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今週の儲かる繁盛店の視点 608号「2026年病院経営の復活へ向けて」

今年の夏、病院経営業務改革プロジェクトが始まりました。社会保障の問題に端を発した、総合病院7割赤字問題を、我々のような弱小企業でも何か役に立つことはできないものかと考えたのが出発点です。
 私自身、前職時代から現在まで、多くの労働集約産業法人の、黒字化、企業成長のサポートに関わってきました。

労働集約産業は読んで字のごとく、人の技術や接客力に依存する業種で、売上に占める人件費の割合が高いのが特徴です。
 そのため、人口が増えていた2007年ごろまで、小回りが利く労働集約産業は勢いのある時代が続きました。

しかし、労働人口の減少が始まると、状況は一変し、小売り、建築、医療、介護、農業といったとこは次々と変革が迫られました。
 総合病院の場合、コロナ補助金打ち切りによって業績が悪化が顕著あらわれ、赤字病院が一気に増えました。
 本来であれは、その補助金で、生産性の改善に着手し、新しい仕組みで、効率の高い病院経営に移行していくと誰もが考えていたことかと思います
 しかし、理想は現実からは程遠く、7割が赤字病院がという状況になってしいました。
もちろんどの法人経営者も、なんとかしなくては・・・と頭では考えていても,
「高度医療機器の更新時期」や「賃上げ」「消耗品は上がり続ける」と次から次へとコストがかかりどうにもならない。というのが正直なところでしょう。

こうしたとき、病院の業績改善で、高い効果が得られる改善策は、やはり生産性改善ですが病院全体の収益構造を変えていくためには、それ相応の準備が必要となってきます。
 極端な話、新しい病院を作るのと同じくらいの、エネルギーや時間がかかるといっても過言ではありません

実際、実務を抱えながらやりながらやるとなれば、どこから手を付ければいいのかもわからない。というのが現実的な問題です。
 とりあえず出来るとこからはじめた、会計の自動化なども焼け石に水で、つぎはぎだらけのシステムは、必要データ一つとるにもなかなか取れないっといった状況であったり
 知り合いから紹介されたコストカット型コンサルに言われ取り組んだ、診療科の受付事務の統合といった、強引なやり方も、病院の評判を落とすため賢いやり方とは思えません。  

言葉は良くないですが、お金はかけたものの、投資回収ができていないのが実態かと思います。
 しかし、そういった痛い目にあった医療法人ある意味幸運といえるでしょう。

なぜなら、同じ失敗をしたくないという想いが、経営トップ自らが動く原動力になるからです。

ある病院の理事長A氏は、人員配置戦略に着目し、ご自分の目で確かめるために、わざわざ遠方からセミナーに参加されました。

そして、個別相談では、幾度も、細かいとこまで質問され、効果のないのコストカットや、現状維持のための無駄なシステム更新の問題の特定を一緒に行っていきました。

それを機に、今まで右肩下がりだった利益が、月を追うごとに右肩上がりに変わり利益を更新しはじめました。
 ダイエットと同じで、ムリなコストカットは、現場を疲弊させるだけでなく、患者数に影響し、売上利益低下に直結しますが、全体の流れを見据えた生産性改善策は想像以上のものをもたらします。
 先のA氏自身、来期利益目標を1.5倍と謙虚な数値を掲げていますが、2~3倍は到達可能だろうと予測してます。
 なぜなら、生産性改善は、売上と経費のダブルで利益改善を進めていくため、最低でも2倍の利益改善は十分可能なものだからです。

実際にどういったことなら続けることが出来るのか?そのためにはどういった仕組みがあればいいのか?といったことは法人ごとに全く違います。

あなたの医療法人にとって何がベストなのか?ともに考え実行していくのが弊社の使命と考えています。

著:伊藤稔