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今週の儲かる繁盛店の視点 第221話:「業務改革の投資で 生産性を上げるチェーンと下げるチェーンの違い」

「先生、作業指示書のLSP移行はお金がかかるので、半分は自分たちでやることにしました」

業革プロジェクトで、人時売上更新にチャレンジ中の あるチェーンの運営部長一言です。

――――へ?それで、人時の正しい数値がでるのですか?とお聞きすると

「わかっています 大丈夫です」 の一点張り。

気になりましたので、 

――――完成形とその運用手順を見せてください。

と、何度お伝えしても、一向に返事が返ってこないことから、その重要性が、理解されずに、投資額を決めているのでは?と違和感を感じたのです。

人時生産性に関わらず、正しい実態反映した数値の出ない企業の業績は、いかに、がんばったところで、もとの数値がわかりませんから、決して業績改善することはありません。と一貫して申し上げています。

こういったケースでよくあるのが、「そのつど、エクセルで修正して使うようにやりますから・・・・」という、意味不明な、一言です。

――――どういう最終画面になりますか?なにを、売場で修正するのですか?とお聞きしても、ここでも

「わかっています、大丈夫ですから」の一点張りです。

さて、出来上がってきたものを拝見すると、作業に人を割り振りする仕組みが欠如しているため、それを手作業でやるという、手間のかかるものができあがってきてしまったのです。

運営部長曰く「その振り分けプログラムは、お金がかかるので、そこは削減しました」とのこと。

本来であれば、人員振り分けなど修正しなくてすむように、自動出力化させるのが、LSP化への移行の目的です。これでは、今までの手書き作業指示書とあまり変わりありません。

冷静に考えてみればわかることですが、この「削減した部分」のリスクは想像以上に大きいということです。例えば、日々の作業振り分けにかかる人時、それが正しい数値であるかどうか確認する照合作業、それを全部門の責任者に教育する作業人時、修正間違いがあった場合の修正にかかる作業人時。は全て人手で解決しなくてはならないことになります。

ザックリ計算しても、この振り分けにかかる人時コストは、一日あたり、15分として、6部門ですと1.5人時で年間547人時となります。 
このシステムを10店舗で展開した場合、なんと年間547万円の店舗人件費が増える、LSPシステムを作ったことになります。

店舗で行う自動振り分け作業を、人の手でやったら、どのくらいかかるか?この試算をせず、投資金額が、一円でも安い方がいいという思考で、システム構築を発注してしまったからにほかならないのです。

さらに、この先、何年もこの人件費が積算されていくわけですから大変です。たかが数十万円のコスト削減で、数百万、数千万、数億という利益を取り逃し、逆にコストアップする仕組みを作ってしまったわけです。

部長決裁枠という、硬直化された組織予算内で、システム投資を考えると、こういうことがおき、本末転倒となります。

そもそも、業務改革で人時生産性を1割引き上げるということは、営業利益率を1%改善に匹敵することになる巨大利益を生むプロジェクト活動です。
年商10億の店舗であれば、1千万は増益を見込む戦略のもと、その引き上げの要がLSPとなるわけです。
そのシステム構築に1店、500万投資しても、一年後には500万返ってくるわけですし、二年後は1千万返ってくる話です。

これからの企業が目指すことは、店舗業務量を減らしていくことであり、これに逆行する、システム投資が、あってはならないのです。

先の運営部長は、後日社長からも厳重注意を受け、これに懲りて、「今後のシステム投資は、全社の数値改善数値を見据えた上で進めていきます」と言っておられ、その後システムの追加投資を行うことになりました。

一方で、自社でノロノロやっていたのでは、間に合わないと社長判断で即決し、LSPを完全形で導入したチェーンは、結果の出かたが全く違ってきています。

「単なる売場ごとの、出勤シフト表では、ムダは全くわからなかったです」とか
「作業指示書をレイバーに、置き換えて引用してみると、こんなに人が余ってることが見えてきました」とか
「もともと多いなと感じてたんですが、予想以上に多かったので本当に驚きました」といったことを、経営が把握し動かし始めています。

「お惣菜であれば、朝一番何パック作るのか?」とか「時間帯別に何パック必要なのか?」とか「作らない時間帯はなにをしているのか」といった、経営として、現場指導に役立てることができるツールとして活用しています。

時には、「なんで、売場手直しにこんなに時間がかかっているんだ!手直しは本来必要なのか」とプロジェクト内でも、思わず社長のエキサイトする場面もあったのですが…

そもそも、「売場手直しをする」という経営がこれまで、指導してきた一業務項目に入っていたということです。
何人時でどの領域の手直しを何人時でできるか、もしかしたら「売場手直し作業」は今後不要なのでは?ということも視野にいれていかなければならない段階にきているといえます。

「売り場が乱れていたら、手直しをするのは当たり前なのでは…」という声が聞こえてきそうですが、

批判を恐れず申し上げるとすれば、「売場が乱れている」というのは、お客様が言っていることではないということです。
かつて、働き手がたくさんいた時、何も作業が無いとき、「売場手直し」とか「売場前面陳列」といった余剰人時対策の一貫として、作られた旧態依然のものであるということです。

むしろお客様にとって必要なのは、「商品の品切れ」の改善であったり「売場のわかりやすさ」の改善ということです。
つまり、売り場が多少乱れていようが、欲しい時に、好きなだけ買える売場づくりが確立された店舗の方が、評価が高く、購買に直接的に結びつくことが来店客調査をするとわかっています。

そういう作業を優先手的に、行なうように設計するのが作業指示書であり、それを実用化したものがLSPということになります。

新規システムの投資であるにもかかわらず、現状のグループウエアシステム更新と混同し、一円でも安くすればいいと、思い違いをすると大変なことになるわけです。

LSPの移行は、店舗の作業生産性の低いものを浮き彫りにし、日々それをリアルタイムに現場の不具合や非効率を発見し解決していくための成長戦略ツールです。
したがって、自動出力として、その正しい数値がでてくることが最低条件になります。

この最低条件をクリアした上で、作業指示書としてアナログでやっていたものを、プログラム化、短時間で大量に処理できるようにデジタル化されたものでなければ、無用の長物となるのは火を見るより明らかです。

言い方をかえますと、アナログ部分の手作業の領域やその単位時間が、今、何も決まっていなければ、今後、少ない人数で運営できるようにしていく、機械化もIT化もすることは現状ではすぐにできないということです。

詳しくはセミナーでお伝えしていますが

どのチェーンも全てがゼロからの出発です。一旦導入に成功すれば、3年5年10年と、人時生産性をあげる続けることができるようになるのも夢ではありません。

さあ、貴社では、10年間生産性を伸ばし続ける業務改革に関わる投資を、全社として考え利益享受していますか?それとも、まだ、部門投資と考え利益確保が遅延していますか?

今日も最後までお読みいただきありがとうございました。


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