今週の儲かる繁盛店の視点 第606話:「なぜ、時間を生み出すことが必要なのか、余剰時間をつくることが出来ない病院の行く末は 」
ただでさえ人が足りないのに、どうすれば人件費を抑えることができるのでしょうか?
とある急性期病院の理事長さんからのご相談です。
お話をお伺いすると、急性期病院の現場は常に、救急や急変対応に追われるようにみえるのですが、8割は再診で予約制、新患は紹介なので、業務フローが生きると考えやり始めたものの、本当に出来るのかどうか不安。とのこと。
ある急性期病院では、二重入力や過剰な待ち時間、非効率な業務を徹底的に洗い出しました。
すると、同じ人員でも「売上にならない時間」が減り、使える時間を10%以上増やすことに成功し、外来ホットラインを設置し新患を増しています。
この病院では、ムリな時間削減やリストラは一切やっていません。この病院がやったことは ひとつ
現状の今まで見えていなかった業務内容をある方法で調査することで、現状の雇用契約内で、自由に使える時間を増した。ということです
こういう話をしますと、
「それは、医療事務だけの話でしょう?」という声が聞こえてきそうですが、そうではありません。
急性期病院の場合、一人の患者を診るのに医師や看護師といった何人もの人が関わっています。つまり、事務部門だけの話では、こういった結果をだすことはできないわけです。
逆に、どこか一か所で、時間が長くかかってしまうと、その次の作業を担う人は待ち時間が発生します。
「そのくらいは、しかたない」という声が聞こえてきそうですが、
問題は、この作業が止まっている時間にも人件費が発生している。ということです
なぜ、こういうことが起きるかというと
完全分業制なため、自分の科がボトルネックにならないように、常に人を多めに配置しようとするからです。
仮に、そういった待ち時間が、一日30分あって、10の診療科で起きてるとしたら一日5時間。月20日で100時間、年間だと1200時間にもなります。
たかが1日、30分ですが、医師、看護師や技師の平均時給を4千円とすると、年間480万円ものお金が 待ち時間にかかっているということです。
「正社員なので、そんなことしても人件費は減らない」という声が聞こえてきそうですが、
人件費を減らすことが目的ではありません。
どこに、どれくらい 使える潜在時間があるか?これを 経営として理解することが重要ということです。
まずは、この実態を調べ、業務フローに計画として落とし込み、実際との差を明らかにする、これが余剰時間です。
ここまできると、契約を変更も可能になります、今は長時間働いて稼ぐやりかたから、短時間で同じ給料を選ぶ時代つまり実質賃上げができるということです。
余剰時間をつくることで、様々なことに着手することができるということです。
さあ、多くの総合病院が苦戦するなか、あなたの病院では、今のまま何もせず来期を迎えるか?それとも、余剰時間を作り出し、長時間労働や賃上げ問題を解消するか?
逆境の中、次にチャンスを掴むのはあなたの番です。
著:伊藤稔