになって作業が止まる。といったことです。

「レジ機器はあるのだから人をいれればいいじゃないか?」というふうになるのですが、人を入れると人件費がオーバーしてしまうので、本部はすぐに採用を承認をすることが出来ません。

ようは、現場が困っているのはわかるが、主管部としても業績悪化を認めるわけにいかないので、いつまでも問題解決しない。

そうこうするうちに、売上客数がジワジワと減ってから「大変だ!」となり慌てるというのはよくあることだからです。

誰も、現場を悪くしようと思ってるわけではないのですが、同じ環境の中で、長く仕事をしてると、こういったことに慣れてしまうということです。

もちろん、本部の方々も遊んでるわけでなく、日々の会議に追われ、なかなかその答えを見つけることが出来ないのです。

簡単な話、会議の中で、現場の問題がすぐにわかるようなデータあって、問題を特定できれば、最も少ない人員で、現状以上のサービスも提供することが出来ます。

でも、そういったシステムはないし・・・

現場では日々こうした問題が山積み状態になっていきます。

ご支援しているクライアント先でもレジの一番の問題は、レジが止まることでした。

止まる理由の中で最も多いのが、チラシの商品価格が間違っていたり、お客さんから「この値段違うんじゃない」と言われてから対応する価格間違えでした。

また、一日に何件あるのか?それによって、止まる時間はどのくらいあるのか?それが原因でクレームになった案件数は?といったことを 解決するためにデータや資料が何もなかったことも問題でした。

と申しますのは、

そういった調査を、やろうとすると、今度は、「調べる人がいない」「それがさらに業務を遅らせるのでは」といった声が上がってきて、身動きが取れない状況になっていたのです。

そこで、「ここは本部の腕の見せ所です」と申し上げ、業務改善プロジェクトを中心に、各部から応援をもらって調査したことで、レジでは解決できなかった価格間違いの原因をつきとめ改善していったのです。結果、レジ待ち解消できただけでなく、レジ人件費が3割も下がったのです。

ようは、人手不足を引き起こしている問題は何か?その根本問題を特定し、改善アクションを早く出来るかどうかで、人手不足や人件費問題の7割は解決するといっても過言ではないのです。

先の総合病院でも、どこで人が足りていないのでしょうか?と経営者にお聞きすすると、医師と看護師とのお答えでした。

また、その要因の多くは、長時間労働、残業といった過酷さから、離職する人が多いという背景がありました。

そこで、業務改善チームを中心に、その病院業務の全体のフローを調べていくといろいろなことが見えてきました。

真っ先に、わかったのは、午前の血液検査の待ち時間が60分を超えていたことでした。

朝9時に診療が始まり、すべての診療科の医師から一斉に、血液検査の指示がだされるので、午前10時から12時の間、血液検査センターで大渋滞が起きていたのです。

この大渋滞で診断や治療に必要なデータ提供が遅れたことが、医師や看護師の昼休憩未取得問題や残業になっていたことがわかったのです。

そこで、血液検査センターを渋滞時間帯に人を増やし、閑散時間帯の人材を削るテストを1か月実施してみたところ、医師、看護師の休憩未取得や残業時間の大幅改善され、さらに人件費が1割以上下がったのです。

これは、人手不足改善のほんの一例ですが、このように、医療現場の全体業務フローの実態を調査していくことで、医業収益は増やすことができるということです。

さあ、あなたの病院では、まだ、昔ながらの欠員補充を繰り返しますか?それとも、全体業務フローを見直し、無理のない収益改善で、明るい未来を実現しますか?

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著:伊藤稔