今週の収益改善の視点 640号:「なぜ、患者数が減ってるのか?患者を増やすことのできる病院と出来ない病院の違い」

8月はクリニックがお盆休みをとることから、急性期も患者数が減る時期です.
先日も、「今年になって患者数が減っているんです」少し前にセミナーに参加された急性期病院の理事長さんからのご相談です。
お話をお聞きすると、急性期は厚労省の指導で入院患者を早く退院させる方向で動いているため、患者数が減ると病床稼働率が下がり、今の職員数を維持できなくなる・・・ どうしたらいいのか教えて欲しいとのこと。
急性期病院には、「在院日数」「看護必要度」「稼働率」 といった基準があり、このなかの一つが崩れると、全てうまくいかなくなってしまう構造になっています。
そのため、多くの急性期病院がここで、収益構造改革の道を断念しています。
見方を変えれば、「病院側の知恵と工夫で実績を示すことさえ出来れば、一人勝ちも夢ではない」ということです。
実際にご支援させていただいているH病院では、患者数を増やすことで、この基準を見事クリアすることに成功しています。
しかし、ご相談にお見えになる前は、やっていることが、後手に回って、ある意味空回りしているといった状態でした。
救急車から連絡を受けてから、病棟に確認をしてその空き状況を確認していました。ところが、夕方や夜になると病棟の電話が繋がらないこともあって、他の病院に患者さんを廻されてしまうことが多かったのです。
患者さんを搬送する救急隊にとっては、一刻を争うわけで、対応できない病院は、搬送先から外されていきます。
ところが、病院にお伺いしこうしたお話をさせていただいても、「人がいないのでしかたない」「どこも同じ対応なのでは?」「なぜ、それが問題なのか?」といった感じで
問題意識をもっておられなかったということです。
決して、誰が悪いとかといったことではありません。
人は変わりたくないもの。 今のままやり続ける方が安心というのは、人としての本能だからです。
なので、経営側が“皆さんが安心して踏み出せる一歩”として改善方法を示す必要がある。ということです。
理事長がプロジェクトを立ち上げ、業務改善メンバー3名を選出し現場の実態を調査していくことになりました。最初に取り組んだのは、受入れチャンスがあると思われる夕刻体制について受入れ判断に必要な情報がないことが問題でした。
そこで、毎日17時までに病棟“空床・退院予定リスト”最新情報を紙ベースで共用できるるようにしました。
一方で救急を受ける側は“入院見込み情報”をこちらも紙ベース作成しました。 その2つの情報をもとに受入れ可否を、だれでも判断できるようにし、2週間だけ実験としてやってみることにしたのです。
効果はすぐに表れ、夕方の受け入れ数が少しずつ増え始めたのです。
その後、CT、MRIの検査チームも加わったことで受け入れ数は実施前の2桁増になり、結果。コロナ後初の増収増益を実現することが出来たのです。
H病院の理事長曰く、 「病院だけでは何も変えられないと思っていたが、 業務改善チームの調査によって、患者数を増やすことが出来ました」と語られる、自信に満ちた表情は、以前の暗い顔つきからは想像できない変わりぶりです。
今、急性期病院の現実は厳しいのは確かです。
しかし、「現実を正しく知ろう」と行動した瞬間から、 次の一歩が見え始めます。
冒頭の理事長の急性期病院はいま、その“次の一歩”の入口に立っています。
このような、経営者様をご支援するのが 弊社の役割です。
著:伊藤 稔