今週の儲かる繁盛店の視点 第576話:「なぜ、やりやすいとこから始める改善投資なぜ失敗するのか?大型投資の落とし穴とは? 」

「先生、売上は過去最高なんですが、実は減益なんです。」少し前にセミナーに参加され、個別相談にお見えになった社長さんからのご相談です。
お話をお聞きすると、店舗でやっていた生鮮インストア業務をまとめてやる、PCセンターを設置し店舗の人員を減らしてきたそうです。
しかし、ここにきて、客数が減っきてることから、ムリな店舗人員削減が影響しているのではないか?不安に駆られているとのこと。
――――そもそも、なぜ、PCセンターを作られたのでしょうか?
「人時売上を上げていくためですが…」と口こもられます。
最近は人時売上という言葉がだいぶ認知されてきたこともあって、「うちの店でも人時売上はどのくらいなのか?ちょっと出してみなさい?」といった調子で出されている企業も多くなってきています。
人時売上は、売上を上げるための作業にどれぐらいの人が必要なのかを決めていくための指標です。
しかし、扱い方を一歩間違えると、コストカットの道具となって、リストラといったマイナスイメージが蔓延し疲弊していきます。
小売業界は、持ち帰って作業をしたり、タイムカード未打刻して見えないところで頑張ってしごとをする人が高く評価されるといったことが、つい数年前まで続いていました。
言わずもがな、やみくもに人時を削減しようとすれば、再びそういった行動をする人が現れ、その勤務実態がわからなくなります。
問題は、こういった勤務実態が掴めない中でどんなに立派な作業指示書をいれても、それを使って人件費をコントロールして収益をあげていこうという店長はいないということです。
なぜならば、正しい数値の出ない帳票は誰も見ないからです。
例えば、売上などの場合、売場ごとに正しい売上予算・実績が毎日出るので、皆が一丸となってその目標を達成させようと頑張ってくれます。
では、人件費はどうでしょうか? 毎月予算内に100%収められる店長さんは、どのくらいいらっしゃいますでしょうか?
今まで、ご指導させていただいた企業では 一人もいらっしゃいませんでした。
断っておきますが、決して店長さんの能力が低いというコトを申し上げているわけではありません。
売場ごとの日々の人件費を人時に置き換え、具体的に何をどうやれば、予算内に収めていくことができるのか?教わったことがないため、誰もわからないからです。
仮に、これを、売上のように、売場ごとに正しい人時数を出せるようにし皆で共有することが出来らたらどうでしょうか?
皆で、頑張ってその数値を達成できるように、行動してくれるということです。
人件費ひとつとっても、こうした結果をだせる方法がわかれば、解決策はみえるものです。
こういった手順で結果を出しながら、人時数を削減していくようにしていかない限り、何も変わっていないということです。
前出の社長が、「売上が最高であっても、減益になっている」ことに対する違和感は、とても重要であり、この信頼を取り戻していくには相当な時間と労力がかかります。
一方で、こういったことを回避し、着実に増収増益を実現している企業もあります。
大型投資をやるやらないに関わらず、毎月、対顧客店舗コンディションのアンケートを地道にとっている。ということです。
対顧客店舗コンディションとは、品切れや、お待たせしないレジ、価格の安さ、清潔感がある・・・といったいくつかの質問で実際に顧客に回答してもらう方式で行う評価のことです。
このデータに基づき、人時作業指示書で問題を特定することができれば、具体的に顧客流失防止策をとることが出来、2桁の客数増を実現している企業の店舗もあります。
(※人時作業指示書とは、会社として個人にやってもらいたいことが明記された作業フロー)
ただし、こういった一連の取り組みで結果をてにするには、すぐに行動することが必須です。
どんなに素晴らしい、ノウハウがあっても、人は今までやり続けてきた習慣を変えることは決して容易なことではないからです。
一般的には、新しいことをスタートさせ腹落ちするまでには最短でも8カ月~12カ月の時間が必要といわれています。
また、対顧客店舗コンディションを活かすには、人時作業指示書が使えることが前提となります。
店長は、人時作業指示書を片手に売場の担当者と点検し、何が計画と違うのか?について共有し、利益予算達成にむけて行動することが、ルーティン業務になります。
なので、品出しやレジ応援がルーティンであった一般的なスーパーの店長業務とは180度異なることから、この習慣を変えていくのにも時間が必要だからです。
減益という状況抜け出し、一刻も早く成果を手にされたいのでしたら、いますぐ、弊社セミナーをチェックしてみてください。全面的にサポートいたしますので、がんばっていきましょう!
著:伊藤稔