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今週の儲かる繁盛店の視点 第363話:「なぜ、元の状態に戻さないことを宣言することが大事なのか?その理由は、〇〇です」

先生、試験的に、食器洗浄機いれてみたんです。メーカーさんの協力で、数週間なんですけどね。
試験期間が終わり、先日メーカーさんが引き取りに来て取り外そうとすると「もってかないで~」「困ります」と言われちゃいまして…

とある企業の社長の一言です。

聞くところによると、生鮮厨房で、ステンレス製バットをいままで手洗いでやっていて、これをまとめてやればいいのではと、お試しで置いてみたとのこと。

最初は、「作業がしにくい」「こんなの邪魔です」「洗い残しがある」と全員が猛反対だったそうです。
ところが、お試し期間が終わって、いざ引き上げの時になると、「これがないと困っちゃう」「返さなくちゃだめですか」と 賛成派に見事に変わってしまったのです。

なんでもそうですが、はじめは反対しても、その効果に慣れてしまうと元に戻せないものです。これは逆もしかりで、効率の悪いやり方に慣れてしまうとそれを変えるのは大変だということです。

特に、こうした設備機器の導入というのは、その業務を負担に感じている人から「やりたくない」「大変だ」という声が上がってこなければ、話題にすらならない意見です。

だからといって、トップダウンで、無理に入れこれでどのくらいの作業時間が減り、さらに少ない人数で回せるようになるにはと考えると…さて、どうやればいいのか?となるものです。

ことの発端は、生鮮部門の残業が減らなかったことでした。中々実態が掴みにくい残業問題ですが、業務改革チームは、導入時に作成した作業指示書を一から見直してみることにしたのです。すると業務改革当初には見えなかった、いくつかの問題点が浮き彫りになりました。

一例をあげますと

・チーフが、商品づくりや売場陳列の作業に入ってしまい、一日の作業が終わってから、発注や報告書作成をやっている。

とか

・なんでもチーフが手伝ってくれることから、マイペースで仕事ができていたため、不満も少なく非効率業務改善意見がでてこない。

であったり

・チーフが何でも残業でこなす姿を見てきた部下は、時間内に終わらすことの必要性を感じていなかった。

といったことでした。

これらの業務量を軽減する一貫として、店で食洗器の導入テストをしたのがきっかけだったのです。意外だったのは、機器の効果もさることながら、パートさんからその後も。こういった意見が次々に上がるようになってきたということです。

冷静に考えてみればわかることですが、厨房作業は業務内容がみえにくく、店長も入り込むことが難しいため、業務改革部隊が何度か調べて問題を顕在化させないと、表面的な作業指示書を作っても何も解決にならないということです。

大事なことは、この食洗器効果を、慌てて一気に各店に拡げようとするのではなく、「こういう方法があるが、人時を減らすのに、使ってみたい店があるなら手をあげてほしい」という各店長の申告を受け徐々に浸透させていくということです。

と申しますのは、こういった設備投資は、上からのヤラサレ感が少しでもあると、抵抗勢力が頭をもたげ、やろうとしない理由の広まりかねないからです。

そういう意味では、高い目標必達を示しながら、達成のための手法の選択肢を複数用意し、店長の行動を促すことが大事といえるでしょう。

たかが食洗器ひとつですが、投資回収と収益アップさせていくために、どこまでこれを活用し、雇用契約変更に結びつけることが出来るかを考え動くのは店長次第。といった仕組みにすることで、効果の出かたは全く違ってきますし、その先、どの店から導入すればどのくらいの効果が上がるかが明確になります。 

馬を水辺につれていくことはできても、馬に水を飲ませることができないように、店長に自発的な効果ある使い方をしてもらえないかぎり、店の収益構造は目に見えるレベルになかなか変わらないからです。

このように改革を進めることが出来る企業は、慎重かつ大胆に行動で、結果を変える打ち手をいくつも持っています。だからこそ、ケースバイケースで確実に生産性改善を進めていくことが出来るのです。

一方で、改善が進まない企業というのは、出来なかったらすぐに戻す。という選択肢をつくろうとします。抵抗勢力になっていく方々は、この「後戻り」「やらない」「動かない」といったキーワードが三度の飯より大好きな人が多くこの小さな抜け穴を決して見逃しません。
そのため、会社の推奨する手順が曖昧だと、そのスキを突いてくることから、中々変えることが出来ないのです。

前職時代含め20年以上こういった問題にかかわってきましたが、ややこしいのは、抵抗勢力はどこに潜んでいるか見えないということです。姿カタチが見えないこの根深い問題だからこそ、後戻り出来るような弱腰では、人時生産性の改善などできない。とハッキリ申し上げています。

大事なことは、誰が抵抗勢力なのかではなく、誰がやっても同じな効果がでるようにすることであり、その導入の目的と条件を提示し、期限を決め結果を出していくという事です。

さあ、貴社ではまだ、あらゆるとこに、言い訳できる曖昧さを残し改革のスピードを落とし続けますか?それとも、すべてをクリアにして、一気に、収益構造を変えていきますか?


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