今週の収益改善の視点 636号:「なぜ、急性期病院で収益格差が出るのか? 全体を見ようとする病院と、そうでない病院の違い」
急性期病院の収益力が弱いのは、「しかたないこと」と諦めていたんです。
とある急性期病院の院長からのご相談です。
お話をお聞きすると、救急の負荷は大きい、入院日数も短い、人件費は高くなる一方で、どうにもならない。
何気なく検索して出てきた当コラムをお読みいただき、藁をも掴む思いでセミナーに参加され、少しづつ気持ちが変わっていかれた。とのこと。
当セミナーでは、医事、外来、検査、病棟、手術室、救急、退院支援まで、すべての業務を一本の線として並べ「業務フロー」という考え方についてお伝えしてます。
なぜなら、院内のどこで時間が押しているのか、どこで人が詰まっているのか、どこで判断が止まっているのか。といったことは部門ごとに点として見ていっても何も分からないからです。
語弊を恐れず申し上げれば、赤字の理由は「各自の努力不足」ではなく、 “流れで捉え、問題を発見するしくみがない”ところにあるものだからです。
この視点で病院全体の流れを共有できれば、急性期病院の生存確率は大きく変わります。
こうしたことにすでに取り組まれている 急性期A病院では、様々な変化が起きてます
例えば、かつてA病院の手術室では、毎日“開始時間がバラバラ”でした。
人手不足なのか?技術不足なのか?その原因が誰も分からなかったのです。
ある日の業務改善ミーティングで、プロジェクトリーダーが業務フローを日別で並べて掲示してみると、
外来説明が少し押し、その影響で病棟の術前準備が遅れ、 その遅れが麻酔科の到着時間を揺らし、 結果として手術室の開始が毎日バラバラになる
—— そんな“遅れ”が一日の業務の流れの中で起きていたことがわかったのです。
参加メンバーからは「こんなことがあったのか……」との声がでるなか
これに気付いた、メンバーのとった行動は・・・
業務フロー上で、前日準備の締め切り時間をそろえ、病棟の術前準備の時間を固定し、 麻酔科の到着時間を決める。というものでした。
簡単な話、机上で流れをつくり、そのとおりに現場で動いてもらったということです。
すると翌週から、朝イチの業務開始時間は一緒になりました。
外科医の表情が変わり、麻酔科は落ち着いて準備でき、 看護師の走り回る姿が消えた。 手術室の空気が、明らかに軽くなったのです。
その変化は、次の手術にも波及しました。 清掃、器械準備、次症例の導入
—— これらのタイミングを揃えただけで、 手術と手術の間のムダ時間が消え、 インターバルが短くなった。
結果として、1日の手術件数が自然に増えたのです。
さらに、緊急手術の受け入れも安定し、緊急枠と夜間対応の流れを一本化したことで、 「受けられたり、受けられなかったり」がなくなり、 救急の断りも減ったのです。
院長曰く
「人を増やしたわけでも、設備を変えたわけでもない。 ただ、流れを見えるようにしただけで、収益アップに繋がった」ということです。
業務改善は、 流れを見える化したことで、急性期は必ず強くなる” ということを証明したということです
さあ、あなたの病院はまだ、今のままやり続けますか?それとも、全てを見える化し、手術効率をアップさせることで、存続の道を選びますか?
次に、この手法で成功を手にするのは 急性期病院の院長あなたの番です。
著:伊藤稔