今週の収益改善の視点 631号:「なぜ、急性期病院の赤字問題は“部署改善”では解決できないのか?」
業務フローって、うちの病院でも出来るものでしょうか?とある急性期病院の理事長さんからのご相談です
お話をお聞きすると、これまで部署ごとに改善はやってきたものの、どういうわけか、収益改善に結びつかない。
悩んで、いろいろ調べていくうちに、弊社にサイトにたどりつかれ、「これだ!」とピンとこられたそうです。
急性期病院が抱える問題は、外来の待ち時間、病棟の滞留、手術の押し、救急受け入れが予知できない、といったことがあって、多くの病院で利益改善が進まず苦しんでいます
これらは一見すると「人手不足」や「医師の働き方改革」など外部に起因することのように見えることから、手の打ちようがないと思っておられる理事長さんも多いと思います。
しかし、お手伝いをさせていただいている急性期病院では、これらの問題を次々解決されており、まったく、違う結果がでてます。
もちろん、各法人いろいろな考え方があるので、それをどうこう言うつもりはありません。
以前は、この病院も他と同じように、「外来改善」「病棟改善」「医事改善」といった遅延対策を、部署でバラバラに行っていました。
ところが、実際にいろいろ調査をしていくうちに、遅延原因の多くは部署の中にあるのではなく、部署と部署の境界線上で起きていることが見えてきたのです。
例えば、外来患者が長い時間待つのは、医師診察の問題ではなく、診察の前に行われる検査が混んでいて、時間がかかっていることが挙げられます。
また、病棟で患者が滞留するのは病棟の問題ではなく、検査・医師指示・退院調整など複数部署の連携がスムーズにいっていないことが原因であることがほとんどです。
つまり、この境界線上の誰も手を付けていない部分の問題を解決しない限り、収益改善は出来ないということです。
じゃあ、実際にどうやってやればいいのか?というと、
その急性期病院では模造紙を1枚使って、外来・病棟・検査・手術・救急の全工程を時間軸で並べて書き出し、どこで遅延が発生しているかを可視化していきました。
すると、患者数の変化が予測できないとか、医師の診察の遅れということもありましたが、最も多かったのは、手戻り・ダブりといった作業的なことが全体の半数を占めていた、ということです。
具体的には、情報不足や指示の不備、カルテの抜けなどにより、同じことをやり直す手戻り。
また、同じ説明や確認、入力を複数部署が繰り返すダブり作業。急患対応や追加書類、追加説明など、想定外の業務がほとんどで。
これらが連鎖し、あちこちで遅延が起こっていたのです。
結果、こうした遅延した時間も“勤務時間としてカウントされていて、それが 人件費増の要因になっていたということだったのです。
やり直しやダブり作業をやるために、たくさんの人を抱え、経営を続けること自体そもそも、ムリがあるわけですが、これをご覧になった理事長が「何とかしたい!」という強い想いで立ち上げたのが業務改善プロジェクト委員会だったのです。
理事長曰く、「無理な人員削減などしなくても、こうして、手戻り、ダブりを見つけ止めていくことができれば、大きく変わるもんなんですね」と明るく答えてくれた その一言が とても印象的でした。
さあ、あなたの病院ではまだ、部署改善を優先しますか?それとも全体最適で、早期、高収益を実現させますか?
著 伊藤稔