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今週の儲かる繁盛店の視点 第403話:「売上が上がると思っている根拠は何か?売上が全て解決すると思っている社長が舵取りをする企業の行く末は?」

「先生、売上を上げる策をいろいろやってきたのですが、結果が良くなくて・・・」とあるチェーン企業の社長からのご相談です。

聞くところによると、いろいろな営業系の先生のやり方を聞き、メニュー提案とか売り方見せ方とかで、売上を上げようとしたものの反応がいまひとつで、売上下落が止まらない。

また、巣ごもり&在宅ワークが増え、一時的に、お客様が増えたように見えたが、最近では、必要最低限のものだけを買う動きになってきているとのこと。

さらに、追い打ちをかけるように、商品価格の値上げやガソリン代が電気ガスも値上がりすることから財布の紐が固くなっています。

一方、ネット通販・バーコード系決済企業や大手チェーンでは、会員向けにポイント○○倍、割引クーポンといったものを次々と打ってきています。

そのため、それをみて、うちも負けじと、ポイント倍増セールをやって…という企業も増えています。

思い起こしていただきたいのは、10年程前に大手チェーンが、「数百品目緊急値下げ」といった手法を展開しはじめどうなったか?ということです。

当時、それに準じたやり方を真似た企業が一気に拡がりました。

もちろん大手を意識したわけではないにしても、大手がやればそれに準じて、準大手が動き出し、横並びに中小他社も動きだしたのは事実で、まだ記憶に新しいことと思います。

ところが、多くのチェーンで利益率が改善するどころかむしろ悪化ししていきました。

理由は簡単で、大手の中には、業務改善で生産性をあげたり、家賃収入や金融事業で資金を増やすことができたたところは、そこで稼いだ資金を価格引き下げに引き当てて…と言ったビジネスモデルをつくって回すことが出来たからです。

一方こういった仕組みをもたないチェーン企業が「うちもお客様のために…」という販促強化チラシを打ち続ければ、利益率がどうなるかは誰も目にも明らかで、

結果的に、売上はあがらぬまま、それにかかる作業コストだけが増え企業体力を消耗させた。ということです。

「競合も価格チラシ訴求していたし…」という声が聞こえてきそうですが、

では、お聞きしますが

――――お客様に「貴社のお店の商品価格が高い」と言われたのですか?と聞くと

「えっ、そういうわけでは…」と口籠ります。

例えば、自社で毎月行う、対顧客店舗コンディション調査で「○○店は商品価格が高い」という意見を書いたお客様が一定数いる。とか、価格調査で価格通用率が低いという事実があるのでしょうか?ということです。

実際のお客様の声と向きあい、実際に調査したデータに基づいた上で判断してきたことでしょうか?ということです。

国内のチェーン企業は、そういった来店顧客調査や、店舗ごとの商品価格調査を活かし、勝つための活動をほとんどされていないとこが多く、そのため、何に対して「高い・安い」といってるのか?ということを曖昧なままやり続けてきたということです。

食品スーパーであれば、1万品目ある品揃えの1割の1千品目の重点商品について、競合店比較を実施し、お客様評価を実施した上で、販促強化チラシを訴求するといった、2段3段構えの戦略をとって戦ってきた結果、「高い・安い」と評価されたことなのでしょうか?ということです。

「うちは人がいないし、そんな大がかりなことはできない…」という声も聞こえてきそうですが

「チラシの日替わりのたまごが10円負けた」「醤油や砂糖の価格が・・・」といった数品の数日間の比較だけ見て、チラシに出ている3~5品目といった点だけに偏った考えで、安売りをやって店舗当たり数千万円もの利益棄損に陥ってきたのではないか?ということです。 

批判を恐れず申し上げれば、30年以上続けてきたチラシ訴求効果を見直すことなく、1店舗当たりチラシ販促費年間1千万もかけ続ければ、収益率が下がらない方がむしろおかしい、とハッキリ申し上げています。

実際に、社内専門チームを作り調査を行い、価格が高いか低いかを調べるだけでなく、個別具体的に商品価格をどうしたらいいか?仮説をたて試算したことはありますか?ということです。

大事なことは、周囲の根拠のない意見に翻弄され、今までのやり方を踏襲するのではなく、上手くいっていないのはどこに原因があって、どのようにすれば、優位にたたかうことができるかの方向を定めるということです。

チェーン企業の中には、自社物件比率が高い店舗も多く販管費が低く抑えることが出来たために、人件費管理が緩くても、儲かる構造を有する企業もあります。

しかし、ここ数年の、最低賃金の引き上げ、年次有給取得義務化、また管理職の時間外労働の問題化といった、今まで、企業側が都合よく活用していた時間の是正が進み人件費を中心に販管費は上昇しました。

今後、さらに採用単価が上昇し続けるわけで、数年後には、営業赤字になりうる状況が目の前に迫っているということです。

そういった観点から、現状の販促策は、果たして、収益増に繋がっているのか?企画単位や業務単位のPLはどうなっていて、今後、何に投資していくべきか?を利益視点から着手していかない事には、手遅れになるということです。

売上は、上がる時もあれば下がる時もあり、その要素は、外的な要素が大きく絡んでくることから、売上アップ策以外で収益が上がる仕組みをもって収益構造を変えていくことです。

実際に、ご支援させていただいてる企業では、売上は横ばいですが、収益構造を変えたことで利益倍増化しており、そのやり方が、売上重視型の競合店の体力を奪い撤退・倒産に追い込んだ例もあります。

売上重視を重視した企業というのは、言い方をかえれば売上減に耐えられない企業であり、こちらが何もしなくても消えてくれるのです。

さあ、貴社ではまだ、効果の見えない販促強化に時間とお金を投じ、体力消耗しますか。それとも、構造改革で、消えゆく競合を尻目に、企業の体力を増強させていきますか?


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