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今週の儲かる繁盛店の視点 第435話:「パワハラが生産性低下の予兆であることに気づく企業と気づかない企業の違い」

先生、売上は何とか頑張ってきたんですが、ここにきていろいろな問題が出てきまして… セミナーにご参加になったとある企業の社長さんからのご相談です

聞くところによると、これまで、共に頑張ってくれた店舗運営部長の言動が問題になっていて、パワーハラスメントがあったという情報がはいってきたのです。

以前からそれに似たようなうわさ話はあったものの、大事ならずに済んでいたのですが、今回は、社長あての手紙がきて、

「売上が悪いと、休日出勤やサービス残業を強いるような発言があったり、指示に従わないと、激怒し罵声をあびせ、心身的に参ってしまい会社を休んでいる社員がいる…」という内容が書かれていたことから穏やかではない状況です。

正直な話、代わりになるような人材が育っていないことから、今後どうすべきか悩まれているとのこと。

確かに、10年くらい前までは、こういったことは日本企業でほとんど取り上げられることはありませんでした。

しかし、スマホの普及とともに個人で情報発信できるようになったことから、企業だけでなく、学校、スポーツ、芸能界でもそう言ったことが次々と問題視されるようになりました。

企業の闇部分となっていた最低賃金問題や、管理職の時間外労働、年次有給未取得といったことも問題になり、ワークルールの健全化が一気に進んだのもここ数年です。

しかし、ルール化だけ提示されても、企業として対応策が講じられてこなかったことから、やりきれない仕事が丸投げされたり、出来ていないものを、出来ているかのようにしその場をしのいできたことは否めず、多くの企業で人時売上が上がらない状況が今も続いています。

特に、小売りチェーン業界はこの国の経済を支えているインフラといわれる一方で、現場は人の手に頼ったものが多く、そのやり方は30年前から何も変わっていないことが殆どだからです。

どこの企業でも、業績が悪くなれば、目の前の売上のことだけしか見なくなるもの。本部では販売部と商品部でお互いにけん制し合い責任のなすりつけ合いがはじまり、問題が先送りされるようになります。

また、役職ポストに固執する人が増え、自分にとって代わる人間が頭角を現すようなものなら排除しようとします。

そのため、誰も正しいと思うことを口にしなくなり、こういった体制が続くと部下が育たなくなる原因となります。

営業会議の席上では人時売上は重要と言いつつも、業務改革でムダな業務内容が明らかにされると、今まで通りのやり方が通用しなくなることから、裏では仕組みやマニュアルといったことを徹底して排除しようと動きます。

――――今を機に、現状の体制を見直すためのプロジェクトを設置し次世代の人材を早期育成を実現することが、急務と考えますが、とハッキリ申し上げました。

と申しますのは、人の心は簡単には変わらないもの、過去の輝かしい栄光や経歴はその人の心の中から消すことはできず、今までのやり方を変えることが出来ないからです。

これだけ厳しい業績になっているにもかかわらず、何も変えてこなかった事実は重く受け止めなくてはならず、今やらなければ、企業として信頼を取り戻すチャンスを失いかねない。ということです。

そのためには、店舗の作業指示書やマニュアルを作り上げていくことが必須となるわけですが、その準備が進み、それらが整い始めますと、声を荒げたり、ムリに出勤を強要したりすること徐々になくなっていきます。

理由は簡単で、上から出された指示は、作業指示書上に「いついつやる」と記載されることから、もしそこで出来なかった場合、改めて時間を設定するか、やり方が分からなかった場合、上司に相談し解決していくことがルール化され動き始めるからです。

先の企業では、こういった作業指示書が無かったため、提出期日までに書類がだされなかったり、ルーティン作業が残業化されていたり、仕事の完成度が低かったりということが頻繁に起きていて、運営部長声の大きさや怒りの程度が、仕事の優先順位のバロメーターとなっていたわけです。

――――店舗ごとの作業量はどれくらいでしょうか?とお聞きすると

「えっ?」と言葉に詰まります。

店の作業量とは、計画人時のことで、日々の予算達成をするために、そのお店は何人時必要か明らかになっていますか?ということで、この基準をもっておられない企業は、収益確保できる体制が十分揃ってない。ということです。

かつての、人口増を背景に「売上は上がるもの」を前提にした予算執行のやり方から、人口減少、少子高齢化を直視した、売上が上がらなくても利益が確保できるやり方に転換していかなくてはならないからです。

例えば、チラシを武器に、商品を大量に山積みして売場をとっかえひっかえ動かし、大型POPやデジタルサイネージをつけ演出し飽きさせないようにしてるというやり方は、売上が減った途端、在庫、ロス、人時の超過に直結します。

実際に対顧客店舗コンディションのアンケートを定期的に実施している企業では、「商品陳列場所が変わることに不満を感じる顧客が5割以上」という結果も出ていて、頻繁に売場を動かすと「分かりにくい=売れない」という悪循環になっていませんか?ということです。

売れないことに労力をかけるのは疑問視されていたわけですが、前出の企業でも、こういったことに対し誰も何も言い出せなかったことが、企業利益を圧迫していたわけです。

そのためには、顧客が店舗をどのように評価し、その結果人時売上はどうなっているのか?といった数値化されたものを整備していかなくては、どちらの方向に向いて動けばいいのかわからないわけです。

人時売上倍増戦略は、実務を通して実践すれば、実利と幹部育成が同時に得られることから、想像以上に結果は変わってきます。今こそ、社長ご自身の目で確かめ選択すべきことといえるでしょう。

さあ貴社では、まだ、昔ながらの成果の出ないパフォーマンスを横目に低迷を続けますか?それとも 新らたな視点で、業革を柱に大きく飛躍しますか?


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