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今週の儲かる繁盛店の視点 第353話:「なぜ、売上で生産性改善を目差すだけでは結果が出ないのか!? 成長企業が結果を出していくため重視する2つの基準とは?」

「先生、目標となる人時売上はどうやって決めていけばいいのでしょうか?」セミナーに参加された、ある経営者からのご相談です。

業界基準といわれるものも、出そうと思えば出せますが、収益構造が異なれば、目指すべき数値が全く変わってくることから、一概に言えるものはありません。

例えば、都内で高い家賃を払って収益をあげようとするチェーン企業は、それなりの人時売上高が必要になります。一方、地方都市で、自社物件を中心に展開する企業であれば、人時売上がそれほど高くなくても成立することから、これを一緒くたに業界水準と考えること自体ムリがあるからです。

そういう意味では、自社がどこを目指すのかを明確にして、独自の目標設定をすべきです。とお伝えしています。

こう言いますと

「横串でみて、部門ごとのバラつきも 直していきたい」という声が聞こえてきそうですが、

なんでもそうですが、まずは、最初に全体の収益構造実態と照らし合わせながら、個別の目標を設定していくことになります。

特に、多くの人が働く小売業の場合、どこかの1つの部門意見を優先させれば、そのしわ寄せは必ず他に出ます。

生産性改善の指示は社長から全部門に出されることから、店舗運営から主管部門への改善リクエストだけでなく、主管部門から店舗への改善要請もあり、店舗と本部の間で改善の利益相反が勃発します。

先日も、物流部から、トラックの積載効率改善で店舗に協力してもらうことは出来ないか?という提案がありました。

物流部の言う、積載効率とは、トラックが満タンなってから出発することで、ドライバーの人時生産性を引き上げるものですが、これによりトラック店着時間が変動することになります。

人がたくさんいて、いつでも納品OKという大型店であればまだしも、現状どの店もギリギリでやっていることから、店側は荷物の遅延を想定し、多めに人時を抱えることになります。

「人が多くいる分には問題ない、手が空いたなら、店の掃除でもなんでもやることはたくさんある」という声が聞こえてきそうですが、

――――― 時間が空いたからといって、作業指示書以外の作業をやらせると、作業をつくらなければならず、人時売上は下がり店にとってはハイコストになる。ということです。

この企業の場合、レイバースケジュールが運用出来ていたため、品切れを起こさないようにするための納品時間が決まっていました。その納品時間を元に検証した結果、物流のコストダウンより店舗のコストオーバーの額がが上回ることが明らかになったことから、この物流部の提案は却下されました。

物流部と店舗の効率は、単純比較できないものの人時を基準に、全体利益がどうなるか考えれば、自ずと答えは見えてくるということです。

このように、部門を越えた課題解決に役立つのが人時売上ですが、大事なことは、人時が実態を正しく反映したものになっているかどうか?ということです。

例えば、「サービス残業のようなものは含まれていないか?」とか「年次有給休暇はどのように人時に反映させてるのか」であったり「残業に偏りがある部門は本当に正しい数値なのだろうか」ということの精査から始めるということです。

「そんなことは、うちは、ちゃんとやってるはず」という声が聞こえてきそうですが、

決して疑っているわけではありません、社内常識から精査していくことは、人時生産性改善の基本となるからです。

冷静に考えてみれば分かる事ですが、半世紀近く、人手に頼ってきた小売業が、法律が厳しくなったからといって、簡単にその働き方が変わることが出来るものだろうか?ということです。

月残業60時間やっていた人が、いきなり10時間になったら、そこから消えた50時間はどうなったのか?絶対に調べる必要がありますし、持ち帰りやサービス残業の温床になっていないか?と疑って見ていかなくてはならないということです。

今は10年前と大きく違い、SNSが普及したことから、職場の仲間や、家族などの周囲の人は、その人が働き方が変わっていない実態を、会社以上に詳しく知っているということです。

この実態を業革プロジェクトはあぶり出し、その根底から見直していくことが、生産性を上げる手がかりとなると同時に、ブラック企業化リスクから身を守ることになるからです。

まずは、こういったグレーゾーンの実態把握することで、どのように改善を進めればいいのか?という施策と合わせながら、自社の目指すべき目標予算を創っていく。ということになります。

こういったプロセス抜きに、単に、業界横並び意識をもとに人時売上目標を作ろうとすれば、「人時売上が全く上がらない」「上げる方法が皆目見当がつかない」という笑うに笑えないことが実際に多くの企業で起っているからです。

生産性を上げていく為の最初の取り組みは、基準探しではなく、自社にあった基準を創っていくということです。言わずもがなその取り組みに賛同してくれる人をたくさん創ることが、結果を導き出す原動力となるからです。

さあ、貴社では、目標さえ決まれば、まず良しと考えますか?それとも、そこからがスタートと考え、長期的に伸び続ける企業として飛躍しますか?


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