今週の儲かる繁盛店の視点 第599話:「なぜ、根本原因を明らかにしなくてはならないのか? 待ち時間問題を放置する病院経営の行く末は?」

午前9時00分。診療が始まり、循環器科、内科の受付前にはすでに30人以上の患者が座って待っています。
受付では、診療の流れを確認しながら、診察案内が少しずつ始まる。この時間帯はまだ、患者も職員も落ち着いています。
しかし、11時を過ぎたころから空気が変わります。
「もう2時間以上待ってるんだけど!」「後から来た人が先に呼ばれてるじゃないか!」
受付カウンターに詰め寄る男性。
ふと、どこかで、見たシーン
前職大手スーパーで店長をやっていた時、レジのスタッフがお客様に怒鳴られることがいくどもありました、店長の私も土下座なんて数えられないくらいしてきました。
当時、上場してい会社は長年赤字がつづき、経営の目が現場に届かなくなってたからですが、そういったことは否が応でもお客さんに伝わるものです。
中でも一番多かったのは、チラシの価格間違いでした。
実は、本部でのミスがほとんどだったのですが、本部も忙しくて改善が進まず、仕方なく各店舗で、毎週全品価格チェックして修正する作業をやっていました。ところが、こんどは店でもミスが起きる。
もう、こうなると何が何だかわからないまま、クレームが毎日発生するわけです。
夕方になると、昼間に買った商品の価格間違いの電話が必ずかかってくるので、誰も電話をとならない。という、異常な事態になっていたのです。
そんな時、救いになったのは、今では年商100兆を超す世界最大のDSチェーンのウォルマートメンバーからの助言でした。彼らから教わったのは、その根本原因を解決してください。その一言でした。
当時、営業本部では売上げが悪いのは価格が高いせい、だから、今週はもっと安くするといった手法が主流でした。
しかし、それを、やればやるほど、入力ミスが起きる。価格の安さを訴求する前に価格間違いで、お客がどんどん減り、ますます業績は悪化していきました。
この問題に気づくまで、7年の歳月がかかったのを今でも覚えています。
なぜ、そんなに時間がかかったのか?
そういった出来事を記録として残す仕組みがどこにもなかったからです。
そこで、まず、日々店舗で、お客様からの問い合わせがあったことを集め始めました。どんな些細なことにもお客様に耳を傾ける。そこから実態を浮き彫りにし、根本原因を探り特定する。こういたこ地道な作業をやるようにしていったのです。
具体的には、全従業員がお問い合わせカードをもって、売り場でたずねられたことを書いて集め、それを店長が確認する。といったことを365日続けたことがきっかけでした。
これにより、どこで、問題が起きたのか?問題が起きそうなところはどこなのか?ということが、徐々にわかるようになっていったのです。
全店で1日あたり100万人のお客さんがくる企業が、数百億の赤字から黒字再生したきっかけはこんな小さな取り組みだったことを昨日のことのように思いだします。
今、日本の7割の病院が赤字の危機的状態、起きたクレームに対処する研修や対策もたしかに大事ですが、まず、その根本原因はなんなのか?
そこを突き止めることが出来れば、経営課題の7割解決出来たも同然だからです。
病院もスーパーも 患者様やお客様あって成り立つもの、まず、この原点に立ち返ってみてみてください。とセミナーご参加いただいた皆様にはお伝えしています。
必ずや、今すぐとるべき一歩が見えてくるはずだからです。
そんな経営者を全力で応援します。
著:伊藤稔