人手不足の今だからこそ最大のチャンスがある

Amazonから生産性の高い組織づくりを学ぶ

2019年5月27日

伊藤 稔(株)レイブンコンサルティング代表取締役

Amazon 市川フルフィルメントセンター

 令和を迎え、急成長してきたコンビニも営業時間の見直しに向けて動き始め、大型化を推進してきた大手スーパーもミニマム化へ舵を切っています。小売りの歴史を振り返ると、平成は大規模小売店舗法から大規模小売店舗立地法へ変わり、各社は規模と店舗数を競いました。そして、バブル崩壊からリーマンショックでチェーンストアは低迷期を迎え、人時生産性について目を向けるチャンスがありました。

 ところが、国内チェーンの多くは団塊世代の労働力に支えられ、人時生産性は話題に上ることはありませんでした。その団塊世代がリタイアし、労働力の不足と売上減を目の当たりにしてようやく人時生産性に興味を持つ企業が増えてきたといえます。

明暗を分けたのは人時生産性の取り組みだった

 国内チェーンにおける失われた30年とは、まさに「人時生産性」について取り組まなかった30年といえます。

 時を同じくしてアメリカでは人時生産性を使い、経営改革を進めた企業とAmazonに代表されるネット通販が台頭していました。スマホの普及とともに日本国内でもAmazonは大きく売上高を伸ばし、小売業を取り巻く環境は大きく変わりました。

 顧客の購買履歴を活用したサービス提供で、リアル店舗だけでなくEC、ネット通販といった購入選択肢が広がっていき、消費者はコストパフォーマンスの高い商品を比較して買えるようになりました。

 日本でも2020年春から5G(第5世代移動通信)がスタートし、現在のスマホ環境である4Gの100倍の通信速度になります。自動車の自動運転化、医療、教育、農業といった分野での応用が期待されていることから、生活環境は大きく変化することになり、さらに買物の選択肢が増えていくことになるのは必至といえます。

 一方で、既存のリアル店舗はどうかといえば、現状では顧客の購入履歴どころか、チラシ、クーポン、○○セール、接客といった、まだまだ人手を掛けて売上げをとっていく30年前からの手法を続けています。

 人口減による人手不足は始まったばかりですが、これからさらに人が2割、3割と減っていくことは確実です。そういう意味では、売上げが確保されている今のうちに人時生産性を大きく上げていくことが重要で、それができる今は転換のチャンスといえるでしょう。

最近多いのが、BtoB系のチェーンからのご相談

「うちはまだ、実力が伴わないのですが、人時生産性について取り組むことはできますでしょうか……」とあるBtoB系のチェーン経営者からのご相談です。

 お話をお聞きすると、「業務用」がメインのため今は安定してるのですが、将来に備えて人時生産性について勉強されたいとのこと。いわゆる「業務用」のため、大容量、嗜好性の高い商品、専門性の高い高額工具、機器類は客単価が高くリピート率も高いといえます。

 また、一般顧客向けとは違って価格競争に巻き込まれないので、荒利が確保しやすい環境にありました。一方で、個人事業主向けの商品がメインとなるため、不況に弱い中小個人事業主の売上げが落ち始めてから手を打つのでは手遅れになります。

 飲食にしても建設、農業にしても、中小企業や個人事業主にとって今、一番の問題は「人手不足」だということです。

 売上げが低迷する中、日々の原材料の購買にも人手は必要なため

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