今週の儲かる繁盛店の視点 第595話:「なぜ、クレームの対処療法がだめなのか?根本問題を解決できない一般病院の行く末は?」
「私はいつ呼ばれるのでしょうか?
待ち時間案内のテレビ画面にも番号が表示されない。
何のための予約なんですか?
こうして 時間をとってきているのに、2時間以上も待たされてるんですよ!」
一般病院の診療科待合室での女性患者さんからのお叱りの言葉です。
実は、この患者さん、診察室でも医師にも同じことを言われたようで、それで診察がさらに伸びて、他の患者さんからもクレームの声が上がって大変だったんです。
とある 病院経営者さんからのご相談です。
お話をお聞きすると、
予約は診察をするための順番であって、その時間に診察が始まると確約したものではないとのこと。
その診察予約券を見せていただくと、診察予約券、日時、予約時間が書いてありますが、そういった注意事項はどこにもみあたりません。
もちろん、書いてあればお待たせしてもいいというものではありませんが、病院側のお待たせしている根本問題が解決されない状態で、順番待ちのシステムを導入したところで、解決どころか悪化しまったということです。
実際に、その診療科の先生にもお話をお聞きすると、本当にこの順番待ちの問題には現場は苦労しているそうで、自分はとにかく早く、診察を終わらせるようにしていても、検査室などの混雑もあって、自部門だけでは、どうにもならない。と吐露され、
とにかく「申し訳ございません3時間はかかりますと、頭を下げるしかない」そうです。
経営陣もそれは、わかっていて、アンケートなどを取って対策を立てようと思っても、遅々として進まない。そこでどうすればいいのか教えてほしいと、個別相談にお申し込みになられたそうです。
アンケートの前にやることがあります。きっぱりと申し上げました。
いきなりアンケートをとったりしますと、不満が可視化され、それに組織が対応できないことが露呈すると、職場の雰囲気が悪くなります。
言わずもがな、その結果に向き合う仕組みがない場合、アンケートは逆効果になるといっても過言ではないということです。
その前に、やっておかなくてはならないことは2つあり、その仕組みについて簡単に申し上げます。
一つ目は受診患者数に対し、どのくらいの職員人時数を投じているのか?数値化し基準をつくる。ことです。
一時間あたり一人の患者さんにどのくらい人時をかけるのがいいのか?
この基準に対して数値改善が進みますと、待ち時間は減っていくので、目標を共有することはまず最初にやらなくてはならないことといえます。
二つ目は、現場の状況を把握する。ことです。
患者様からのお問い合わせのあった詳細を収集したり、職員に非効率な業務をヒアリングしたりといったことです。
こういったことをもとに、業務の流れを可視化していくことで、患者さんを待たせているのはいったいどこなのか?を特定できないと、根本的な問題は解決できないからです。
先の、病院は3時間待ちといっておられましたが、
3時間待ちといえば・・・、
大阪万博でもディズニーでも超人気アトラクションレベルも待ち時間です。
この場合は、楽しい時間を待つ満足な時間ですが、先の病院の出来事は、いつになったら呼ばれるのかわからない我慢の時間。
そんな怒りを日々ぶつけられる職員さんは、もう限界を超えているといっても過言ではありません。
こんな状態が続けば、どんなに心の広い職員でも、私にはもう無理となるのは時間の問題といえるでしょう。
まずは、待ち時間を解決していく専門組織を立ち上げ、3時間待ちから2時間半を目指して、つぎに2時間、1時間というふうに進め、あなたの病院を我慢する場所から満足する場所に進化させていくことが急務ということです。
弊社は、そういった頑張る病院経営者を心から応援します。
著:伊藤稔