今週の儲かる繁盛店の視点 第586話：「なぜ、人件費オーバーと人手不足は同時に起きるのか？この問題を解決出来る病院と出来ない病院の違い」
「うちは総合病院なんですが、医療の質を落とさずに、生産性を上げていく方法で立て直すことはできないものでしょうか？」とある病院経営者様からのご相談です。
聞くところによると、
新型コロナの補助金打ち切り、人件費や資材の高騰によって経営は厳しくなっていて、人材の補強をしようにも増やすことが出来ない状況。
拙著「時給2000円払っても営業利益10％出せる収益モデルの作り方」を手に取って読まれ、藁をもつかむ思いで、個別相談にお申し込まれたとのこと。
総合病院で100～200人スタッフを抱えてるとなれば、人件費は年間数億～数十億になることから、賃上げだけで、数千万～数億円のコストアップになります。
現状利益が2～３％未満の病院だとすると、大問題ということは容易に想像がつきます。
人件費の高騰と人手不足問題は悩ましい問題で、かつてスーパーマーケット各社もコロナ前、売上低迷の理由を「人が集まらないから」と、各社の社長が口をそろえて言っていた時期がありました。
実際に話を聞いていくと、過去一度も人時生産性に手を付けてこなかったため、人を入れた分だけ人件費オーバーになるという異常な状況だったことが、あとになってわかったのです。
当時は、こういった業界の闇が問題視され、店では残業代のつかない店長や管理職が、品出しや雑用をやり、社員やパートさんの中には、タイムカードを打たずに仕事をする、いわゆるサービス残業の問題が社会的に注目されました。
法改正もあり、今は大分改善されましたが、過去のやり方から抜け出せない企業も多く、淘汰によってスーパーマーケット業界では毎年市場から消える企業が後を絶ちません。
幸いにも、おかげさまで、弊社が関わらせてさせていただいている企業様におかれましては全てこういった問題を解決し、既に人時生産性で利益を２倍３倍と伸ばされています。
そもそも、100％労働時間が確認できませんと、業務をこなす時間があるのかないのか？もわからないからです。
人時生産性を上げていくにはまず、今、全体で抱えている労働時間がどれぐらいあって、それに対して業務量はどうなのか？を明確にすることが前提となります。
こういった前提のもと、本当に人員が足りていないのか？経営陣が現場に出向き聞いていく。ことが欠かせないのです。
と申しますのは、経験上「人が足りない」と現場から声が出る時は、常に不足しているのではなく、不足してる時もあれば、余っている時もあるケースがほとんどだからです。
分かりやすい例では、高速道路を一定の速度で走行するのと、市街地をちょこちょこ走るのでは燃費は２～3割くらい違ってきます。
作業も同じで、リズムに乗って一定の速度でできると、アクセルを踏み込まなくてもたくさんの量がこなせます。
しかし、ちょこちょこ他の仕事がはいったり、電話や相談といったことで作業が止まると、半分も終わらない。といったことはよくあることです。
過去の事例でも、この想定外の仕事を無くすことで２０％～３０％の作業時間を削減することが出来、作業速度がアップしたという改善事例は数えきれないほどあります。
もし、８０％の力や時間で今まで以上の作業がこなせたら現場はどうなるでしょうか？
患者さんの満足度は高くなりスタッフのモチベーションも上がります。仮に現状より2割少ない人件費で運営が出来れば、その分、直接利益を増やすことも出来ます。
さあ、あなたの病院でも、人件費超過はやむなしとして諦めてしまうか？それとも、人時生産性改善で、従業員モチベーション、患者様の満足度、利益アップの同時改善で、新しい一歩を踏み出しますか？
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著：伊藤 稔