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今週の儲かる繁盛店の視点 第326話:「残業ありきで店を回しても、人は育ちません。そしてもっとまずいことに企業が成長しません。御社に必要なのは当たり前の…」

 


「先生 社員さんが、非効率なやり方で、残業代をいっぱい貰うのはおかしいのではないでしょうか?」とあるチェーン企業のパートナーさんの一言です。

また、別の売場のパートナーさんからは「ひとりで仕事を抱えてやっている方がいて、私たちにはやらせてもらえない。その人だけは残業OKというのもおかしいのでは?」という声も聞こえてきます。

マネジャーは作業指示書を作るように言われているのに、形式的に作るだけで、全くその通りにやらずに、毎日の残業はあたりまえ。この人しか出来ない仕事があって、大目に見られているようで店長も何も言わないとのこと。

これが企業にどういった影響をもたらしているか?と考えると、この企業が、厳しい状況になった背後に、どういうことがあったかが垣間見えてきます。

例えば、
⇒人員計画が甘く、朝一番の商品製造が間に合わず、品出しが遅れる。
⇒ピーク時間に必要商品数が陳列されず、夕方の値下げが増える。
⇒十分な発注時間がとれていないため発注が雑。品切れチャンスロス発生。
⇒売場の業務が終わり、指示事項や書類整理はいつも残業で行う。といった流れで日々のマネジャー業務が行われていました。

「そんなのは どこの食品スーパーも同じはず」という声が聞こえてきそうですが

――――だから 国内の食品スーパーは儲からないのです!とハッキリ申し上げました。
こういったことをやらずに、いつも作業に追われて残業が多いから、収益基盤が脆弱で、優秀な人材の報酬を引き上げることすら出来ないのです。

前出の店舗の残業時間は1000時間/月です。仮に、時給1500円とすると毎月150万円、年間1800万円の残業代がかかってるわけですが、売上に置きかえれば1億円以上となります。

断っておきますが、残業が悪いということではありません、かつて、モノが売れた時代、大量の商品を売場に並べるために、多くの労働力が必要で、その見返りとして残業代が支払われてきました。

今は、人口減でモノが売れない時代、長時間働いたからといって、以前のように残業代を大盤振る舞いすれば、企業として立ち行かなくなるのは火を見るよりも明らかです。

さらに忘れてはならないのは、労働人口減による採用単価の上昇です。小売りチェーンは賃金の安いパートやアルバイトのウエイトが大きいことから、販管費は毎年0.4~0.7%のペースで上昇しています。 

今、営業利益率3%の企業でも、このままいくと、5年後には営業利益率0になるということです。

「改革を進める!」と社長が号令をかけたところで、先のマネジャーのように、旧態依然のままで、企業が実質赤字状態なのに残業対策が何もとられていないことが問題の本質なのです。

一方で、数年前から、こういったことにすでに取り組んでいる企業では、店で残業の多いマネジャーが抱えている一連の業務を、商品製造や発注というふうに小分け化し、パートさんに権限委譲しています。

これにより、少しずつ残業は減っていくことになります。ところが、数カ月経ちますと再び残業が増加しはじめます。

理由は簡単で、マネジャー本人が、商品製造や発注はやっぱりパートじゃダメだと勝手に判断し、後戻りしてしまうからです。

こうならないようにするのには、予め、業務内容を明らかにし、そこに、パートさんの時間を配分し記録していきます。そして、計画通りに行かなかった時は、赤ペンで記入するのが決まりとなっています。

中には、この作業指示書自体 一度も作らない酷いマネジャーもいて、これが一番の厄介者です。

――――なぜ、指示書を作成しないのですか? とお聞きすると

「忙しくて やってられない。口頭の指示でやっても何も問題ない」とのこと

業務改善の基本は、誰にでも見えるように「作業指示書を掲示」することが基本です。忙しいことを理由に、誰の目にも見えない「口頭指示」を続ければ、益々企業の収益力は低下してきます。

企業の競争力が落ちてくると、この厄介者はその矛先を収益アップではなく、社内の抵抗勢力というマイナスの力をばらまき猛威を振います。

もちろん進めていく中で、最初は、丁寧に説明しますが、一度抵抗勢力化すると手に負えなくなりますから、悪貨が良貨を駆逐する前に、その芽を摘むことが必須となります。

企業が成長していくうえで、不利にならないようにしていくためには、業務改革部門が提唱するやり方を、いかに納得させるのか?させられないかにかかっており、どのようにしてその勝負の決着をつけるか?知らなくてはなりません。

勝負に勝つ為には原理があります。それは「戦いの局面では、敵と味方の力関係で勝負が決まる」ということです。

社長の後ろ盾のある業務改革部が全社で大きな力をもっていたとしても、その戦いの局面で兵力が劣っていれば負けます。反対に、何も権力や大きな後ろ盾がなくても、その局面での兵力が優れていれば勝つことが出来ます。

「十をもって一を攻めよ」という兵法の教えがありますが、敵を10に分散させ、その一つを10の兵を持って攻める。そうすれば、この局面では圧勝出来ます。

これを繰り返すことでひとつずつ攻め全体を落としていくわけです。

業務改革も同じで、各売場の人数は、マネジャーを含め6人程度です。これに対して、指示を出すのは店長、副店長の2人です。業務改革部門を独立した組織として持たず、店任せにすると上手くいかない理由はここにあります。

売場は自分たちの数が多いことから心理的に優位に立っているため、店長・副店長の指示など聞き入れないため、業革が進まないのです。

これは追跡調査も同じで、業務改革部門が1人や2人の少人数でやろうとすると、「本部の人間による数回の調査で細かなとこまで、わかるわけがない」と業務改革チームが劣勢になり同じようなことが起きます。

追跡調査を大成功に収めるためには、調査対象売場の倍の人数を投入し、追跡調査を行い「徹底的に調べあげ、無駄な作業をしたら許さない」ぐらいの勢いで、一気に落すのです。

もしここで失敗すれば、抵抗勢力の芽があちこち出てきて、進まなくなるからです。

社内の手の空いてる応援体制で、チマチマやって、業革が成功した例がないように、こうした。用意周到な準備で、ひとつずつ潰していかなければ、地域競争に勝つことのできる店舗運営などできるわけがないのです。

日頃、伊藤が、業務改革部門を本部に最初に設定し、最低でも6人~4人は人をつけてくださいと申し上げているのは、改革を一撃必殺で成功させるための絶対条件だからです。

冒頭のヒアリングミーティングの一場面からお分かりのように、非効率業務を改善し、職場をこういうふうしたい!という職場改善や報酬待遇を望む声は、年々高まり、これが世の中の流れになっています。

小売りチェーンの中にも、前向きに自分の職場をもっとよくしたい。と考えておられる方がたくさんいることがこういったことからも分かります。

そうは言っても、現場では、業務量が減る=残業が減る。ということから自分の権限が狭くなり、収入が減ることを、当然良く思わない人もたくさんおられます。

すでに時代は、長い時間、会社にいるだけで、給与がたくさん貰える仕事は無いに等しく、それを、納得させていく為には、一回注意したぐらいの、きれいごとでは上手くいくものではないからです。

どんなに、素晴らしい戦略やノウハウを知っていても 多くの人に受け入れられ行動が変わらなくては、成果がでないのは言うまでもありません。

業務改革をどこかのセミナーでノウハウを聞き、マネすれば出来ると思っても、手も足もでない企業が後を絶たないのはこのためです。

さあ。貴社では、まだ、残業ありきで企業成長を止めますか?それとも、競争力をつけるため、戦いに優位なやり方で一気に勝ち進みますか?


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