今週の儲かる繁盛店の視点 第581話:「なぜ、高コスト体質改善が進まないのか?人時生産性についてしっかり取り組んだことのある企業とない企業の違い」

「先生、ある会合で他社の社長と話をすると、少し前までは人件費の話ばかりだったのですが、今は、どれだけ米を確保できるか?といった話に変わっています。
これってどう思われますか?」
ある企業の社長さんからのご相談です。
社長として中長期視点が大事とわかっているつもりでも、人は誰でも目の前の問題しか目に入らないものです。
売上アップでなんとかなるなら、それで増える人件費をなんとかしたい!気持ちはとてもよくわかります。
確かに、出回り始めたお米を重点商品として数多く売って、売上を5%くらい伸ばすことが出来れば、計算上売比1%ぐらいの利益増は見込めます。
しかし、そのハードルがいかに高いかというのは社長さんご自身が一番わかっておられるはずです。
一方で、コストはすでに4月に賃上げが行われ10月には最低賃金の見直しもあります。
それゆえ予め改善活動に踏み切っておられる企業業績は着実にアップしています。
言わずもがな、期首から人件費について何も取り組んでいない企業は、第一四半期、販管費増を残りの日数でカバーしなくては なりません。
この時点で、すでに、年度の結果は見えていると言っても過言ではないといえるでしょう。
ですから、たとえ焼け石に水だとしても、売れるものを売って粗利を稼ぐしかないため、そう考えるのは無理もないといえるでしょう。
つまり、今期は増収増益が実現できる企業と、増収減益から逃れることが出来ない企業の二極化がますます進むというコトです。
各社お考えがあるのでどうこう言うつもりはありません
今回の米騒動からもわかるように、売上については急遽いろんなことが入ってきても、仕入れ計画、売場計画をたて、TVやネットの備蓄米報道まで活用して売り込んでいます。
では、経費の要となる人件費についてはどうでしょうか?
慢性的に店舗人件費超過の状態になってるにもかかわらず、売上高のように日々具体的に対策をたてなんとかしていく。といった動きははほとんどありません。
理由は簡単です
現実問題として、人に作業を割りふった作業割当シフトをつくって、表向きやったつもりになってるからです。
納品計画から作業計画を割り出しそれに人員を張り付けた人時作業指示書を活用しなければ、売上のように日々人時を予算内に収束させることができないからです。
これは大事なことなのではっきり申し上げていますが、この人時作業指示書を作り使えるようになることで、業種にかかわらず、今のように賃金が高騰化しても人時数で簡単にカバーすることができるからです。
前出の企業のように、実際にご支援させていただいている企業では、賃上げ、最賃についてもびくともせずどこも増収増益を達成されています。
人件費は、コストの中で最も高い構成比です。
だからこそ、売上と同じレベルで管理活用出来るようにすることで、売上が多少ブレても十分増益できる体制をつくることができるということです。
さあ、あなたの会社では、まだ、高コストの元凶となってる作業割当表やり続けますか?
それとも、確実に増益ができるように人時を売上レベルで管理活用できるようにする手法で大きな成果を勝ち取りますか?
著:伊藤稔