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今週の儲かる繁盛店の視点 第339話:「業務改革をしても、顧客の反応に気づかない企業の共通点とは?そこには致命的に欠けてるものがある!」

「先生、ウチはチラシもやってないんです。レジも必要最低限にしています。ギフトもやってませんし、まずは、赤字業務を削らないことには、お金が残らないもので…まだ、削れるところってあるのでしょうか?」

セミナーにご参加された、とあるチェーンの社長さんからのご相談です。

――――ムダを削るのは間違っていませんが、それで、お客さんの満足度はどうですか?とお聞きすると

「えっ?」と少し言葉に詰まったご様子。

――――経営の目的は、お客さまに喜んで利用いただくことで、利益を増やすことです。と伊藤は申し上げました。

「ウチはこれまで、売上減少の連続で、とてもそんな状態じゃなかったものでして…」

だからこそ、顧客満足度引き上げに、先行投資をしていかなくては、一過性のコストカットで終わりかねないということです。

ビジネスの世界は代償を必要としない報酬ありません。コストカットで繋げることができるのはせいぜい1~2年が限界です。その間に収益を上げることができる仕組みができるかどうか?社長の経営手腕にかかってきます。

改善のヒントを見つけては、週次レベルで解決し4週間後にその収益は上がったどうか。こういった取り組みを年間どれぐらいできたか?それが、経営の使命だからです。

「そんなに早く回していくのはちょっと…」という声が聞こえてきそうですが、業革は時間で解決していくことが重要なことは申し上げましたが、お金で解決できることはたくさんあるのです。

先日も、業革プロジェクトを推進しているH社では、定例の業務改善会議が開催されました。

テーマは「店舗のパソコン端末に関する業務改革」です。売場チーフが事務所で日々行うパソコン作業は、売上や勤怠確認、本部からメールチェックと多岐に渡ります。
朝の品出しが一段落すると、パソコンのある事務所で作業をします。もし、パソコンが空いてないと、出直すか、その間、となりの休憩室で一服待機する姿もチラホラ。

そもそも、数台のパソコンを順番待ちで使うやり方の生産性はどのくらいなのか?もしかして、各売場に1台ずつ割り当てる方がいいのでは?という現場から声が出てきたのです。

かつて、パソコン作業は管理上の問題で事務所でやるのが当たり前でだったのですが、それはチーフが売場から離れても、十分回せるくらい売上も人も多かった時代の話。
今は、売上も人も減り、維持するだけで精一杯な売場ばかりです。

ノートパソコンを各売場に配賦することで、調整、移動、手待ち時間はほぼゼロになり、必要人時は減るのは誰の目にもあきらかで、それに対し業務改革課が次の提案をしてきました。

仮に一日0.5人時減ったとすると年間182人時、5部門あれば時給千円換算で90万円/年の改善で、パソコンとWiFi工事を実施しても単年回収出来て、翌年から、その分お金が積みあがっていく計算です。

売場で作業が出来れば、本部指示にも迅速対応できますし、売場にいる時間が長くなれば、品切れやレジ待ちの顧客対応も変わってきます。

ここまでは、単なる業務改善でしたが、社長はその背景に、今、成長しているネット通販やネットスーパーに顧客が流失していることが気にかかっておられたのです。

いま、ネットスーパーやネット通販が支持される理由に「無駄がない」事があげられています。Web上で簡単に入荷状況がわかり「品切れ」「レジ待ち」といった店舗で起るストレスとは無縁で便利なこに加え新型コロナ問題でさらに売上が上がっています。

実際にAmazonや楽天のネット通販は30~50%伸びていて、このままいくとリアル店は、ネットスーパーや通販にこれからも顧客流失していくことに歯止めがかからなくなってきています。

リアル店舗の経営は、顧客流失の原因を潰していくべく、顧客満足度の調査や集計を短時間で行うことが必須で、ここにも投資が必要です。

顧客満足度調査には、月に2~3日人を張り付け、ヒアリングサンプリングをとって分析するのですが、忖度を避けるため、そのとりまとめ集計作業は、第三者機関であるマーケティング会社に委託していくことになります。

今は手集計でおこなわれることから、結果が出るまでに数週間ほどかかるものの、毎月こういった調査を継続していくことで、現状の店舗運営が、お客様に支持されているかどうか掴めるようになります。

前出のお手伝いさせていただいている企業でも、店長が変わればスコアは変わりますし、レジシステムや、清掃のやり方、品出しのやり方を変えることで、スコアは変わりそれと相関して、客数と売上も変わってくることも分かっています。

先日も、顧客評価の「品切れがない」という項目で、なかなかスコア改善が進まなかったため、そのプロセスと見ていくと、発注よりも、品出し方に原因があったことが見えてきたのです。

これまで、終日かけてやっていた品出しを、時間を限定し、それ以外の時間は品出しをしないことに決めたことで、「品切れがない」というスコアが一気に上昇したのです。

これにより、フルタイム契約の人を大量に雇用するやり方から、品出しの時間帯にきてもらう短時間契約の人を雇用するやり方にかえ、結果的に、人時は下がり、顧客満足度もスコアアップさせることができたのです。

冷静に考えてみればわかることですが、品切れしてからの対応では、間に合わないわけで、そのタイミングはレジ応援も重なることから、品切れ+レジで待たせるといった2つの項目で、顧客満足度スコアの足を引っ張っていたことに気づかなかったのです。

こういうことを申し上げますと、「うちでも集中品出しをやればいい」といった指示を軽々とお出しになる経営者がおられますが、それは、おやめになったほうがいいですよ。とキッパリ申し上げています。

と申しますのは、店によって、混雑する時間帯も違いますし、どのタイミングでやるのが、人時も下がり、顧客満足度があがるのかは、千差万別でやってみないことにはわからないからです。

店舗にくるお客様は「もっとこうして欲しい」と口に出して言うことはありません。ところが、こうした仕組みを活用することで「品切れ」や「お待たせしないレジ」といった「改善してほしい」ことを、企業は掴むことができるのです。

そこまで、お客様のことを考えた企業に対して、お客様は友人にこうした調査について話をし、店の改善が進むごとに、その噂は広がります。
「あの企業はなんだかスゴイらしい」「対応が早くなった」と口コミが拡がり始めると、店舗側も、本気で取り組むようになります。

大事なことは、業務改革でコストカットをすることではなく、自社のことを本気で好きになってくれる顧客づくりであり、貴社に優良な顧客をさらに呼んできてくれる仕組みをつくることです。

自分のことほど、分かりにくく見えないものです。客観的に対顧客店舗コンディションを捉え、素直に対応していくことで、企業は大きく変わってきます。

さあ、貴社では まだ、企業がやりたいことだけやりますか?それとも、顧客の声に耳を傾ける仕組みで、大きく成長させますか?


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