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今週の儲かる繁盛店の視点 第222話:「人時生産性をコントロールする仕組みで成功する企業と失敗する企業の違い」

「先生、ここ2カ月売上前年比をクリアできました。これから、人時生産性を上げる業務改革に取り組んでいく上で、特に注意することはありますか?」

先日ご相談にお見えになった、とあるチェーンの経営者からのご相談です。

小売業の人時生産性という未曽有の取り組みについて、着手されるということは素晴らしいことです。多くは、「一度はやってみたが、どうしてもうまくいかない」と諦めてしまったり、「どこから手を付ければいいのか分からないので、先延ばしになっている」という残念な結果が多いと言えます。

人時生産性と一口に言っても、やるべきことが多岐に渡ります。その中でも、今後人口が減り、売上が上がらない状況に於いて、絶対にやっておかなくてはならないことがあります。

それは、利益に繋がらない業務は「全て止めていく」ということです。

理由は簡単で、今まで、人口増の時に効果のあったものが、人口減では必ずしも同じ効果あるとは限らず、それに引きずられ、新たな施策に取り組む「時間」がなくなるのを防ぐためです。

言い換えますと、これまで、売上がとれれば良しと、やり続けてきた業務を、利益が獲れるコトだけに絞り込み、そこでできた「時間」を新たな顧客満足度向上策に再配分していくことになります。

「人時生産性を上げて、顧客満足度もあげる?そんなことが出来れば苦労しない」という声が聞こえてきそうですが、

人は、モノが売れて忙しい時は急いで仕事をします。しかし、モノが売れない日は、手持ちぶさたとなるため、「何かやらなくては?」と考えることから、何かしら余計な作業をつくり出そうとします。

例えば、店では、日頃出来ていなかった、整理整頓や清掃や売場の手直しや個人資料づくりなどです。本部では、売上底上げ策として、販促が中心となり、日替わりと称して、緊急チラシを打ったり、商品送り込みをやったり、不振原因の報告書を作らせたりします。

緊急チラシを増やせば、店舗売上増を見込んだ人時を増やすため、その他の日を含めた人件費全体が高くなります。

こういったことは多くの企業が陥る落とし穴であり、まず、会社が必要業務と決めたもの以外、今後「全て止めていく」ようにする、ということです。

「そうはいっても 一人一人の仕事内容まで 知ることはできない」という声が聞こえてきそうですが、

天気や人口減少という環境与件は、コントロール出来ませんが、それに対応できるコントロール手法をつかって、利益をあげていくことになります。ここで必要となるのが店舗作業指示書です。

今後、少子高齢化が進行する中で、経営として何を止めて、何に人時を再配分してくべきか?その戦略を立てる時、作業指示書はその威力を発揮します。

そこでは、全ての店舗作業が図上で示されることから、作業がないのに人がいるといった、ムダが一目瞭然にわかることになりますし、また、チラシのように大量の人時がかかっている部分も明らかになってきます。

「チラシをいれれば 売上はあがり生産性も上がるのではないか?」という声も聞こえてきそうですが

たしかにチラシ初日は、他の日の売上に比べて一時的に売上はあがるかもしれません。では、1年間を通しての人時生産性で見た場合どうでしょうか?

仮に、週2回チラシを訴求するとして年間100回は前年比が超えたとします。残りの265日の前年比が割れた場合、今のままの人件費であれば、人時生産性は、前年比割れとなり、生産性は低下したことになります。

チラシを入れると、商品陳列や移動、価格チェック、価格変更、値下げといった一連の作業がかかります。チラシは初日の売上が獲れたとしても、その作業人時を加味した通期の人時生産性を考えると10%の売上を獲るのに、3割の人時のかかる赤字業務であることも、調査結果からわかってきています。

チラシをやめることで、万が一、売上が10%落ちたとしても、3割の店舗作業がなくなることから、逆に利益改善する結果になります。実際この試算をもとにチラシをやめ、その後、黒字体質に転換した企業もあります。

それにもかかわらず、多くの経営者は、チラシを訴求したほうが、利益が上がると考えます。

まさに、それは錯覚なのですが、人の思考は、決断をする上で、3つの情報が必要な場合でも、「イメージがしやすい」情報だけを選んで判断をしようとするものだからです。

特に、自分がこれまでやってきた成功体験や、それでうまく回ってきた経験があると、今後もそれが続くという思い込みが強くなり、不都合な情報は排除する思考機能が働くのです。人の意識を変えることが難しいのはこのためです。

このチラシのケースでも、「チラシ初日の売上情報」だけに固執し、これを増やせば一年間売れるものと、判断してしまっている点です。
 人時生産性を上げていく為には、こういった思い込みが利益に結果に反映されてしまうことから、それを修正できる、仕組みを備えていかなくてはなりません。

特に、気をつけなければならないことは、経営者自身が、日々の業務に忙殺され、この思い込みを無意識のうちにしているということです。

「新聞購読率が10年以上減少している。チラシ依存から脱却し、本数を減らしていかなくてはならない」と語っていた改革派の社長さんであっても、いざ実行段階になると、
「そんなことしたら、売上の厳しい店舗に冷水を浴びせ立ち直れなくなる」とか
「競合だって、週三本打ってくる」とか「店じまいするのではないか?と思われないか」といった、「現状から変わる」ことへの不安から、錯覚のスイッチが入り、再び高コストから抜け出すことが出来なくなるのです。

そういう意味では、この9月は、「現状から変わる」ことに切り替える絶好のタイミングと言えます。

というのは、9月は、年間の日商売上が低いにもかかわらず、8月のアルバイトの採用やお盆時期の時間外の影響があって、人件費が高止まりする月です。
つまり人時生産性が一年のうちで、最も低い月になり、赤字の月といえます。

売上が低いメリットを活かし、先のチラシにかかるに人時を計測したり、チラシの人時生産性を調べるのに、最高の条件が揃っている月だからです

常日ごろ、各企業の経営者に申し上げているのは、9月の人時生産性の改革への取り組み体制如何によって、次年度の結果を大きく変えることも出来る。ということです。

最も生産性の低い月でテストし利益底上げすることが出来れば、次年度の人時生産性に改善成功のきっかけをつかむことができるのです。

振り返れば、今年の夏、売上が上がったのも、意図して出した結果ではないということです。しかし、ここでも、「イメージしやすい情報」だけが選出され、自社の今までのやり方が当たったことで、売上が上がったことに置き換わった結果報告書が残ります。しかし、その実態は単なる「猛暑による、偶然にできた売上結果」ということ何ら変わりはありません。

問題は、いかに少ない人時で達成するように取り組んだか?ということであり、それこそが「企業が工夫して考えだした成果」ということになります。

売上は狙って仕留めることはできません、しかし、人時さえコントロ―ル出来れば、次月度はそのコストを顧客満足度に再投資することができ、狙って収益を上げることも十分可能となります。

詳しくはセミナーでお伝えしていますが

業務改革で人時生産性を上げるためには、思考の錯覚による判断ミスをいかになくすかによって、その成否が分かれます。そして、そこで生まれた収益を顧客満足度改善策に投資し続けることで、企業成長力を引き上げ続けることが実現できるのです。

さあ、貴社では、まだ、コントロール不可の気候と人口減に依存しますか?それとも、人時と思考をコントロールすることで、他社と一線を画しますか?

今日も最後までお読みいただきありがとうございました。


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