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今週の儲かる繁盛店の視点 第332話:「優秀な幹部ほど、改革と聴くとなぜ動かないのか?その原因も対策も根本的に一つしかありません。その一つを抜きにしては何をやってもダメです」

「先生、うちは 人の調整がつかないので、プロジェクトの専任制はちょっと・・・」とあるチェーンの経営者からのご相談です。

かつて、人口が増えていた頃、全ては売上中心に動いていました。ある意味、誰がやっても上手くいく環境にあり、その組織は兼任体制でも十分回すことが出来ました。運営部長と商品部長が兼任、中には大型店の店長も兼務されてるとこもあり、その調整役を運営部スタッフが担うスタイルは、まだ、記憶に新しいことと言えます。

新しい企画を次々投入して売上を上げるためには、スピードが重要でしたから、運営部長と商品部長が兼務とであることは大きな利点がありました。また主要ポストの人件費負担もないことから、多くのチェーン企業が、この兼任方式をなんらかのかたちで採用してきたわけです。

ところがここ数年の人口減少による、売上低下とコスト増で、そういった大まかなやり方の見直しが求められています。例えば、売り上げさえとれれば、そんなに儲からなくとも認められた新規企画も、今は精査が必要になってきています。

そもそも、新規企画といえども、収支計画をださなくてはならないはずなのに、これまで人件費については触れずにやってきたことが仇となり、その改善が急務となっているのです。

売上が上がらない状況下で、収益力を上げるには、売上と人件費を一つにまとめた人時売上を使うことが欠かせません。さらにその人時売上を引き上げていくためには、組織の見直しが必要で、そこでは、運営部長、商品部長の役割も大きく変わってきます。

運営部長は人時を引き下げる。そして、商品部長は売上を上げる役割を基本に、企業の人時生産性を上げていくわけですが・・・

こう申し上げると

「今までと、何も変わらないのでは?」という声が聞こえてきそうですが、やるべきことは全く変わってきます。

例えば、運営部長は、人時売上目標に向け全精力を傾け、非効率作業を改善を担う「業務改革」専任チームも新設していくことになります。

さらに極論を言わせていただくと、運営部長は「売上責任を持たない」という状態で「業務改革」を執行していくということになります。

「え?一体なにを言っているのか?」という声が聞こえてきそうですが

運営部長の責務は、これまで売上を上げる事と思われていましたが、これからは、人時売上目標達成に向け、人時引き下げることが仕事になる。ということです。

これは冗談でもなんでもなく、会議の席上で、売上対策を問われ、売上不振の対策に動くことはしなくていい。ということです。

一方で、商品部長はというと、反対に、売上を上げることが責務となります。そこでは、商品改廃、価格設定、棚割り等 売上を上げる為の設計をする人員強化は必須となります。それを着地させるために、店舗では人時をしっかり配置するように店舗運営部に要請を行います。

勘の良い方ならお気づきのことと思いますが、「運営部長は、人時を減らす」一方で「商品部長は、人時投入を要請する」という利益相反が起きます。ここで、はじめて、人時売上の問題点と企業が対峙することになるということです。

大事なことなので繰り返しますが、運営部は人時を下げ、商品部が売上を上げる。この2つの歯車が動くことで、企業人時生産性は、改善の方向に向け動き出すのです。

「そうは言っても 運営部が売上に触れることはできないのはおかしい」という声が聞こえてきそうですが、

理由は簡単で、売上を動かすことが出来るのは、商品改廃の出来る商品部であって、運営部には、何もすることが出来ないからです。

例えば、防寒衣料が売れるから冬場は、売上は高くなります。夏は、エアコンが売れるから、住関連の売上が高くなります。年末は、単価が5倍以上のおせち商品が売場に並ぶことで、売上が高くなるわけです。

商品部は、売れる商品を確保し、これらが品切れしないように、棚割り計画を策定します。それを受け、運営部はLSPを駆使し利益を最大化させていくことになります。

既に、前出の企業では、店舗運営部、商品部、店舗の責任者を専任とすることで、大きく流れは変わってきています。それぞれの、責務の明確化が、人時生産性に直結するというシンプルな構造になり、社内のフットワークが飛躍的に向上したのです。

もちろん、これが恒久的組織ということではありません。念願の人時売上目標が実現できた時には、再び、兼任化を検討することで、また、新しい変革の道筋が見えてくるからです。

さあ、貴社では、まだ、調整重視の兼任組織で改革の足を止めますか?それとも、人時売上と対峙する、専任組織で大きく飛躍しますか?


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