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今週の儲かる繁盛店の視点 625号:「なぜ、病院で行われている委員会やプロジェクトは成果が出せないのか?」

「業務改善委員会でやってます。接客向上委員会もやってます。でも、何も変わっていかないんです」
少し前にセミナーに参加された総合病院の理事長さんからのご相談です。

お話をお聞きすると、法令的にやらなくてはならない委員会、病院の運営管理会議、部署ごとのワーキング改善、患者満足度プロジェクトとざっと30個近くの会議体があるそうです。

そのため、各部署の責任者は時間をとられ、現場の業務改善どころではない状態なんだそうです。

しかし、いきなり止めると、報告があがってこなくなるので不安とのこと

――――その中で、最も利益を生み出してくれてるものはどれでしょうか?

「うーん」と言葉に詰まります

――――業務改善を進める中で、何がどれぐらい成果を生み出しているかを一緒に整理しながら、利益を生み出せるものに絞っていくことはできますか?

「はい、出来ます」と理事長の顔が、少し明るくなりました

ご承知の通り病院の経費でもっとも高いのが人件費です。
まして、幹部が集まる会議が、利益を生み出すものになっておらず、そこに人件費がつぎ込まれてるとなれば大きな問題です。

会議に限らず、受付、診察、検査といった病院内のあらゆる業務に人件費がどのような使われ方をしているか?合わせて 業務の棚卸をされてみてはどうでしょうか?と申し上げると

「そう、それがやりたいんです」と眼鏡の奥に瞳が輝きました

業務の棚卸とは、業務項目ごとにどれぐらいの人件費がかかるのか書き出し、実際にかかる時間と照合し、その差異を明らかにしていくものです。

例えば、受付を自動化する場合、現状どのくらいかかっているか?実測し、導入後どうなったか?といった仮説と検証を行うことで業務を見直しを行います。

ところが、多くの法人がこういったことを飛ばして自動受付機を導入し、逆に管理職の仕事が増え疲弊して人が辞めてしまった。といったことが後を絶ちません。

こうした業務棚卸を行っていくために必要なのが、業務量を表す「人時」(ニンジ)という考え方です。

人時とは一人当たり時間作業量のことですが、人件費を、人時に置き換えることで、どれくらいの業務量なのか?ということが把握できるので、無駄なく、人を採用したり配置することができるということです。

例えば
月に一回、患者満足度会議を10人のメンバーで1時間やったとすると、10×12カ月で120人時かかったことになります。
病院職員の平均時間給を4千円とすると年間48万円会議体にがかかっていることになります。仮に月一会議が30種類あるとすれば、1440万円にのぼります。

そもそも公共性を保つ医療機関として、その10倍20倍の収益を上げることが、委員会の目的のはずです。

これが報告会に終わってしまうとなれば、人件費だけが増えていくということです。

実際に、ご支援させていただいている法人では、プロジェクト初期で業務項目の棚卸を行い、非効率業務を洗い出して、業務量逓減化を実施ていきます。

具体的には、最低100項目を目標に、時間がかかっている業務を洗い出し、関連部門と協議し、月に1~2個のペースで見直しを行っていきます。
結果、効果を生み出さない業務は予算も人もつかなくなるので、そういった業務は消滅し、時間をかけずに見直しが進んでいくというわけです。

業務数が減ることで、管理職は余剰時間が出来るので業務改善に取り組むことが出来るようになります。各職員の間では、自分の仕事は成果を生みだせているのだろうか?というコスト意識が芽生え、病院内の雰囲気は一気に変わります。

人件費のように見えないものは、だれも改善できませんが、人件費を人時として捉え、その改善状態が見えるようになると、自部門の数値を良くしようと考えるのは、ごく普通の考え方、行動だからです。

こうしたことを、ひとつひとつ決め、実行していくことで、委員会は報告の場から利益を生み出す場に変わるということです。

さあ、あなたの総合病院は、まだ、報告書作成のための委員会をやりつづけますか?

それとも、公益性を保つ医療機関として安定利益が出せる状態への一歩を踏み出しますか?

著:伊藤稔