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今週の儲かる繁盛店の視点 第434話:「なぜ、新規採用は阿吽の呼吸で行われるのか?業務量が把握できていない企業が陥る罠とは? 」

先生、来期は理系の人材を採用しようと思ってるんですが?と先日セミナーにご参加いただいた企業の社長さんからのご相談です。

お話をお聞きすると、システムに詳しい人材を採用していかないと、デジタル化に乗り遅れてしまうことから、新卒に加え、中途採用も視野に入れて考えておられるとのこと。

―――― 何をしてもらうのでしょうか?

「まずは、店舗経験をさせ、老朽化したシステムの更新に詳しくなってもらい、将来的には何か新しいサービスを提供するためのプログラムを自社で運用できるリーダー」にしていきたいとのこと。

最近では、どの業種もIT系採用に人気が集中していて、年俸+200万が相場といわれ大手チェーンでは2000万円?で採用というところも出てきています。

転職人材を獲得するのか、新卒で一から育てるのかによっても変わってきますが、どうしても今ということであれば、投資回収計画を策定してから進めるようにしてください!と申し上げると

「え?」と驚いた表情をされます。

理由はシンプルで、企業活動の成長は、将来への投資でしか見込めないわけで、人の採用に限らず、販促や商品値下げも含め企業の発展に繋がるものすべてが、先行投資と位置づけられるからです。

そう言う意味では、全ての予算はその考えの上に成り立ってくるわけですが、これまで、人口増で売上がとれた時代が長く続いたことから、あまり深く考えることなく、前年比ベース予算や実績ベースで組む企業が増えたといえます。

しかし、人口減に転じ状況が全く変わったからには、あらゆる投資回収計画を見直ししていかなくてはならないということです。

例えば、新入社員1人採用すれば300万/年、IT系なら500万/年のお金が必要になってくることから、年商10億、人件費1.3億のお店に新入社員1人入れれば、単純計算で人件費は2.3%~3.8%アップします。

退職者も含め、予算を前年比並み抑えたとしても、売上が5%以上も減り続ける中で、昨年比並みの人件費をかければどうなるかは、お分かりのことと思います。

大事なことは、毎年売上比13%という高い資金が投じられてきた人件費の中身がどのように使われていて、来期はそれをどのように活かし収支アップに繋げていくのか?でありその計画実行のため新規に社員採用が必要!という流れになっていますか?ということです。

「ゆくゆくは本部で勤務することになるので…」という声が聞こえてきそうですが

店舗でも本部でも、採用した日からその経費は発生します。

見方をかえれば、このような本部主導による社員採用が行われることにより、上限の決まっている店舗人件費のパート・アルバイト採用にしわ寄せされ、店舗での人件費コントロールができなくなるということです。

そもそも、1人300万円~500万円/年かかってくる新規採用枠は、どのように決まっていくのでしょうか?

人事部が過年度の実績や同業他社との比較をもとに、社長と人事の阿吽の呼吸で決められていて、その責任の所在が曖昧なものになっていませんか?ということです。

本来であれば、店舗運営本部が中心となって算出された必要人時(一人当たり時間作業量)を元に、予算設定されていなければまともな店舗運営にならないわけですし、そうでなければ、部門の枠を越えた最適な支援体制も組むことが出来ません。

また、日々刻々と変わっていく状況に対応して動いてもらうための指示書(作業指示書)がなければ、店長やチーフは現場を動かすことも出来ないわけです。

売上が伸びていた時代であれば、「指示書などなくてもできた」という企業も多いことかと思いますが、売上減に転じた今、果たして今まで通りのやり方をつづけ、人件費の膨張化を押さえることが出来ますか?ということです。

かといって数値ありきで、一方的に採用を止めたりすれば、店がまわらなくなり、気づけばそういった不満を抱えた店長やチーフ、ベテランパートまでがどんどん競合他社に転職していってしまいます。

今は、転職サイトで簡単に情報入手ができることから、同業はもとより、中小から大手へという好条件転職も当たり前となっているからです。

大手や準大手でも人手不足に苦慮していることから、給与の高さや年次有給、残業などのワークルールの徹底状態を強調していて、人材流動化が起りやすい環境に変わってきているといえます。

一方で、折角採用したものの長続きしない、すぐに辞めてしまったという問題も起きています。

直近の大手転職サイトの「転職理由ランキング」の1位は「給与が低い・昇給が見込めない」(35.0%)2位は「昇進・キャリアアップが望めない」(29.4%)、3位は「会社の評価方法に不満」(26.8%)となり1~3位までをみると評価や昇進に関する不満が7割を占めていることがわかります。

単に、IT系の人材が欲しいからと採用したとしても、業務や責任範囲が明確にされ評価制度がキチンとしていなければ7割の人が再び離れていくということです。

それだけではありません、その人に抜けられたあと、その人を中心構築された業務やプログラムは当然回らなくなります。

また、業務改善プロジェクトメンバーに参画して苦労して作りだしたノウハウがあったとしたら、そっくりそのまま、同業に持っていかれるというリスクも想定しなくてはならなないということです。

そう言う意味では、現状維持または、今の延長上のものであれば、外注でも十分かと思いますし、新しい取り組みであっても、外注によるBtoB契約の方が運用面セキュリティ面でも安全と言えるからです。

店舗運営を中心に人時生産性を上げ、店舗コンディションを高めていく仕組みなしに、なんでも過去のような採用ありきですすめると、とんでもない結末がそこに待ち受けているということです。

さあ、貴社では、まだ、業務の中身を決めずに、○○系の人採用を続けますか?それとも、収益の骨格を組み立て、段階的にステップアップさせていく手法で大きく躍進しますか?


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