今週の収益改善の視点 639号:「なぜ、出来ないレベルの課題が次から次へと出てくると思ってしまうのか? 2027の急性期が抱える課題をクリアできる病院とそうでない病院の違い」
今年、「酷暑日」という言葉が使われるようになりました。40℃を超える日を指すそうですが、 その原因は、気温が“下がらなくなった”ことにあるとのこと。
夜になっても下がらず、朝はそこから気温が上がり高温になる状況は、急性期病院が多くの業務を抱えた状況とよく似ています。
病院の業務も、ここ数年で一気に増えたわけではありません。デジタル機器を入れ部分的に簡素化されても、業務が複雑になったため業務量は増えるという状況はいたるところで散見されます。
経営も、それに対応するため、人を増やしてきたため人件費は増え、多くの病院が赤字に苦しんでいます。
先日も、「どこで、業務が溜まっているのかわからないのです」弊社セミナーに参加された急性期病院の院長さんからのご相談です。
お話をお聞きすると、来期の目標数値がさらに厳しいものになり、このままだと、急性期の看板を下げなくてはならない。とのこと。
厚労省は令和8年度(2026年度)診療報酬改定によると、 急性期病院の評価は「病棟の患者割合」から「病院全体の急性期機能」に変更することを発表しました。
具体的には、急性期病院の施設基準として、救急搬送1500件、全麻手術500件、在院日数10日前後──と出ています。今年度の実績が来年の評価になるため、すでに始まっているという状況、ただ事ではありません。
救急の受け入れ数が増えていないのかもしれましせんし、 検査の遅れなのかもしれません。
また、手術室の時間が定時に開始できていないのかもしれないし、退院調整が長引いているのかもしれない。
「結果の数字だけで中身が分からない。 どこをどう直せばいいのか?」藁をも掴む思いで、時間を作ってセミナーに参加されたそうです。
一旦、急性期の評価を失ってしまうと、収入は下がり、利益は悪化するため、人員体制が維持できなくなるのは火を見るよりも明らかだからです。
すでに、ご支援させていただいてる急性期のH病院では、こうしたことに備え、昨年度から次のように手法を変えた取り組みを導入しています。
H病院がまず取り組まれたのは、手術室の「時間」を見えるようにすることでした。 急性期の中心である手術室は、検査や病棟、退院調整まで全体の流れに影響します。
そうは言っても、手術室は命を救うための極限の密室であり、一般社会とは異なる緊張感や厳格なルールに満ちた特別な空間です。院長の主催のプロジェクトで協議を重ね、1人の医師の協力を得て、手術の一日の流れをそのまま描き出してもらいました。
朝イチの準備、麻酔科と外科の入り、器械出し、インターバル、午後の開始── こうして並べたことによって、どこでどうなっているのかを見えるようにしてもらったのです。
調査から分かったのは、手術そのものというより「朝イチの手術開始時刻がそろわない」ということでした。
ここが乱れると午後の手術が押し、病棟の処置が遅れ、退院調整が後ろにずれ、 在院日数まで伸びてしまう。
そこで、朝イチの開始をそろえるために、 患者準備を前倒しにし、麻酔科と外科の到着を合わせ、 器械出しのセットを前日に整える ように変更しました。
その結果、手術の開始が時間が安定し、午後の手術が前倒しになり、 一日の手術件数が自然に増えていきました。 数字を追ったのではなく、流れを見えるようにしたことで数字目標をクリアすることが出来たのです
「大切なのは、まず“見えるようにすること”。 これによって病院の数値は変えることが出来る。この一つの成功体験で前に進むことが出来た」と後日、会議で話された院長の重みのある一言がとても印象的でした。
さあ、あなたが経営されている病院では、まだ、結果に翻弄され、現状維持を続けますか?
それとも、基準クリアの手法に今すぐ着手し、数値目標達成を実現しますか?
そうした病院経営者に、確実に結果を手にしていただくことをサポートするのが私たちの役割です。
著:伊藤 稔