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今週の儲かる繁盛店の視点 第424話:「なぜ、誰もが業務改革の仕組み作りで苦戦するのか?」

先生、なかなか生産性があがらない店がありまして・・・とある企業の社長さんからのご相談です。

お話をお伺いすると、社長が店をまわることで、それなりに人時売上が上がる店がある一方で、何をやっても改善しない店もあり、収益が上がらないとのこと。

人時売上を上げようとする時、人時面では儲からない業務を止めて収益の見込める業務に人を動かします。売上面では、割引や付帯サービスを付けて新規顧客拡大を図るといったものを組み合わせていきます。

成果を上げていくためには、1店舗で導入出来たら、それを他でも定常化し、導入後もその水準が常に一定に保たれる状態のするようにしていく。ことになります。

「それが出来ないから困っている」という声が聞こえてきそうですが、

と申しますのは、「自社で仕組みを作る」というのは、想像以上に手がかかり大変なことだからです。人は客観的に「そうするのはあたりまえ」と誰もが分かることも、こと自分のこととなると、驚くほど見えなくなってしまうもの。

そこで、どの企業も業革プロジェクトを立ち上げ、企画を作り、車内合意をとりながら「仕組み」を作り、トップダウンの強力な後ろ盾を得て進めていくことになります。

こうしたことを上手く行う企業の共通点は、「テスト店舗を設定し成果をだしていくとともに、その業務フローを活かし社内を説得し定常化していく」という手法をとっているということです。

テスト店舗であれば、限定的であることから、社内の各部署も受け入れやすくなんとか協力してくれるものです。そこから少しずつ店舗数を増やし、一定の成果・効果が見込めた段階で「では、このノウハウをベースに制度化してみてはどうでしょうか?」と会議で提案することで、ハードルが低い状況をつくり回すようにしていくわけです。

多くの人の手がかかる小売チェーンのような業界では、こうした本部のしくみ作りは欠かすことは出来ません。一方、店舗作業をひとつひとつ見ていくと、忙しい店は 早く作業をする人が多く、売れない店ほどマイペースで作業をする人が多いことから、同じ企業でありながら、店ごとにやり方が異なっていることがわかります。

企業として、本部からの指示を、店舗の生産性を考慮したやり方でやるように指導してこなかったことから、各個人が自分流のやり方でやってきたいうことです。

簡単なことならそれでも良かったわけですが、ITやシステム、決済といった面倒なことまで、丸投げされるようになってからというもの問題が複雑化しているということです。

最近、問題となってるのは、キャッシュレス化+販促強化によるレジ作業の煩雑化です。

確かに、現金の授受が無くなった分、会計速度は上がったものの、良く見るとレジ回りは、決済方法の異なる端末がタコ足配線のように接続されところせましと並べられています。

問題はその後、売上対策としてチラシ本数拡大とやカテゴリー割引といった通常の販促策に加え、クーポンセール、ポイント○○倍キャンペーン、電子マネーポイントキャンペーン、クレジットカードOO%OFF等々、の企画が重なったことです。

お客様がクーポンを後から出したり、ポイントカードを持って来なかったりした場合、その処理にお客様をお待たせするといった事象が起こっている、ということです。

ある企業で、実際に計測してみると、販促増大によりレジ操作に時間がキャッシュレス化以前よりかかるという笑えない事実が出てきている企業もあり、まさに、本部から出された指示に現場が苦慮し、お客様を待たせているといった本末転倒のことが起きているということです。

本来であれば、一店できちんと成果が出るようにした後、それを定常化していくようにすべきであったはずなのに、キャッシュレス化の波に飲み込まれ、準備不足のまま広げてしまったことに問題があったわけです。

そのため、自粛後の売上苦戦で、販促強化を連発し業務が複雑化するだけでなく、顧客満足度まで引き下げることが起き、さらに客数減を招いているというわけです。

セミナーでは、企業の経営者に「業務改革に取り組んでみませんか?」とお話しする中で、どうすすめるのかということを伝えていく訳ですが、社長主宰プロジェクトのメンバーの他に、実際の実務を行う事務局を設置していきます。

表面的な改善で、店舗の実態を把握せずに、拙速なことにならないようにする必要があるからです。

店舗の実態把握のひとつである作業時間計測だけでも、相当な労力がかかってきます。

おやりになったことがある方なら、それにかかる手間がどれくらいのものかご存知だと思いますが、ストップウォッチ片手に作業している人の後を追跡し、「現場で必要なもの」と「止めてもいいもの」を見極めていくことになります。

先のようなことが起こらないようにするためには、企業都合だけではなく顧客視点で仮説をたて、限られた時間の中で成果を出すことが求められます。

この「限られた中で成果を得る」ことは、やりかたひとつで全く変わってくる、ということです。

実際に、業務改革事務局は、店舗に行って、ヒアリングをしていくわけですが、各売場から2~3人くらい集まってもらった方に対して、非効率という視点で、聞き取り調査を行います。

例えば、食品スーパーであれば、青果、精肉、鮮魚、惣菜、グロッサリー、レジ、事務といった具合に、ざっと7部門とすれば、一部門1時間としても、丸一日かかることになります。

GMSとなれば、これの3倍の部門がありますから、最短でも2日~3日はかかってきますし、物流倉庫や食品加工などでも、このやり方に変わりはありません。

それを、文章化して整理し、何が必要で、いくらにコストがかっているのか?といったことを纏めプロジェクト会議で改善提案をし承認を得て進めていく事になります。

これには、どれぐらいの費用がかかるかと言えば、ファシリテーターの進行役1名、書記2名の最低3名は必要です。

7時間×3名で21人時、集まった内容を整理し取りまとめるのに7人時、プレゼン練習に2人時、それに、各課題の裏付け調査に、21人時で、合計51人時が最低必要になります。時給2千円の本社員3人で一回約10万円かかってきます。

その他に課題項目ごとに、主管部門との打ち合わせに一項目1人時とします。しかし、利益相反するようなケースもあることから、多めの見積もり時間が必要となってきます。

各店舗では、一店舗100項目ぐらい課題が出てくることから、100人時+αかかるとすると、トータル150~200人時がかかるということです。これは、非効率業務を改善していくのに最低必要な人時です。

現実問題としては、提案をして、各主管部門から回答が返ってくるのが、2週間と考え、そこから、機材備品の調達であったり、入れ替え設定に2週間。さらにその後、改善が後戻りしてしわないように、訓練体制まで考えると、企画から着地まで、一店舗当たり最短3~4カ月間はかかります。

この他にも、レイバースケジュールの導入や運用サポートを含め、順次導入店を増やしていくことを考慮するとフルタイムで最低3名は専属で必要となってくる計算です。

本社員1人年収400万とすると、年間1200万は予算設定してくださいと申し上げています。

こういったことを言いますと「ええっ?」という声とともに、驚いた顔をされます。

しかし、弊社では、一店年商10億クラスのスーパーマーケット規模で、非効率業務の改善では「目標を1店あたり年間最低1万人時くらいにしてください」と伝えており、人件費換算すると一千万円の削減になる計算です。

こうした高い目標設定にすることで取組み姿勢が変わり、進捗率が多少遅れても利益獲得を十分可能となります。

通常では経験することのない、実績を変える成功体験こそが重要なこととなるからです。ROI(投資回収率)に置きかえて考えてみれば、プロジェクトの人件費は、1200万÷1000万=12カ月、投資回収1年という投資効果の高い取り組みであるといえます。

さらに、導入店舗数が増えるたびに、回収金額が積算され資金繰りが改善されていくわけで、10店舗で1億円、20店舗完了時には2億のお金が積みあがっているということです。

このカラクリはセミナーで詳しくお話してますが、店舗の人時生産性改善の場合、この目標設定が重要なチェーン高収益化に大きな意味を持っているということです。

さあ、貴社では まだ、一気に導入した取り組みで、利益がこぼれるのを放置しますか?それとも、業革プロジェクトで高収益を定常化することで、大きく飛躍しますか?


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