「うちの会社には、こういう理念がありまして・・・でもそれを掲げても何も進んでいかないんです」とあるスーパーチェーンの社長さんからのご相談です。
お話をお聞きすると、「緊急事態宣言やウクライナ侵攻の特需が過ぎ去った後、大きく苦戦をされた。来年はじまる、限定消費税1%後でも同じ失敗をしたくない、一緒に対応策を考えてほしい」とのこと。
会社経営を続けていくうえで、何を大事にするか?
創業者が決めた想い。 地域に向けた約束。 社員を大切にする。経営理念は 、こうした経営のよりどころであり、ゆるぎないものです。
だからといって経営理念を掲げ毎日唱えても、数値が動くわけでなく、会社が変わっていくものでもありません。
永遠の愛を誓って結婚し、幸せな家庭をつくろうと思っても、仕事が上手くいかず収入が減り、食べるのが精いっぱい。子供の塾、家族旅行や、それぞれの趣味や、やりたいこともできない。この家庭に、明るい未来はあるのか?容易に想像がつくわけです。
企業も一緒で、理念をいくら唱えても、収益を増やしていく術がなければ、成長投資どころか、既存店の設備改修すらできなくなります。最低賃金の上昇で人件費が上がるなか、売上が止まったら、お金が足らない?状態になってしまう?ということです。
このように、目先のことに追われ、高騰する人件費対策を考えるといったことに手が回らなくなります。
ウクライナ侵攻問題後、売上上昇に準じて、最低賃金の引き上げられ人件費はさらに上昇しました。
そして、来年4月は、食品消費税1%が施行され特需が見込めることから、賃金は更に高いレベルになります
問題は・・・
2029年の4月に食品消費税1%が終了するということです。
その前に、手を打たなければ、売上客数は低迷する中、人件費は至上最高額を計上しているということです。
こうした、体力の弱ったスーパーマーケットチェーンを標的に、大手、準大手企業は、虎視眈々とM&Aを仕掛けてきます。
各社いろいろお考えがあるので,どうこういうつもりはありません。
先代から引継ぎ、大きくしていこうと誓った会社を、他企業の天下り先にしてしまうのか?ありとあらゆる手を使って、立て直し、生き残っていくのか?
今年は、その大事な時期に差しかかっているということです。
仮に、2029年までの2年で、現状の収益構造を変えることが出来れば、自動運転とまではいかなくても、自分で車のハンドルを握り、自走出来る状態までもっていくことができます。
実際にご支援させていただいている企業では、すでにこうした準備をしてこられ、
開店時完全品出し、夕刻の完全補充体制、値下げロス改善、品切れ改善、といった多くのスーパーが抱える課題をクリアし、高収益の仕組みを手にされています。
とくにこの取り組みは、最近の顧客ニーズ変化と大変相性が良く、手のかかるセールや企画をやらなくても、自然体で収益を2倍、3倍、4倍稼げるということです。
その顧客ニーズ変化は何か?といいますと、
昨年の米騒動後、食品スーパーの使われ方が大きく変わった。ということです。
例えば、数年前は、品不足等があると、高齢者が朝から並んで買いだめが当たり前でした。
コメも例外なく、消費者だけでなく、問屋までもが買い占めにまわっていたのが分かったことは、記憶に新しいことと思います。
食品の中で最も単価の高い5kg米が1.5倍以上に値上がりしました。顧客は2Kg、1kgへとシフトしたり、パンや麺類に鞍替えし、その結果、米の消費量は1割近く減少しました。
今、一年経って、コメ価格は下がったとはいえ、消費量は戻ることなく、単価と数量がダブルで下がり、スーパーの売上にも影響がでています。
これに端を発し、たまご10個入り⇒4個入り、食パン一斤⇒3枚切り、牛乳も1l⇒500mlといった少量化が進んでいます。
米騒動は、必要な分だけ買う、いつでも買えることへの顧客意識を大きく変えたといえるでしょう。
企業のどんな素晴らしい理念も、こうした 市場の変化を掴むことができなければ、チャンスを生かすことは不可能です。
会社の理念を実現したいなら、まず利益をつくらなければならない。そのためには、市場の変化に柔軟に対応し利益を増やすことが最優先になるということです。
売れる容量にあわせ棚割りを見直す。 価格の安さより品切れをなくす。 業務を減らし個人の負担を軽くする。 値下げを捉えロスを無くす。 こうした問題を解決することが出来て、はじめて利益を手に出来るわけです。
ただし、長年やってきたことを、変えるのは簡単ではありません。なぜなら、人は変わりたくないもの、それが人の性だからです。
今から着手し、成果を享受できる店を1つ、また、1つと増やしていき、それが、過半数を超えたとき、一気に、社内の動きは変わります。
その時間は、どの企業でも必要になることから、一刻も早く、始めることが成功の可否を大きく左右するということです。
さあ、あなたの企業では、まだ、過去のやり方にこだわりますか?
それとも、環境の変化に対応した店舗を着実に増やすことで、高収益を実現しますか?
著:伊藤 稔




