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今週の儲かる繁盛店の視点 第356話:「生産性を上げていこうとする経営者の悩みは深い」

「売上が落ちてくると、人時売上も落ちてしまう。具体的な手が打てず、時間だけが過ぎてしますのですが」セミナーに参加されたある企業の経営者からの相談です。

――――人時売上の会議はいつどのようにやっておられますか?

「営業会議の中で確認しておりますが…」

――――それ、だめです。キッパリ申し上げました。

その昔、売上を目標にしていた時代、商品部と販売部は一致団結してやればよかったので大きな問題になりませんでした。

これからは、少ない人員で売上をとらなければならいことから、売上から人時売上に目標が変わります。例えば、商品部は売上、販売部は人時というように各部門が、個別目標を設定し、全社目標を達成させていくやり方に大きく変わるということです。

こう言いますと、
「販売部にも売上の責任があるのでは…」という声が聞こえてきそうですが

――――販売部の目標は人時目標を達成させることです。とハッキリ申し上げております。

売上は天候与件や環境によって、大きく左右されることから販売部ではコントロールが難しく、それを唯一カバーできるのは、商品改廃の権限をもつ商品部にしかできないからです。

「販売部は人員削減しかできないのかぁ~」と言う声も聞こえてきそうですが

いえいえ、売上が振れた時のことを想定し、販売部は予め人時を柔軟に調整できる体制で、利益棄損を防ぐ重要な責務があります。

本来であれば、営業会議ではこういったことが整理され、議論が毎週行われていくことになるわけですが、冒頭の企業の場合、現状を人時に置きかえて眺めているだけですから、各部門が担当数値を達成させるために、あらゆる手を尽くしてないばかりか、数値の責任のなすり合いになって、解決の糸口がみえなくなってしまっているのです。

各担当の数値目標が明確になっていない中で、全体会議をやれば、言いたい放題で解決策が出ないまま、時間ばかりかかってしまうのは当然のことです。

さらに申し上げると「まぜるな」記載されてる「塩素系」と「酸性タイプ」の洗剤を混ぜると、効果が無いだけでなく、大変なことになるように、会議も同じで、メンバーが同じだからといって、営業会議のなかで、利益相反する議論を「まぜる」と同じことが起きます。

例えば、現状を是としてやっている販売部のやり方を、業務改革チームが真っ向から否定すれば、上手くいものもいかなくなり、逆もしかりということです。

前職時代勤めていた大手のGMSチェーンが破綻状態となり、外資企業と提携後、初めてこの「人時」のあるべきかたちを知ることになりました。

私は、当時社長秘書をやっておりましたので、なぜ、この企業が破たんしたのか知る立場にありました。本業小売りの収益力が低かったにもかかわらず、売上を上げるための事業拡大し、債務超過に陥ったのです。

投資回収見込みの立たない無理な出店や、商品開発、販促強化で、売上拡大主義を是としていた企業体質がその要因だったのは紛れもない事実でした。

誰も口にこそ出しませんでしたが、企業再生には、この脆弱な本業収益構造を変える以外、手はないのは火を見るよりも明らかだったのです。

その為には、根底から、企業体質を作り変える力があり、その裏打ちされたノウハウある企業と提携先を探することが、生き残る唯一の方法だったのです。

幸運にも、米ウォルマートの傘下に入ることが出来たことで、そのノウハウに出会うことが出来たのです。

ところが、それを 体系的に取りまとめ活かす人と仕組みが、受け入れる側になかったために、その話がでてから会社として7年間も成果を出すことが出来なかったのです。体系的とは、こういった問題を解決するプロセスと定着させていく組織運営を誰が見てもわかるようにすることです。

人時と聞くと、冷徹でどことなくドライな感じがしますが、忘れてはならないのは、それを活用し理想の企業をつくっていくのは、揺れ動く感情をもつ人間であるということです。

長年携わってきた業務を止めていくということは、突き詰めると一人ひとりの内面と対峙し、やる、止めるを、議論していくことになります。そのたびに へとへとに疲労・消耗するとても大変な作業です。

最終的に業務を「止める」ことによって、そこには必ず別れと出会いがあり、多くの気づきを得られると当時に、産みの苦しみを伴います。

それでも、なぜ、私たちは人時生産性を追い求めるのでしょうか?

それは、これまで何の問題意識も持つこともなく続けてきたことを見直すことによって、これから新たな成長に向けたチャンスを手することが出来るからです。

社長は、この「成長への想い」をどう伝えていくべきか?

口に出して話すのであれば、慣れてれてるとおっしゃる方も多いかもしれません。
でも、人時生産性の場面においていえば、全ての従業員一人一人に、あなたの想いを語って聞かせるのは、決して効率的なやり方とは言えません。

人時を使うにあたり、これまで常に心掛けてきたことがあります。それは、人時はリストラや人員削減を行うものではなく、お客様満足度上げるためのものであるということです。これによって、企業は一つにまとまり人時改善に向かって動き始めます。

それは、個人まかせの仕事のやり方から、個人の貢献意欲を高めていく「行動」を促すということを意味します。

この「行動」を強く促すことが出来た時、それは必ずやお客様の心に響き、結果として会社の業績アップに繋がります。

さあ 貴社ではまだ、同じメンバーだからといって、会議体を一緒に長時間やり続けますか?それとも、感情を持つ人間として人時を活用していきますか?


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