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今週の収益改善の視点 630号:「なぜ、見えない変動に、急性期病院の経営は振り回されるのか?」

人はたくさんいるはずなのに、なぜ、時間内に終わらないのか?わからないのです。とある急性期病院の理事長さんからのご相談です。

お話をお聞きすると・・・

少し前に、循環器内科をはじめとするいくつかの科で、人を入れたんですが、残業も減らないし、患者さんの待ち時間も減らない。

いったい、何に時間がかかっているのか?と現場に聞いてみると

クリニックの“紹介状”の確認に時間がかかるとのこと。
紹介状の封をあけると「不整脈のため紹介します」といった一文だけで、前医の検査状況や、

薬、経過、判断の根拠といった、必須情報がないため、電話確認しなくてはならない。こうしたことが重なり、待ち時間も長くなるとのこと。

そこで、改めて、看護師のAさんに

ーーーー何に困っているのかお聞きすると

「私も早く帰りたいんです、でも時間内に終わらない、これも仕事だからとがまんしてやります」と、半ばあきらめムード。

――――現場としてはどうして欲しいですか?

「言っても無理だと思いますが、出来る事なら、業務の中断や、戻り作業、やり直しといったことを、日々業務報告の表に記載して、病院として取り上げて改善させていくようにして欲しい。」
とポツリ一言。

つまり、紹介状の問題は、氷山の一角で、水面下にある大きな問題があったことがみえてきたのです。

もし、こういったことが理事長さんに、伝わる仕組みがあったら、「なぜ終わらないのか」という聞き方ではなく、「終わらせるために私たちにできることは何か?」という聞き方になり、もっと早く解決できていたと思います。

問題は、どこで、業務が滞っていて、その原因が特定するしくみがなく放置されたままになっていたということです。

理事長が毎月見ている、損益、人件費率、稼働率、手術件数、外来数といった数字はたしかに結果を教えてくれます。

しかし、利益を生むのは現場です。その経過が見えないままでは、 正しい打ち手にはたどり着けない。ということです。

実際に 弊社でご支援させていただいてる病院では、

業務の中断、やり直し、戻り作業、といった停滞がどこで起こっているかがわかる仕組みを作り、出来事を記録していく手法をとっています。

なぜなら そういったことによって、働きやすい職場へと改善が進み、各個人の給料もあがっていくことがこの病院では、すでに実証されているからです。

先日も、業務停滞が無くなったことで、どのくらい残業が減りましたか?と理事長にお聞きすると、サービス残業含め、今8割ぐらいまで減らすことが出来ています。と自信に満ちた笑顔で話されたことが、印象的でした。

しかし、この医療法人も最初から全てうまくいったわけではありませんでした。業務項目を整理することから始め、それにかかる時間を計測したり・・・といった地道なことを積み上げようやくここまでたどり着いたのです。

つまり、このコラムをお読みの経営者の皆さんと同じ状態から出発し、今では、当初の利益の2倍を余裕で越しているということです。
さあ、貴医院では、まだ、利益不安定の原因は外部にありと考えますか?それとも、内なる見えない変動に対応できるようにすることで利益倍増を実現しますか?

著 伊藤稔