今週の収益改善の視点 646号:「なぜ、人件費削減だけでは間に合わないのか?2029年問題をプラスに転じさせるために必要なこととは?」
小売りチェーンの2029年問題とは、消費税1%減税が終了し、過去最大の人件費が重くのしかかる厳しい年になるということです。
労働集約産業は、人件費さえ何とかすればどうにかなるということが続きました、しかし、最低賃金の引上げと、物価高によって生活者の購買行動は大きく変わりました。
顧問先を訪問した際 担当部長さんから 「レシチャレ」って知ってますか?といった話題で盛り上がりました。
「レシチャレ」とは、レシート投稿でポイントがたまる携帯アプリのことです。
先週も新聞紙上で取り上げられてましたが、思わず「え?」っと耳を疑いたくなるような結果も出ています。
例えば、物価高にもかかわらず「節約はお休みする派」が27%もいるとか、「商品が安いからと言ってもはしご買いをしない」とか「PB商品を買うのを減らす」という人が昨年より増えてる。という結果が載ってます。
「たかが携帯アプリ・・・」という声も聞こえてきそうですが
侮るなかれ、
2026年5月~7月の僅かに三カ月間で投稿された、14万人のレシートによる集計結果は、これまで知ることが出来なかった、顧客動向が映し出されています。
物価高対策として、人件費削減+PBを増やすというのがここ数年の流れでしたが、水面下ではPB離れが起こっていたとは誰も想像もしなかったということです。
いわずもがな、原価高騰で、NBとの価格の差がなくなり、PB離れがおきているということです。
こうした中 「人件費削減はやってるが収益があがらないどうすればいいのか?と一緒に考えて欲しい」とあるスーパーの社長さんが 相談にお越しになりました。
お話をお聞きすると、売上は横ばいだけれど、利益は3年連続減益。このままだと赤字転落は確実とのこと。
弊社に来るまで、かなり悩まれたようで、だいぶやつれたご様子であったことを 今でもはっきり覚えています。
――――ところで、削減した人件費コストはどこに使われたのでしょうか?とお聞きすると
おもに老朽化対策と、提携先のPBを増やされたとのこと。
ーーーーそれで、どのくらい、売上はあがりましたでしょうか?と聞きすると
「え?」と少々バツの悪そうな表情です。
もちろん壊れたものは修理しなくてはなりませんし、売れる商品も増やしていかなくてはなりません。でも、思い通りいかなかった場合そこから、さらに踏み込んでいかなくてはなりません。
「それが出来ないから困ってる・・・」という声が聞こえてきそうですが
ーーーーご安心ください。これはあくまで机上での話。 前提条件を変えれば、やり方次第で売上を変えることはできます。とハッキリ申し上げると
少しほっとされた顔をされました
前提条件とはなにか?
それは、品揃え、品切れ、価格設定、開店時完全品出し完了、夕方の品切れがない、レジでお待たせしない。といった お客様をお待たせする状況のこと。です。
もし、ここの部分の対応が不十分のまま、PB商品の強化に着手したとなると、勘違いのまま突き進んでしまった可能性があるということです。
本来であれば、いろいろな角度で分析し、どう頑張ってもムリで利益がでないと結論がでた時、そこで、はじめてお客様が求めている商品は何か?PBも選択肢の一つとして出てくるものだからです。
各社お考えがあるのでどうこう言うつもりはありません。
NBを買いにきてくれたお客さまが、ある日突然PB商品変わってしまったら、お客様は、減ってしまうということです。
広大な売場を持て余してる店であればまだしも、そんな店はないわけです。
すでにやってしまった。というのであれば、まずは、開店時完全品出し完了、夕方の品切れがない、レジでお待たせしない。といった
お客様を待たせているボトルネックの発見調査を至急実施してくださいと、申し上げています。
なぜなら・・・
店舗経営で収益を上げる最大の近道は、店舗で業務の滞りを見つけだし、生産性を上げることです。
まず、そこを見つけ、止血することが急務であり、そこには、大きな伸びしろがあるからです。
実際に、ご支援させていただいてる企業でも、はじめてお伺いしたときは全ての店が赤字状態でした。もちろんPBなど生鮮食品以外に何もありません。
店舗に一歩足を踏み入れると、パートさんも社員も、自分の仕事をするのに精いっぱい。話しかけないで欲しい~とオーラを放つ人ばかり。
本部会議室に入れば、重苦しい空気が漂い、皆、うつむき加減でだれも意見を言わない。
そんな状態がしばらく続きました。
やむなく、今まで取り組まれてきた業務をお聞きし、それがどのくらい利益になったのか?調べていきました。
そして、利益が出ることだけに絞って、見通しを立て徐々に再スタートをかけていきました。
結果、今では、過去最高益を出す店舗が何店舗もでていて、その後も毎月利益更新をし続けています。
社長さん曰く
最初にこの取り組みやり始めたときは、これほど自社の事業に大きな影響を及ぼすとは思っていませんでした。
立ち止まって考えこむより、やってから何が必要かを考えればいいという感覚で、出された課題に必死に取り組んできた結果、予想を上回る店舗を続々と増やせてます。
と 物静かに話されるその口調は、数年前とはまるで別人で、とても光輝いています。
さあ、貴社では、まだ、これまでの取り組みを確認しないまま、やみくもに走りつづけますか?
それとも、今、置かれている状況を今一度確認し、やるべきことを明らかにしチャンスを掴みますか?
著:伊藤 稔
