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今週の儲かる繁盛店の視点 第606話:「なぜ、時間を生み出すことが必要なのか、余剰時間をつくることが出来ない病院の行く末は 」

ただでさえ人手不足なのに、どうすれば人件費を抑えることができるのでしょうか?
とある急性期病院の理事長さんからのご相談です。

お話をお伺いすると、急性期病院の現場は、救急や急変対応に追われるようにみえるのですが、実は8割は再診で予約制で新患は紹介です。業務フローは使える!と確信しやり始めたものの進まず、出来るのかどうか・・・・不安とのこと。

業務フローの導入に成功している急性期病院でも、最初はうまくいったわけではありません。動き始めるまで約一年、効果がでるようになるには5年近くかかっています。

試行錯誤の結果、やっていくうちに二重入力や過剰な待ち時間、非効率な業務を洗い出せるようになっていきました。

徐々に「収入にならない時間」が減っていき、今は、その時間でホットラインを設置し新患を増しています。

この病院がやったことは、今まで見えていなかった業務内容をある方法で調査することで、現状の雇用契約内で、自由に使える時間を増した。ということです

こういう話をしますと、

「それは、医療事務だけの話でしょう?」という声が聞こえてきそうですが、そうではありません。

急性期病院の場合、一人の患者を診るのに医師や看護師といった何人もの人が関わっています。つまり、事務部門だけの話では、こういった成果をだすことはできないわけです。

逆に、どこか一か所で、時間をとられてしまうと、その次の作業を担う人は待ち時間が発生します。

問題は、この作業が止まっている時間にも人件費が発生している。ということです

なぜ、こういうことが起きるかというと

総合病院は分業のため、自分の持ち場がボトルネックにならないように、常に人を多めに配置しようとするからです。
仮に、そういった待ち時間が、一日30分あって、10の診療科で起きてるとしたら一日5時間。月に20日で100時間、年間だと1200時間にもなります。

たかが1日、30分ですが、医師、看護師や技師の平均時給を4千円とすると、年間480万円ものお金が、作業が止まっている時間に経費が発生しているということです。

「月給制なので、そんなことしても人件費は減らない」と思われるかもしれませんが、

彼らは人件費を減らすことを目的にしていませんでした。

どこに、どれくらい 使える時間があのるか?これを人手が不足してるとこになんとか転用することができないか?とただこれだけに集中して取り組んだということです。

これらの実態を調べ、業務フローに落とし込み、計画と実態の差を明らかにし、余剰時間を見つけ出すという地道な取り組みの賜物ということです。
 今までは長時間働くというのがあたりまえでしたが、今は、勤務時間を短くして同じ給料を支払えるようになり、実質賃上げができるということです。

余剰時間をつくるとは、こうして、様々なことに着手することができるということです。

さあ、多くの総合病院が苦戦するなか、あなたの病院では、今のまま何もせず来期を迎えるか?それとも、余剰時間を作り出し、長時間労働や賃上げ問題を解消するか?
逆境の中、次にチャンスを掴むのはあなたの番です。

著:伊藤稔